THE LAST MESSAGE 海猿



                                                                             〔文中に挿入している花はすべて私が撮影した写真です〕          河野 善福

     THE LAST MESSAGE「海猿」
 海上保安庁の救難隊潜水士の活躍を描き、2004年の映画化以来、テレビドラマを得て、三部作として製作された映画の完結編。
劇場公開は9月18日から、先行してストーリーの概要をお知らせするので、例によってストーリーを事前に知りたくない人は、以下を読まない
で欲しい。
世界最大級の大型天然ガス汲み上げ施設「レガリア」の、ガス貯蔵施設にガス汲み上げ船ドリルシップが接触する事故が発生して火災が起こ
る。
 
【キャスト】
仙崎大輔 (伊藤英明)海上保安庁の機動救難隊で活躍している潜水士。
仙崎環菜 (加藤あい)結婚3年目の記念日を迎えた大輔の妻。
仙崎大洋 (    )生後10ヶ月の大輔の長男。
吉岡哲也 (佐藤隆太)海上保安庁の機動救難隊で活躍している仙崎の職場仲間。
桜木浩一郎(加藤雅也)天然ガスプラントの設計主任。
西沢 夏 (吹石一恵)天然ガスプラントに勤務している女医。
木嶋久米夫(濱田 岳)天然ガスプラントに勤務している作業員。
服部拓也 (三浦翔平)第7管区機動救助隊の隊員。
遠藤   (勝村政信)「レガリア」プロジェクトの事業本部長。
北尾   (鶴見辰吾)機動救難隊の隊長。
下川   (時任三郎)機動救難隊の課長。
松原   (香里奈 )病院の看護士。
 

【ストーリー】
 海上保安庁に勤務している仙崎大輔と職場仲間の吉岡哲也が、職場で休憩時間にカセットデッキを前にして、ふざけて大騒ぎをしながら、楽しそうに
何やらメッセージを録音している。二人は親友で、「おれ達はバデイなんだ」といって、握り締めた拳骨を付き合わせる。
 
 海上保安庁の巡視艇が数隻、荒れ狂う大波にもまれて進む上空を、海上保安庁のヘリコプターが「北緯34度50分、東経190度」と飛行位置を通知
しながら現場に急いでいる。場所は福岡県の北方の日本海、海底から石油を汲み上げる大型施設「レガリア」にドリルシップが接触して火災が発生して
いる。
海上保安庁の本部に「火災消火活動中」と無線連絡が入る。機動救難隊課長の下川が「海上保安庁始めての事故だ。まもなく現場は台風の暴風域に
入る。5分後には必ずもどれ!」と指示を出す。内閣参事官の吉森がやってきて「レガリアは日韓共同の天然ガス汲み上げ施設だ、ロシアからも技術提
供を受け1500億円もの予算がつぎ込まれたている。国益を守るためにがんばってほしい」という。下川は「人命も守らねばならない」と答える。 
 
 「レガリア」の上空にヘリで到着した仙崎はロープを伝ってレガリアに降りる。レガリアの作業員をロープに結びヘリに吊り上げて、近くで待機している船
に運ぶ。レガリアは火災が広がり、爆発炎上が繰り返されている。仙崎は足を怪我している作業員の木嶋を介護している女性に出会う。彼女はこの施
設でただ一人の女医だと判る。彼女は「あと20分しかありません、逃げましょう」という。仙崎は「レガリアをこのままにしておく訳にはいかない」と答える。
 
 爆発炎上の続くレガリアの延焼を防ぐため、このプラントを設計した桜木が防護扉を降ろすスイッチボタンを次々と押していく。仙崎や女医の西沢達
は、防護扉が降りかけた一瞬に扉の下をくぐりぬけたり、降りかけた扉の下に壊れた機材を挟んで隙間を作ったりしてレガリアの施設内を逃げ回ってい
る。
 
