第34回 新政研21フォーラム

                                          (このページの写真はすべて私が撮影した写真です)   河野 善福 記


          日  時  平成22年12月06日
          場  所  グランドプリンスホテル赤坂  「五色の間 : 新緑の間」

          「シンポジューム」
          講 師   外交評論家   岡本アソシェイツ    代表 岡本 行夫氏

          テーマ   「グローバル経済を生き抜く外交戦略を問う」


                  【講 演 要 旨】

  本日お話をするに際し、5月のこの会で何を話したか?。講演録を読み直してみたが、実に的確に近々の中国の動きを予測できており、我ながら良
かったと満足をしております。5月に話しましたように、中国は海軍力を増強し、ベトナム・フイリピンに次いでわが国固有の領土、尖閣列島を自国の領
土にしようとしております。
 国内の政治でありますが、最近の政権の迷走ぶりが気になります。私は福田先生の外交政策研究会メンバーとして、おもに外交問題をお話する会の
ブレーンとなっております。福田先生はおっしゃっていることがぶれない方です。鳩山さんは普天間基地の移転問題で、「最低でも県外」と言ったのです。
これは国外と言う意味でした。ですが、グアムが望ましいと言ったら政権には就けるわけが無いので、米軍基地をどうやっても本土に移設する必要があ
ると言ったのです。菅さんには決断力が見えていません。うまく舵取りをしてくれるように待つしかないのです。福田内閣とは官房を大切にするかどうかが
大きく違っています。福田内閣では政府の副官房長官と、事務方の副官房長官は、何かがあればすぐに集まって、官僚組織としての考え方をまとめ、対
処の骨格を作り総理に報告したので、総理大臣は的確に対処できたのです。今の民主党は、政治指導と言うことで政府の官房副長官がすべてを遣って
います。今回の尖閣事件でも皆が右往左往しました。海上保安官が投稿したユーチューブの映像によって、多くの人はその真実を知りました。他の国で
あれば当然砲撃しています。船のスクリューを狙って撃つくらいのことはするでしょう。ビデオを見たら北京まで飛んで行って、中国の指導者に見せて、
「このような行動をとった船長を釈放するからお前のところで処罰せよ」、「やらないのなら、国内法で処罰してビデヲを世界に流すぞ」と言えば、少なくと
も船長を政府専用機で迎えに来て英雄扱いにし、賠償せよと叫び、デモを煽ることは無かったはずです。このように即座に対処する、それが外交という
ものでしょう。大使館の館員が呼びつけられ、フジタの四人が逮捕され、面会もさせてもらえなかった。事務次官が総理に一人では会えないという現状は
おかしいです。尖閣問題だけでなくロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問問題もそう。「個人で国後に行って何が悪い」と言っている人に、何で菅
さんは、すぐ後の横浜APECで、なぜ、あのような笑顔で会えるのでしょうか?。
 65年間歯舞・色丹は日本に戻っていないのです。1945年に戦争は終わったのですが、ロシアとは平和条約をむすんでいないので、その後はずっと
戦争状態が続いて居ることになるのです。日本は国境を接するすべての隣国と紛争問題を抱えています。こんな国は他にはありません。中国ですら、保
証金によって国境問題を解決しているのです。橋本内閣の時は、エリチンとうまく行っていたので「北方の4島は日本のものだ。2島は返すが残りの2島
はそのうちにまた話し合って・・・」と言ってくれていたのです。私は個人的には、歯舞・色丹を先行して返してもらうべきと考えます。歯舞・色丹は北方4島
の中では7%にしかならないのですが、ますますロシアは非協力的になっています。これはロシアの国内問題だといってさえ言いだしました。現在のロシ
アではプーチンとメドベージェフとの力の差は歴然としております。プーチンが大統領になると言えばメドベージェフは首相で我慢するでしょう。ロシアの大
統領は歴代頭の髪の毛の濃いい人と薄い人が交替に就任してきております。プーチン首相が再度大統領になる可能性があります。
 竹島の問題は、国際裁判所に提訴しその決定に従うといった方法もあります。しかし、国際裁判所への提訴は両国が提訴しなければならないのです
が、韓国が提訴に応じないでしょう。日本は1960年代を最後に自分たちの物だと言っていないのですが、これは主張しなければなりません。
