宇宙の広がり



エドウィン・ハッブルとMiton Hamansonが1929年に銀河系が広がっていることを発表し、1999年ハッブル宇宙望遠鏡によって、高い精度で宇宙年齢を決定しました。

アマチュアレベルでは観測機器の制限から、宇宙の広がりまで観測するのが非常に困難でしたが、CCDカメラの普及により、アマチュアでもそれを観測することが可能になりました。

宇宙の広がりをアマチュアレベルで観測するには、大きなレッドシフトを起こしている天体がうってつけです。大きなレッドシフトを起こしている天体というと、遠くの銀河になります。しかし、遠くの天体ほど明るさが暗くなり、観測が困難を増します。
われわれの銀河からの距離が遠くて明るい天体というと、クーエサになります。これは非常に遠くの銀河の中心部で莫大なエネルギーが放出されて光っている天体です。遠くの銀河を見ることは若い銀河を見ていることになり、クエーサは銀河形成の初期段階の現象と考えられています。


最も明るいクエーサは3C273で見かけの明るさは12等級です。20cmの望遠鏡でやっと見えるくらいです。10cm程度の望遠鏡でもCCDを使えば簡単に写すことができます。

3C273の画像


低分散分光計を20cmシュミットカセグレインに取り付け、3C273の分光観測をし、レッドシフトから宇宙の広がりを観測することに成功しました。


観測結果を見てみましょう。

3C273のスペクトル(横軸:波長[nm])


波長を比較するために、馴染みのある天体のスペクトルを使うことにします。
おおぐま座のε星と散光星雲M8のHαはわれわれの銀河の中にあり、宇宙の広がりによるレッドシフトを起こしていません。したがって、どちらのHαも波長は656nmです。
では3C273はどうでしょう?(赤実線)
ものすごい速さで遠ざかっているため、レッドシフトを起こしています。656nmの波長が760nmまで伸びています。
それぞれの水素のバルマー系列がどのようにシフトしているかというと、

Hα656 nm x 1.16 => 761 nm
Hβ486 nm x 1.16 => 563 nm
Hγ434 nm x 1.16 => 503 nm
Hδ410 nm x 1.16 => 476 nm
Hε397 nm x 1.16 => 461 nm

となっています。

これを元に距離を計算してみましょう。

相対論を考慮したドップラーシフトの公式は次のようになります。

v/c = ( (z+1)^2-1 ) / ( (z+1)^2+1 )

これにより後退速度は 44000km/sec. であることがわかります。

Hubbleの法則によると天体の距離と後退速度比例関係があり、次のようにあらわされます。

v = Hr

Hubble宇宙望遠鏡をつかった最新のHubble定数は 72km/sec/Mpc です。
従って、3C273までの距離は20億光年であることがわかります。
これを元に計算すると天体の距離は20億光年かなたにあることがわかります。

私が以前見た天体カタログでは3C273は30億光年と書いてありましたが、実際には20億光年のようです。
図を使って、天体までの距離を見てみましょう。
比較のために次の天体を入れました。

1:3C273 30億光年
2:M51 2500万光年
3:アンドロメダ銀河 230万光年
4:オリオン大星雲 1500光年
5:シリウス 9光年






1999,6,15

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