 郊外の団地に仙崎環菜が息子の大洋を抱いて帰ってくる。部屋に入って明かりをつけると目の前に紐がぶら下がっており「1・2・3ダアー 紐を引く」と
書いた紙がぶら下がっている。環菜が「1・2・3ダアーッ」と掛け声を出して紐を勢い良く引くと、天井からクス球が割れて、紙ふぶきや紙テープの中に"
結婚三周年 祝"と書いた紙がぶら下がった。 
 
 海上保安庁の本部から現場に無線通知をしている。「巡視艇4隻が近くで待機している」「台風が近づいている」「レガリアには12万キロリッポウの天然
ガスがある」
 

 5人がレガリアの食堂に集まった。仙崎が自分の所属を名乗り、服部が「7管の服部です」と名乗った。仙崎は「ここにいる間は俺たちはバデイだ」とい
って握りこぶしを突き出した。服部もそれに答えて握りこぶしをぶっつけた。 仙崎が持っている無線機に「台風が通りすぎるまでヘリも船も近づけない」
と同僚の吉岡から無線連絡が入る。 桜木は「オレが作ったのだから判っている。レガリアは絶対沈まない」と不安がる4人に言う。 西沢女医は「シャッ
ターを閉めたのはあなたなの?」と、桜木に詰め寄る。 桜木は「レガリアは国家のプロジェクトが1500億をかけて作ったもので、将来のわが国を救う
のだ」と答える。 女医は「じゃあ、人の命より大事なの?」とたずねる。 「人はそう簡単には死なない!。・・・シャッターを閉めなかったら、レガリアは火
災でだめになっている」と、桜木は言い放った。 桜木は女医に「レガリアは女性の乗船を前提に設計していない」と言う。 夏は「私には女だからと特別
のことは必要ありません」と答えた。

 突然レガリアが地震のように小刻みに揺れ動き出す。 轟音と共に上から真っ黒い液体が流れ込み、全身にかぶさってくる。桜木が「海底のオイルが
噴き出したのだ。ブローアウトが起きた」と叫ぶ。 仙崎が「早く止めろ!・・・どうすればいいんだ」と叫ぶ。「僕が設計したのはレガリアだ。・・判るわけな
い」と言いながら、桜木が図面を広げる。 「このバルブを閉めるしかない」と桜木は、ドリルシップのガス汲み上げ装置を指差す。仙崎は「あんなところに
行けるわけが無い」と答える。黒い液体は引き続いて滝のように流れてくる。 仙崎と服部が二人でドリルシップに向かう。 途中で服部は怪我をして動
けなくなる。 仙崎が先にドリルシップのガス汲み上げ装置にたどり着きバルブを閉めようとするが、バルブが硬くて廻らない。 仙崎は鉄の棒を拾って、
これをテコにして全身の体重をかけるが、少しずつしか動かない。這うようにしてやっとたどり着いた服部が力を貸して、二人でバルブを廻し石油の吹き
上げが止まる。 座り込んだ服部が仙崎に言う。「俺にはもう無理です。・・・俺は憧れて海上保安官になったのではないんです。・・勤めていたところを逃
げ出し、公務員だったら親も文句を言わないだろうと思って入っただけです。・・自分が死ぬかもしれないんです。そんなの聞いてないです」 「どんな理由
で入ったとしても、厳しい訓練をして海猿になったんだよ」「でも恐いんです」「俺だって恐い。・・お前は一人ではないんだ。俺たちはバデイなんだ。・・さ
あ、皆のところに戻るぞ」
 仙崎と服部が、三人が待っている食堂に戻って来る。「ガスが止まって良かったです」と西沢女医が言う。 

 仙崎の家。 環菜はテレビのニュースで、レガリア事故の様子を伝えているのを聞く。「火災を起こしたレガリアには12万キロリットルの天然ガスが積
まれています。・・大型台風が接近中です」

 仙崎が話す「息子の大洋はまだ10ヶ月です。産まれた時は1000グラムで難産でした。お医者さんが二人共どうなるかわからないので、覚悟をしてく
れと。・・・そのとき思ったのです、僕が死んだり大怪我をしたらこの子たちはどうなるんだろうと。・・・恐くなったんです。・・・この子が大きくなって、自分の
ために親父は逃げたなんて思われるのが嫌で、俺はこの仕事をずっと続けたいと思ったんです。・・・じつは今日、結婚記念日なんですよ。・・・三人でお
祝いするつもりだったんです」