 尖閣は最も問題が少ない島です。この島は100年前には250人の日本人が生活していた島であること、中国漁船が遭難した際に救援に当たった魚
釣島の島民に対し、中国領事が書いた感謝状にも「大日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と書いており、中国政府もこの島を日本領と認めていたので
あって、この島には領土問題はないという立場を政府は取っています。中国政府は、大航海時代にこの島を見つけたという文献があることを主張してい
ますが、見つけた島は全部自国だという話は筋が通りません。「尖閣は日米安保の対象である」とクリントンが言ってくれてから、中国はあまり強いことを
言わなくなっている。米国は南シナ海のベトナムやシンガポールからは最近遠のいているように思われる。
 韓国軍との合同演習を終えた原子力推進空母”ジョージ・ワシントン”は、横須賀を母港として配備された米国第7艦隊の航空母艦です。乗員は5,70
0名、建造費は2兆円です。戦闘機85機を搭載し、艦隊として行動を共にする護衛艦・駆逐艦・潜水艦・補給艦等を合わせると3兆円の艦隊です。日本
の首都のすぐ隣に置いていることが、近隣国への抑止力になっているのです。第7艦隊と沖縄の第3海兵隊とが一緒になって、その力は発揮できるので
す。海兵隊は一部を移動させることは出来ません。海兵隊全体を動かさなければならないのです。コンパクトにすることは出来ますが、それのは20年・
30年を要します。沖縄の問題が何も動きません。県外移設を主張して再選された仲井真さんは、辺野古OKのサインをすれば裏切り者になります。しか
し、普天間で小さい事故が起こっても駄目でしょう。小沢さんは海兵隊を沖縄に置かせて遣っていると思っています。でも米国は海兵隊をが居てやってい
ると思っています。居させてやっているという人達は、何をやっても居てくれると思っているようですが、彼らは求められないところには居ません。彼らはす
ぐに出て行きます。沖縄は現在中国の短距離弾道弾の射程距離内に入っています。米軍が引いた時には日本は裸で居なければならないのです。
 北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃したのは、キム・ジョンイルが息子のキム・ジョンウンに肝試しに遣らせたと推測する人も居ます。キム・ジョンイルが「ラ
ングーン事件」を起したのが42歳のとき、「大韓航空機爆破事件」を起したのが46歳の時で、たふな事件を指導して53歳で最高指導者に就任していま
す。ジョンウンはまだ27歳で、彼が遣ったと観るのは危険です。その説が正かったらまた遣るでしょう。核開発も米国まで届くミサイルを持つまで遣るで
しょう。ミサイルはオドシの兵器ですから持つまで何度でも実験をします。
 時間が経てばかえって緊張は高まります。日米が力を合わせ力の均衡を保たなければなりません。北朝鮮はミサイルが日本に届かないと思ったとき
に、話し合いの場に出てくるでしょう。幻想を抱いてはいけません。
 直近の問題としては、経済のほうを心配しています。日本の経常収支14兆円の内、12兆円は所得収支なのです。日本の国債の発行残高は900兆
円を越えました。ギリシャなどヨーロッパでの通貨危機は国債を外国に買ってもらっていたので問題が大きくなりました。日本は国民の預金1,400兆円
で支えられていますから親子の貸し借りのようなものです。しかし、住宅ローンなどの国民の借金を差し引くと1.000兆円くらいになります。国債の発行
を続けると、日本の国内だけでは買えなくなる日が来ます。日本は消費税が5%で諸外国は10〜15%であるからまだ上げられるという意見もありま
す。法人税が諸外国より高く、企業は税金の安い国へ出て行こうとしています。今の円高の下で企業が何時まで国内で遣ってくれるかわかりません。企
業が海外に出ると海外での所得は海外で再投資することになります。
 エネルギー議論は、2020年をターゲットにやると鳩山さんが言ったので、遣ろうとしたが無理です。2030年なら車の7割がエコカーとなり、原発もふ
えるので何とかなります。
      
                  懇親会で挨拶された 福田康夫代議士と  ファッションデザイナー山本寛斎氏

(講演の概要を筆記したもので、発言のすべてではありません)
                                                                          

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