食品経営者フォーラム


                               食品経営者フォ−ラム  第18回
  主  催  日本食糧新聞社                                                   河野善福  記
                        
  日  時  平成27年3月20日                                  〔講演会の要旨を書き取ったもので講演のすべてではありません〕

  会  場  パレスホテル東京

  講  師  農林水産省 食料産業局 局長 櫻庭英悦氏                       

        [ 進む国際化・食品産業の明日 ]
 私は農学部の出身で、1980年4月に農林水産省に入省し、3分の1は経済企画庁を
はじめ外に居ました。大臣官房を3分の1勤めてきました。
 近年は食生活が向上し、肉を多く食べるようになってきましたが、コメと肉の消費量は
逆の関係にあります。肉を食べるために必要な餌の穀物増産だけを考えていましたが、
近年は高齢化が進み、介護食品を必要とする認定者が561万人になりました。この人
たちの潜在的市場規模は2.8兆円です。機能性食品の市場は1兆円を超えました。世
界の食市場はアジアを中心に拡大し、現在の340兆円から平成32年には680兆円にな
ると予測されています。
 海外からの観光客も日本食を食べたいという希望が一番多くあります。もっと地方の良さを発信して、地方への誘客を行ってほしいと思います。富山県
は台湾で雪を観に来ませんかと呼びかけて成功しています。
 2000年のオリンピック時には世界中の食のメニューが集まります。ハラール対応もハセップ対応も必要になります。オリンピックではロンドンも北京も
食事は専門業者が作ってきました。の本のオリンピックでは地産地消にしたいと思います。
 人は500mを超えると買い物に行かなくなる、これからは通販・宅配が増える。品名を書いた紙に?印を付けさせて、週2回配達に行く牛乳屋さんに回
収させ商品を宅配するサービスが成功している。
我々はコメを食べているのではなくご飯を食べている。北海道では、近年美味しいお米がとれるようになったが半分は加工米である。酒用の米が不足し
ている。酒用米で人気の山田錦は耕作が難しい品種です。
食文化・食産業はグローバル化しています。外国人観光客が訪日前に期待することの第1位は食事で62.5%あり、外国人が好きな外国料理の1位も日
本料理66.3%です。海外にある日本食レストランは5万5千店になりました。アジアに27,000店、北米に17,000店あります。外国人を1,300人集めて食事会
を開催したら、おはぎが一番最初になくなりました。
日本食文化は、わが国の自然的な条件である海に囲まれた国土、活発な火山活動、温暖湿潤気候などが作ったうまみ文化と発酵文化等によって形成
されたもので、ミネラルの少ない軟水が出汁を引き出し、湿潤気候が麹カビを生かし味噌、醤油、日本酒を造り上げました。外国人には発酵と腐敗の違
いが判りません。
「和食」は新鮮で多様な山海の幸を使用し、その食材の持ち味を引き出し、引き立たせる工夫を行ない、ご飯、味噌汁と、魚や野菜・山菜などのおかず
とのバランスがよく構成されており、料理に葉や花などをあしらい、美しく盛り付ける表現法で、季節にあった食器の使用や部屋のしつらえを行うものとさ
れています。「和食の登録」はライフスタイルの登録であり、一つの食べ物の登録ではありません。継承し、保護し、守ってゆかねばなりません。
食に関するユネスコ無形文化遺産は、2010年にフランスの美食術、メキシコの伝統料理、地中海料理などが登録されております。「和食」は2013年に登
録されました。今年のミラノ万博、2020年のオリンピック東京大会に向けて、海外への日本食文化発信の絶好の機会ととらえています。
農林水産物・食品の輸出額は2012年が4,500億円で、2020年までに1兆円に拡大させることが目標です。日本の食品産業の海外展開は、2012年のアジ
アにおける現地法人数が694社で、国内法人数に対するアジアの現地法人数は、他の製造業に比較して3分の1ですから、まだ伸び代があります。グロ
ーバル化するときに現地の人をどう採用するかが今後の課題です。
東南アジアの各国では、農林水産物の生産から製造・加工・流通・消費に至る各段階の付加価値をつなぐことにより、食を基軸とする産地のこだわりを
消費者につなげていこうとしています。東南アジア各国での日本食普及イベントでは茶道・餅つき・マグロ解体ショーなどに高い関心がありました。タイ・カ
セサート大学での講義では「日本の食関連企業についてさらに理解できた」「日本の食関連企業について多くの成功事例と失敗事例を学べた」という感
想があった。
国際博覧会は0と5の年に開催されるもので、ミラノ国際博は今年5月から、半年間「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに開催されます。日
本館では、「日本食、日本食文化に詰め込まれた様々な知恵や技が、人類共通の課題解決に貢献していくこと」をテーマに準備中です。「食に関わる全
ての人々や自然の恵みに対する感謝の気持ちを表す言葉「いただきます」や「ごちそうさま」を共有することで、家族の絆を深め、友情を育み、コミュニケ
ーションの輪を広げていきます。
イベント広場では、裏千家の野立てを行い、フードコートでは日本ならではの食の楽しさや、世界に誇る食の技術などを紹介するが、火を使うな、商売気
の有ることをやるなとされています。
ミラノ国際博のための経費は75億円で、このうち農林水産省と経済産業省が25億円ずつ負担します。
 新しい介護食品(スマイルケア食)は65歳以上の高齢者向け食品ですが、わが国の65歳以上の高齢者人口は、10年前に20%(5人に一人)から、現
在は25%(4人に一人)となって、10年後には3人に一人になりことが予想されています。要介護認定者数も平成14年には345万人でしたが、平成24
年には561万人(高齢者人口の18%)で、潜在的なニーズは561万人×1,380円×365日=2.8兆円になります。介護をする家族も高齢化が進み7割が6
0歳以上の人が介護をしています。高齢者の摂食データによると、あまり噛めないので食べ物が限られる19%、ほとんど噛めない5%、全く噛めず流動
食6%と、3割が噛むことに問題を抱えています。65歳以上の高齢者のうち低栄養傾向者の割合は16.8%で、85歳以上者の29.6%が低栄養傾向者で
す。
 農林水産省が介護食品に取り組むのは、農林水産業・食品産業を振興し、国民への食糧の安定供給という農林水産省のミッションに合致するから
で、健康寿命の延伸にも資するからです。新しい介護食品の選び方は、「弱い力で噛める食品」「歯茎でつぶせる食品」「舌でつぶせる食品」です。介護
食品のJASを作りたいと考えています。
英語には介護食という言葉がないし、介護の概念がありません。中国の病院には給食がないので家族が弁当を運びます。インスタント食になりがちで
す。
 地域ブランドでは品質の統一化が図られず、商標制度では品質を制度的に担保することができません。ブランドの基準を満たさないものがブランドに
便乗し、ただ乗りが行われています。日本においては平成26年6月に「地理的表示保護制度」を創設し、27年6月に施行の予定です。特定農林水産物
の地理的表示、生産・加工業者の団体の登録を受理し、生産地や品質等の基準を満たすものに「統一マーク」を付すことで、他の産品との差別化を図
ることにしました。不正使用に対しては、行政が取締りを行い、生産者のブランド保護を行います。
 国内の農水産物の内、消費者仕向けは31.7%、食品製造仕向け61.6%、外食産業仕向け6.6%です。食品産業への就業者数は、食品製造業146万
人、外食産業330万人、食品関連流通業314万人で総計790万人は、産業全体6,311万人の13%です。

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