第33回 新政研21フォーラム


                                                (このページの写真はすべて私が撮影した写真です)   河野 善福 記


          日  時  平成22年5月10日
          場  所  グランドプリンスホテル赤坂  「五色 : 新緑の間」

          福田 康夫 先生    「 挨 拶  要 旨 」


                           先日、中国の海南島で行われた会議に理事長として参加してきた。中国の経済発展は目覚しい。
                           その中国がこれからどうしようとしているのか。  それを討議する経済中心の会議であった。
                           28回目になるOBサミットも三十人近くが集まって広島で行われた。 OBは大局的見地から話し
                           合うことができたので、大変有意義な会議であった。 核を保有している国の首脳は一度は広島
                           に来るべきであると思っている。 
                           世界の人口は、現在66億人で2050年には90億人を越える。人口の問題は環境と密接な関係に
                           ある。 経済は単に大きくなるだけでなく発展しなければならない。日本の考え方を話して、自国に
                           持ち帰って、若い人達にやってもらうための道筋をつける仕事をしている。 日本がうろうろしてい
                           てはいけない、前に進むしかない。
                           沖縄の問題だけではない。安全保障、日本の経済、アジア全体に関すること、すべてを安心でき
                           るようにしなければならないと思っている。
                           皆様方に心配をかけることは本位ではないが、選挙がないと現状を変えることは出来ない。次の
                           参議院選挙で良い結果が出れば次につながる。 皆様方のお力をお借りしたい。





          「 どうなる日米
                  −  日本の針路を探る − 
                                                   講  師   外交評論家
                                                          岡本アソシエイツ代表
                                                          岡 本  行 夫 氏


                             昨年夏の選挙は民主党の勝利で終わった。 しかし、選挙に勝ったら何をやっても良いとは言え
                            ない。没落した日本は世界から忘れられようとしている。今の日本は途上国からの信認さえない。
                            国連の安全保障理事会の常任理事国入りをめざし、理事国を拡大する法案を提案したが、日本
                            の共同提案国になって呉れたのは、アフガニスタン、ブータン、モルディブの3カ国だけだった。
                            中国の代表が「日本は軍国主義の国だ」と大批判をしたので、多くの国が強調してくれなかったの
                            です。
                             アジアの海洋国家群である韓国、台湾、フィリピン、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、など
                            では政治的な境界線を武力で替える事には反対であると表明している。しかし2000年を100と
                            した時の軍備費は、中国は288、欧米諸国が130位に対し、日本は逆に減っています。
                             自民党が日本の国防費を減したのです。中国は潜水艦を主力とする外洋向け艦船の建造を倍
                            増させている。韓国も12隻の潜水艦を26とするし、オーストラリアも倍増する。日本は現在16隻
                            の潜水艦を所有している。4年に1隻作っていたが、中国が明日攻めて来るわけでは無いでしょう
                            と呑気なことを言って、5年に1隻造ることにしているのです。
    中国が太平洋に出ることをなぜ問題にするか。それは、中国が東シナ海を狙っているからです。中国は1971年から、日本の領土である
   尖閣諸島を「尖閣諸島は中国の領土である」と主張しているのです。米軍が撤退した後のフィリピンでも南沙諸島をとり、1974年に米軍が
   退いたベトナムでもジョンソン環礁を取られたのです。ベトナムはこの時60人の死者を出しました。彼らが今、手を出していないのは尖閣
   諸島だけです。米軍はグアムのような狭いところには絶対に行きません。本土までさがれば、彼らは「尖閣は日本が不法に占拠していると」
   と言うでしょう。尖閣の周り200海里の「排他的経済水域」を中国のものだと主張するでしょう。中国が尖閣に上陸しても米国は戦っては呉
   れません。しかし、中国は米国との関係を壊したくは無いので今は手を出しません。それが抑止力と言うものです。
    米国は日本に艦隊を始めとして3兆円の資産を置いて極東を守ってくれているのです。中国は日本の自衛隊は恐くないが、日本を攻撃す
   れば米国を攻撃したものとみなす、となっているから攻撃できないのです。
    その中国が、近く3つの連合艦隊を持つこととなるので、米軍は第7艦隊だけでは極東を守れません。台湾の基地は中国側ではなく太平
   洋側にあるので、中国はいつでも艦隊を外洋に出して台湾を攻撃できるようになるし、自分の手の中に来ると考えているのです。
    中国は太平洋海域で資源を手に入れようとしているのです。世界の何処へ行っても、日本が資源を手に入れようとすると、必ず中国が先
   に来ています。タングステンの85%は中国が抑えています。タングステンは硬いので、これの粉末を焼き固めて工具を作ることを、手先の
   器用な日本人がやっているが、これの輸出をやめて自分で工具を作ろうとしています。シンセンの不動産屋さんがアフリカに行って、鉱山
   大臣と契約書を交わして、素人が銅を取っている。これが中国の現状です。 日本は明治維新後40年で大国と戦った。今日本にそのよう
   な考えを持てる者は居ないが、中国人は今それをやっているのです。 パソコンのような小物の組み立ては中国でも出来るけども、何万と
   部品のある自動車の組み立ては出来ないと思っていた。しかし、日本が考えたコンピューターで数値化した生産ラインを導入して、今はや
   れるようになっているのです。 日本の電気7社の売り上げは、韓国のサムスン1社に勝てないのです。インドでは電化製品の70%は韓国
   製品で残り30%を日本は分け合っています。日本に優位性のあるのは材料だけです。バイオはもう駄目です。中小企業が良い材料を使っ
   て、優秀な部品を作っています。
    今回民主党が決めた子供手当ては、5兆3000億円の予算が必要で、国防費よりも多いのです。私は反対です。予算規模が80兆円の
   ころ、社会補償費、教育費など決まったものを除くと、使える予算は25兆円しかありませんでした。国の借金が大きすぎます。日本の経済
   収支が悪くなると、国債の金利を上げないと誰も国債を買ってくれなくなります。今国債の金利が1%上がると8兆円必要なのです。
    沖縄の問題は、自民党が米国と決めていたことです。普天間基地は米軍海兵隊の足です。足だけを切ったら米軍は動けません。移すな
   ら海兵隊全体を移すしかありません。これを引き受けてくれる地方がどこにありますか。米軍基地の75%が沖縄にあることは改めなけれ
   ばならないが、それは10年・20年かかる話です。防衛施設を持ってきてくれと言っている地方も有りますが、すぐ出来るかのような夢を与
   えた彼らはもう戻れません。今の政府には鳩山さんを補佐する体制が必要です。普天間第二小学校は反対派の拠点なのです。あそこに
   行かしてはいけません。米軍とは移転することも、移転先も決まっていたのです。それを反対したのは普天間にいる反対派なのです。彼ら
   は、移転問題を政治的に利用しているのです。宜野湾市の市長は県外でないといけないというが、名護市が15年間引き受けると言ってい
   たのですから、頭を下げれば解決したことです。沖縄県民と膝を交えて、多くの人の意見を聞くべきです。海兵隊が沖縄に何時まで必要か
   は、私にも判らないが、抑止力が拘わっている問題ですから、冷却期間をおいて、改めて話し合いを持つべきです。戦争の時から沖縄に
   は迷惑をかけてきた。基地を続けろとはもう言ってはいけないと思う。
    日本の防衛費はGDPで見ると、世界の114番目です。後、4〜6兆円積み増せれば良いが、いまの日本に出来るだろうか。国民は支援
   しないと思う。だから、日米安保が必要なのです。米国と一緒に国土を守って行くしかないのです。



                      (挨拶および講演の概要を筆記したもので、発言のすべてではありません)         

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