政治経済フォーラム


                                                                    河野 善福  記 
                                                   (挨拶および講演の概要を筆記したもので、発言のすべてではありません)


      日  時  平成24年12月20日 (木) 

      場  所  東京プリンスホテル プロビデンスホール


      「 千代田経済懇話会 (福田康夫後援会) 」  

      講  師  宮本 雄二氏
              京都大学法学部卒、外務省入省                
              元 駐中国特命全権大使


       テーマ   中国はどう動くか  〜〜〜 日中関係の有るべき方向 〜〜〜」


     【 講演要旨 】   

  中国との領土問題の膠着に対して、今後のわが国の対応はどうあるべきかという観点からお話をさせていただきます。 私が北京にいた時の1972
年に、田中総理に北京に来ていただいて日中国交は始まりました。2008年5月に福田総理が胡錦濤主席を、中国首脳としては始めて日本に招いて
「戦略的互恵関係」の包括的推進について共同声明を出してもらいました。日中両国の首脳が平和共存、互恵協力を確認し署名したのです。しかし、2
010年の尖閣諸島の衝突事件以降は外交の難しさというか、こういう状況になってしまい、国内政治の影響を受けるようになりました。 このことは中国
の国内でも例外ではありません。
 中国では今年11月に、第18回中国共産党大会が開催され、総書記以下の陣容が決まりました。新しく習近平、李克強体制となったことはご承知のと
おりです。今回の党大会には特別の意味があります。次の総書記を誰にするかを決めてなかった大会は今回が初めてだったのです。前例として今後を
占う例となりました。中国では派閥人事は重要で、これまでも熾烈な争いがあったことは事実です。すべてが党の集団的方針に基づいて決まっているの
です。胡錦濤の時の報告は18ヶ月かかってまとめたもので、トップが替わったからと言って党の方針は変らないように出来ています。党の方針として、胡
錦濤の時から経済発展が最も重要な任務であると書かれており、これは今も変っていません。しかし、中国だけが経済発展できるはづはなく、国際協調
が絶対に必要なのです。中国の国内の緊張は増しており、中国共産党の内部でも緊張しています。特に主権の問題は共産党が対外的に閉鎖の方針を
採ったら終わります。強行路線をとるということは国内を押さえられないということです。必ず国際協調に戻ってきます。強行路線をとるということは実は
弱さの裏返しなのです。中国共産党にとって党内で基本方針といえるのは経済対策です。中国は経済を成長させて、国内を安定させることが第一です。
社会の安定のために、対外路線を開放しなければならないのです。
 今回の共産党大会では、上層部を従来の9名から7名にしました。そのうち5名が習近平の息の掛かっている人です。習近平の方に皆んななびき始め
ています。5名はみんな習近平のイエスマンで、2002年に胡錦濤が就任したときには昔なじみは温家宝一人だけでしたが、習近平はこれで自分の特
色を出せます。
習は人民解放軍の中にも昔の仲間がいます。
 中国のこの30年の経済成長の中でも、この10年は急成長を遂げています。その中国で今何が問題なのかと言うと、信じるものが無くなったということ
です。
マルクスもレーニンも、また孔子も孟子も信じられなくなって、社会がバラバラになってきました。四人に一人が大学に行き、インターネットで知識を得る
時代です。貧しい人が豊かになり、豊かな人がさらに豊かになるこのスピードの差が、中国社会の差別をつくりだしています。権力を持っているかどうか
の違いが格差を造ってきました。その影にある腐敗が問題なのです。中華人民共産党が法律より上にあるのです。警察や裁判所よりも上に共産党があ
るのです。中国共産党中央政法委員会(警察庁長官)にいた孟建柱はいまは最高裁の長官です。共産党員が共産党を監査するのですから当然甘くなり
ます。腐敗問題を解決するには政治改革しかありませんが、中国共産党の手足を縛らないと解決しません。
 これまで中国は国内に投資をして、輸出をしてここまで伸びてきました。しかし、この勢いで輸出攻勢をかけられて耐えられる国はありません。消費主
導の国に転換を図羅鳴ければなりません。難しいことですがそれが習近平が引き継いだ中国なのです。胡錦濤の時代はケ小平の言ってることを守らな
ければいけなかったのですが、胡錦濤に比べて習近平は恵まれた船出といえるのではないでしょうか。舵取りを失敗すれば習は終わりです。
 第18回中国共産党党大会は、これまでの交替では見られない形でのトップの交代でした。従来は党大会の前に次の幹部は決まっていました。胡錦濤
にすがって生きている人が今も何千万人といます。派閥争いはコップの中の嵐に留まっており、コップを割るようなことは無いと思います。そういうものか
ら国民の気持ちを外に向けたいということで、尖閣諸島の問題はそれに利用されたのです。中国共産党が決めたことは覆すことは出来ません。
 習近平をはじめ新しい閣僚は毅然とした態度をとり始めました。ケ小平がベトナムに戦争を仕掛けたのは1979年です。尖閣諸島へは日本と同じくら
い実行支配を進めるでしょう。いかなる国の舟も沿岸国に害を与えない限り公海を通ってよいことになっていますが、最近は毎日のように領海侵犯が行
われています。日中両国がぶつかる可能性は高くなっています。意志の疎通が行われていれば良いのですが、危機管理のメカニズムが無いままで、執
行機関どうしが対峙しているのです。尖閣の領有権の問題は解決はほぼ無理です。中国は陸上の領有権の問題は50対50で解決しています。(ロシア
との領有権問題は国内での影響が大きいのでまだ公表していない)戦争しか解決方法が無いのならば、話し合いで氷漬けするしかないでしょう。新しい
政権が出来た今がチャンスです。中国は防衛予算を3倍に増やしているのですが、日本は減らしているのです。外交だけで支えることは不可能です。日
本も防衛予算を増やして、力をつけて対話を進める。解決策はそれしかありません。そうすれば、中国に押しまくられる外交ではない外交が出来ます。
経済で押しまくれば日本は音を上げるだろうと見ていたようですが、日本の社会は成熟しており、安定しております。
 最近は国家機密で発表がありませんが、中国のデモは年間18万件もあります。第17回大会で決めた経済成長計画7%は政治的に達成が必要でし
た。新規に就労する労働者は毎年2,000万人でこの労働者に仕事を与えなければならないのです。社会保障を充実し、彼らの不満を抑え国を統治す
るために経済成長が必要だったのです。今、日本と戦争をして一番困る国は中国です。日米防衛協定があります。中国は台湾が独立しないように軍事
力を強めていますが、その争いを防ぐために米国が援助しています。中国には13億人居る。色々な考えを持っている人が居り、ナショナリズムの強い
人も当然居ります。  当然外国に領土を持たない。軍拡は行わない。といった中道的な人もたくさん居ります。 ソ連の抱えていた問題が改革であり、
その改革を実行して、ゴルバチョフの時にソ連は崩壊しました。 「中国が改革を行えばゴルバチョフと同じ間違いを起すのではないか」という人も居ま
す。しかし、中国が改革をし、これが成功しないと中国共産党の未来はないのです。 ベルリンの崩壊もソ連の崩壊も予測できなかった私なので、確かな
ことは言えませんが、習近平の5年は持つだろうと思います。従来も党の中央部が決定したことの60〜70点でやって来ている国なので、100%解決し
ないと生き延びられないというものではありませんが、経済の問題はやらないと中国の明日はないといえます。
 中国では民間がやって、それがうまくいくと国営企業がやります。国営企業のトップは共産党員です。国民が一番怒っているのは彼ら国営企業のトップ
による賄賂・腐敗です。現実には腐敗をなくすことは不可能です。