 海上保安庁の本部では、地図上に示した台風の進路予想を示して、消化活動中の艦船に「台風の直撃が近い、レガリアから離れろ!」と指示がでる。
吉岡はレガリアに残っている仙崎に無線連絡し、「鎮火したら、必ず助けに行くから、頑張れ」と伝える。

 仙崎のマンションで妻の環菜が、大洋を抱きしめて部屋に望然と立ち尽くしている。 テレビが「台風が事故を起こしたレガリアを直撃する」と伝えてい
る。環菜は「彼にもしものことがあってもこの子は私が守る」という。

 作業員の木嶋が親父との最後の会話など想い出話をする。西沢女医が「私は、本当はここに逃げてきたの、他の女に彼氏を取られたの。・・お前はキ
ックボクシングを遣ってるから、一人で生きて行けるだろって。・・意味がわかんない。・・いい女が出来たからなのに・・・」

レガリアの火災が大きくなる。崩れ落ちる機材と、降り注ぐ火の粉を避けて5人は逃げる。 迫ってくる炎を避けて皆が走る。 仙崎は本部の救難隊課長
の下川に無線連絡をする。「火がもうガスタンクの下まで迫っています」 吉岡が「ヘリは後、1時間は飛べないです」と言っている。 下川課長は「仙崎、
お前が指示を出せ。これから判断を下すのはお前だ」と命ずる。

 下川課長は「ガスタンクへの引火を防ぐにはレガリアを沈めるほか無い」と言う。「レガリアを沈めていいのですか桜木さん?」と仙崎が設計主任の桜
木に問う。「他に方法はありません」と桜木が答える。 「本当に沈めるのか?。・・」 「現場に居る保安官2名だけで沈める方法を考えてくれ」 

 災害対策本部に居る内閣参事官の吉森が「ばかなことを言うな、レガリアは国が1500億もかけた最重要施設なんだよ」と声を荒げる。 北尾は「わか
った、今から韓国とロシアの政府を説得する」と答える。吉森は下川課長に「あそこに残っている5人は、1500億を沈めてまで助ける価値のある人間な
のか?」と聞く。 下川課長は「私にはその質問の意味がまったくわかりません。・・レガリアを沈めるほかに手段はありません」と答える。
 


 「レガリア」設計主任の仙崎が設計図を広げて、レガリアを沈めるためのシュミレーションをコンピューターをたたいて行う。 仙崎はバルブ開放の作業
手順をプロジェクト事業本部の遠藤に伝える。 「シュミレーションの手法ならレガリアを完全に沈められる」 「だけど二人で遣れるのですか?」 遠藤は
「バルブを開放した途端に、お前たちのところに一気に海水がなだれ込む。・・・やれるか?」 とたずねる。「やります」
巡視艇にいる吉岡が「仙崎、・・おれ達はつながっているんだ。・・必ず戻って来い。・・何が何でも絶対に戻って来い」と無線機で伝える。

 仙崎は服部を連れて、レガリアの最低部に降りていく。二人は通路に沿ってロープを伸ばしながら、しっかりとパイプに結び付け、これを張りながら目的
地に走っていく。
 仙崎が服部に言う「お前は逃げてここに来たんじゃ無い」。 仙崎はバルブを次々に開いていく。 レガリアの上部側壁にあるドアが開き海水が一気に
なだれ込んでくる。 仙崎はさらに別のドアを開放する。滝のように流れ込む海水の勢いに身体を飛ばされそうになる二人。二人はロープにすがって必
死に通路を前に進む。そのとき、仙崎が海水の流れに足を取られて通路から落ちる。服部が駆け寄って必死に引き上げようとするが、仙崎の身体は何
かに挟まったのか動かない。 仙崎の腕をつかんで引き上げようとする服部に仙崎が言う「先に行け服部!・・足が折れた。」 服部は「先崎さんを置い
てなど行けません。」と言ったが、先崎は「早く行け!・・行くんだ!・・あの人たちを助けるんだ、それもお前の仕事だろう。・・早く行け!」と叫ぶ。 服部
が滝のように落ちる海水の中をロープ伝いに突っ走る。 仙崎は水かさの増す中で、背中に背負った潜水ボンベのコックを開き、エアーホースの先を口
にくわえて、海水の中に沈んでいった。

