超小型分光器



 天体観測をする上で分光は非常に有効な観測手段ですが、分光器が高いこともあってアマチュアにはなかなか手が出ません。 私がもっとも分光観測をしてみたいと思っていた天体はクエーサでした。 宇宙の広がりを確認するためにはクエーサのようなものすごく遠い天体を分光し、そのレッドシフトを計ることで宇宙の広がりをしることができます。

 ここでは、レッドシフトを計るに十分な分光器の作製について紹介します。

 まず分光で必要なのはコリメートと呼ばれる部分と分光させる部分です。 分光には回折格子を使うと波長の同定が確認しやすいので、それを使うことにします。 コリメートレンズには焦点距離の短いアクロマートを使うことにします。 身近にレンズを探してみると、アイピースがあります。 そこで2群2枚から構成されているプローセルを使うことにしました。  これはアクロマート2枚から構成されているアイピースのことですから、探しているレンズが見つかったわけです。

構成部品は次のようになってます。

右からコリメータレンズ、絞り、回折格子、集光レンズ

これらを組み立てると次のようになります。
組みあがった様子

光路図

光路図を使って説明すると、望遠鏡の焦点 f1 に収束した光線は、コリメータレンズによって再度並行光に変換されます。その並行光は回折格子で分散され、集光レンズによってCCD面上にスペクトルを形成します。

これを望遠鏡に取り付けると次のようになります。

望遠鏡に取り付けた様子

小型の分光器ですから、赤道儀に負担をかけることなく分光観測が可能になります。


分解能について


やはり気になるのが分解能でしょう。 超小型に低コストに仕上がってますから、高分解能は得られにくいです。 上記画像ではスリットを使っていますが、これは面光源を計るときに使うだけで、恒星のような点光源には必要ありません。 手短にブラウン管を分光してみることにしました。 それによると、600nm付近で6nm程度の分解能が得られました。 分光学的には1/100の分解能があると言えばよろしいでしょか。 
身近なスペクトル

液晶モニタの分光特性

ブラウン管モニタの分光特性

位置350付近にでているのはスリットの光です。これは0次光なので、ここが0nmとみなすことができ、波長のオフセットに役立ちます。右側へでているパターンが分光特性となり、ほぼ波長と位置が比例して現れています。

宇宙の広がりの観測

天体観測例



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