Light Pollution in Tucson



日本で天体撮影をすると空の色が緑になることが多いのですが、ツーソン周辺ですと街の明かりで空がオレンジ色になることがほとんどです。(作例参照) 画像処理でこのスカイノイズを除去スカイノイズを除去できますが、ここではオレンジ光の正体に迫りましょう。

ツーソン郊外でオリオン座を撮影(CCD)

その正体を調べるためにツーソンの空を分光します。 新たに光学系を組む必要があるのですが、コストゼロにするために手持ちの道具を組み合わせることにしました。 面光源の分光で必要なものは、スリット、コリメートレンズ、分光素子、結像レンズ、そして受光系です。
考えられる光学系は以下のようになりますので、

光路図

このようにレンズ等を配置します。 分光するには光が平行に射出する必要があるためどうしてもコリメート作業が必要になります。 この部分は重要かつ手間がかかるのでコリメート作業を省くために一眼レフカメラを使って無限出しを容易にさせます。
実際の組み合わせは次のように、

光学系を組んだ様子

一眼レフのフィルム部分にスリットを置き、その射出光線を分光素子とカメラレンズに通してスペクトル像を得ます。
一眼レフカメラのフィルム部分にスリットを置けば無限遠にセットされたレンズの射出光線は平行光になります。
スリットも高価な部品なので手作りにします。 アルミフォイルをカッターで軽く切れ込みを1本入れるだけでスリットができあがりです。
アルミフォイルスリットをカメラのフィルム位置に置いた様子

90mmレンズを2本使い1インチ径の回折格子を入れるとFno3.5程度の明るさが得られ、街中1分露光で十分なスペクトル像が現れます。グラフをみてみると、

ツーソン市内から撮影した空のスペクトル(横軸:波長)

ナトリウム灯が空をオレンジ色にする犯人かと思ったらそうでもないようで、緑と赤領域にある輝線と連続光がオレンジの空を作っていることがわかりました。


2001,3,7

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