☆ 時代背景 


 ‘70年代後半、なぜこれほどまでに洋楽のアイドル人気が盛りあがったのかと言うと、たぶん邦楽界が今ほど成熟していなかったためではないかと、思います。当時の歌謡界はアイドル全盛でした。郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎の新御三家、山口百恵、森昌子、桜田淳子の「中三トリオ」(この呼び名は、彼女たちの学年と一緒に「高一、高二」と上がっていったが、高校卒業後は新三人娘などと言われるようになった)を初めとして、様々なアイドル歌手が誕生していました。
 しかし男性アイドルの方は、新御三家のあと、後続がいまいちでした。かの有名なジャニーズ事務所も、この当時は大看板が不在の時期で、新しいアイドルスターは、しばらく生まれなかったのです。

 そしてこの頃、「ベルサイユのばら」が大ヒットします。ご存知かもしれませんが、フランス革命を舞台にした、男装の麗人オスカルとその恋人アンドレ、フランス王妃マリー・アントワネットを主人公にした、池田理代子先生の連載マンガです。その後宝塚で上演され、さらにその人気は高まりました。
 それとQUEENと、どういう関係があるのか、と思われる向きもあると思います。「かっこいい外国人に対する憧れ」が、このマンガによって培われてきたのではないかと、個人的に推測していますので、持ってきました。
 当時の人気マンガは、ベルばらの他には「キャンディ・キャンディ」「アンジェリク」など、外国を舞台にしたものが多かったのです。そこには、貴族的な衣装に身を包んだすてきな白人男性が、たくさん出てきました。
 初期QUEENは、まさにそのイメージにはまっていたのだと思います。きれいなルックス、(Freddieは「エキゾチック」と言われていましたが)サテンやフリルのついた衣装、気高い雰囲気など、まさに「貴公子」のイメージだったのです。

 しかし、アイドル的に入った人たちも、やがてその時期を卒業します。しかし、多くのQUEENファンが、そのまま音楽ファンとして、彼らのファンであり続けたのは、彼らがアイドルではなく、真のアーティストだったからだと思います。





戻る