 マンションの部屋の中。 歩いていた環菜の足が床にあったぬいぐるみにさわり、ぬいぐるみのおなかの中に隠していた録音テープが廻りだす。
大輔の声が聞こえる。 「今日は結婚3周年記念日です。・・・お前からはいろんなものを貰った。・・大洋も生んでくれた。・・・覚えているか?、大洋が始
めて哺乳瓶からミルクを飲んだときを、哺乳瓶をつかんだ大輔の手が、俺にはガッツポーズに見えたんだ。・・・おれが環菜にしてあげられることなんて知
れているけど、来年はすごいぞ。再来年はもっとすごいぞ。・・おれは環菜に会えて良かった。本当に良かった。」

 環菜が二人が出会ってからの楽しかった日々を思い出す。デートをしたときのこと、結婚式の日のこと、走馬灯のように次々と思い出が浮かんでは消
えていく。

 テープが廻り続ける「ずっと一緒に居ような。・・これから50年、60年・・結婚記念日を祝おうな。・・・」 だまって聞いていた環菜が「もし大輔君が居なく
なったら、私はどうしたら良いの?・・・大輔君が居なきゃわたしはだめなの」といって泣き崩れる。

 巡視艇の上、嵐の中で救出された4人がヘリから船に乗り移っている。 服部が泣いている。

 吉岡が「服部!・・大輔さんはどこに居るんだ!。・・俺たちは絶対にバディを死なせちゃいけないんだ」と叫ぶ。

 巡視艇がレガリアに急行する。 ヘリが数機巡視艇から発進してレガリアに急ぐ。 台風の通過した直後の海はまだ荒れ狂っている。 レガリアは施設
の一部だけを海面上に出しており、まもなく沈んでしまいそうに見える。 吉岡と服部が潜水具を身につけてヘリから海に飛び降りる。 隊員が4〜5人続
いて海に飛び降りる。
 レガリアの船底の海水の中で仙崎を探していた服部が、水中に浮かんでいるヘルメットを見つける。ヘルメットには"仙崎"と文字が見える。 服部がさ
らに進むと大量に泡が吹き出しているのを見つける。 酸素ボンベから出る空気の泡の下に、仙崎は意識も朦朧として動けないで居た。 服部が仙崎を
引き出し、抱えあげてレガリアの船内から脱出する。 浮上する二人を救難隊の仲間が取り囲んで迎えてくれる。

巡視艇の上で吉岡が「救助隊員全員無事です」と報告する。 服部がいう「俺はもう逃げません。・・・おれは海上保安官です」と。
レガリアが爆発、炎上し煙だけを残して沈没して行った。

 巡視艇が港に戻ってくる。  杖を突いて足を引きづりながら仙崎が船から下りてくる。 大勢の出迎え者の影に環菜が大洋を抱いて立っている。 大
輔が環菜の前に行って「ただいま」と言う。環菜は「おかえりなさい」と笑顔で迎える。 大輔は「おそくなってごめんな」と環菜にあやまり、頭を下げる。

 西沢女医に作業員の木嶋が「また逃げられたね」と言ってひやかす。        =  終わり =


 スティーヴ・マックイーンが消防士として135階のビル火災に挑んだ映画「タワーリング・インフェルノ」を思い出す。息つく暇も許さない迫力ある映画で
す。 どうぞ、劇場に観に行って文章では表現できない臨場感を味わってください。

    平成22年8月  鑑賞   






トップへ
トップへ
戻る
戻る