   【 福田康夫氏 挨拶要旨 】

 年末ということも有りますが、今年は選挙をやっていたので、皆さんも心忙しかったことと思います。大変お世話になりましたことお礼申し上げます。
 日中関係は非常に難しくなっております。夫婦のようなものですが離婚調停機関が無いのです。これから五年・十年・百年先を見据えて対処していかな
ければならない宿命にあります。どういう知恵が出せるのか、国民同士の和解が必要です。皆さん一人ひとりが今後の日中関係を決めるのです。
 9月26日に次の選挙には出ないといいました。自民党の総裁選挙の日でした。自民党の政権復帰の見通しがたったので、次に引渡しをしようと考えて
発表しました。23年近く皆さんに応援していただきました。これから何をしようとしているかは、本日お渡しした文書を見て欲しいと思います。国会議員は
辞めますが、今までやってきた仕事の続きをやって行きます。学校の同級生にひけをとらないよう頑張ります。
 世襲問題が騒がれましたが息子にやらせました。要は人物・人間性の問題だと思います。 本日皆様にご挨拶させ、顔見世をさせようと思ったのです
が、所用で遅れて来ると言っています。心からお礼を申し上げます。
 来年は間違いなく良い年になりますので期待しましょう。一言ご挨拶を申し上げました。


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