画像処理ソフトSIRIUSの特徴


SIRIUS立ち上げ
SIRIUSは画像処理プログラムで、コンボリューションや画像評価、各種フィルタを備えたフリーソフトです。コマンド形式で作動し、画像処理を一度行うたびに temp.fts という名前で保存されていきますので、随時それを他の画像ソフトで開いてみると便利です。
helpで常にそのときに必要な情報を表示しますので、最初のうちはそれを使うと便利です。

SIRIUSの立ち上げ画面


ストリークFree
SIRIUSの特徴は既存の他のソフトと同じ機能に加え、独特の機能を有しています。そのひとつがストリークフリーです。CVユーザには必須の機能だと思います。
左:処理後、右:処理前
パラメータ:15.0、Bias=0


コマンド:str

立体表示
次に、画像を立体的に表現した画像を作り出す機能を紹介します。下の画像をみると一目でどのような機能かがわかると思います。

木星の立体表示画像


ガウシアン アンシャープマスク
アンシャープマスク機能も強化されているのももうひとつの特徴です。通常のマスクはボケ像を周辺画像の均一ウェイトで作られますが、ウェイトをガウス分布にできます。これにより通常のアンシャープマスクより細部を強調します。彗星にも有効な画像処理でしょう。
ちなみに、アンシャープマスクは何が行われているかというと、一種のハイパスフィルタで、高周波成分(細かい部分)を抽出するものです。ボケ像は低周波画像にあたり、このボケ像を元画像から引き算することで、細部を強調します。
ボケ具合をガウス分布に変換できるあたりはまさにデジタルならではの処理でしょう。

左:処理後、右:処理前
パラメータ:4ピクセル 、k=0.9


コマンド:uns


SuperDark
天体撮影で画像の善し悪しを決めるのがS/N(シグナルとノイズの比)です。S/Nが高いほど滑らかできれいな画像に見えます。露出が短くしなければならない彗星や、暗い天体を撮影するときにはどうしてもノイズが大きくなってきます。ダークノイズを差し引いても、ダークフレームの中のランダムノイズを差し引くことはできません。そこで、ノイズの特徴でもある、スパイク性を利用してそのランダムノイズを除去する機能です。顕著なスパイクノイズは恒星像と違う強度分布をしていることに気づかれてると思います。周辺の強度に比べスパイクノイズは高い強度を持っていますので、周辺の画素と比較しておかしい強度をもった画素をノイズと判断してそれを隣の画素と置き換えます。これは非常に有効な機能なのでぜひフル活用されるといいでしょう。

 
左:処理後、右:処理前
 
パラメータ:K=1.4
 

コマンド:sd


ATAN変換

多くの天体は輝度差が激しいので、撮影した画像をそのままリニアに出力しても見ごたえのある画像にはなりません。わたしの経験によると、銀河や球状星団のようにもっとも輝度差が激しい天体にはLOG変換、星雲や星野のような天体にはATAN変換がうまく256階調に収めるようです。

ATAN変換のグラフを見てみましょう。

ATAN変換


SIRIUSでは次のような変換式になっており、係数を変えることにより自由自在に階調を変化できます。

出力 = 係数xATAN( 入力/係数 )


上のグラフの係数は255を例にとったものです。

コマンド:atan

背景フラット補正

世界中どこへ行っても、光害から完全に逃れて天体撮影をすることは困難です。とくに低空や広角レンズを使った場合は光害の影響を受けやすくなります。
周辺減光補正機能でも画面の隅に偏った明るさを補正することはできません。そこで、画面全体の背景の明るさを傾けて光害を補正します。
次のグラフを見てみましょう。緑の部分が光害だとして、青い部分が天体の明るさだとします。光害のために、背景全体が斜めに傾いています。



SIRIUSではX方向とY方向それぞれ傾きを修正できます。入力方法は、一方向につき2点の位置を与え、それぞれ引き算したいだけの量を入力します。たとえば、上記のグラフを例にとると、左端位置を0とし、右端位置を767とします。 次に、それぞれ引き算したい量を0と700を入力すれば、その間を線形補間しながら引き算して次のような強度分布をえられます。

光害を引き算した結果


具体例を見てみましょう。

 
左:処理前 、 右:処理後


コマンド:slope



お願い:これらのソフトを使ってインターネットや雑誌等の公共での画像発表の場合は使用ソフトを明記してください。

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