第29回新政研21フォーラム                           

                                               (このページの写真はすべて私が撮影した写真です)   河野 善福 記

     日  時  平成20年12月18日
      場  所  グランドプリンスホテル赤坂 別館「ロイヤルホール」
  挨拶する福田康夫代議士
   
    【挨拶 要旨】
 日本は競争社会であるが損をしてはいけない。 地球全体が混乱している今日、他国と比べて沈下の度合いがどうなのかを考えていきたい。 総理の
ときに寺島氏には環境問題を担当してもらった。 世界に遜色ない方向性を示すことが出来たと自負している。 現在の世界はすべてに難しい状況で有
るので、政治は安定しなければならない。 解散すれば2ヶ月の遅れが出て他国に迷惑をかける。 最近は円高であるので日本のGDPは世界の5指に
入り、世界から評価されているということを自覚する必要がある。
 麻生総理は早期解散を睨んで総理になったが、サブ・プライムローンやリーマンブラザースの破綻問題から、現在の世界経済は混乱しており、今解散
すべきではないと思っている。 今の私は何をやるかを自分で決められる立場にあるので、ベトナム・中国に行って、「大国が今後どういう責任を持つの
か?」話して来たいと思っている。


                              

   「2008年を総括し世界の潮流と日本の進路を考える」
       フォーラム   講   師   財団法人 日本総合研究所 会長 寺島 実郎氏
                         三井物産戦略研究所    所長
                             1947年8月11日  北海道生まれ   1973年早稲田大学大学院政治学研究科終了
                             同年三井物産入社           2003年4月同社執行役員就任


   【講演 要旨】
 来年は糸のように縺れた1年となる。 60年前1ドルが360円に決まった。 明治新政権が出来て通貨が円と定められた時、1ドルは4円でスタートし
た。 戦争で負けたときの360円は90分の1の価値に落ちていた。 1975年にロンドンに行ったとき日本の銀行小切手を出したら、フイジー島の銀行
か?、と言われた。それが今はデノミをやれば1ドル=1円の時代になった。 韓国のウオンは低落し、今韓国では日本に対する敬意は高まっている。
 21世紀に入ってからの7年間の世界の年平均は、*世界経済の成長率は3.2%。 *世界エネルギーの消費量伸び率3.0%。 *世界貿易の伸
び率7.2%(半分は自動車と半導体)。 実体経済はこの程度であったが、*世界の株式の時価総額の伸び率13,6%となり、実体経済を離れた異様
な株価形成がなされた。 世界株価の総額で見るなれば、04年の31,2兆ドルが07年10月64.1兆ドルになり、この1年で46.7%下落して33.7兆
ドルに戻った。
 今朝、衝撃的なニュースが入った。 米国のFRBが金利を0%とすると発表した。 FRB金利は、昨年9月4.75%で日本は0.5%あった。 現在の日
本は0.3%であるが、金利差でまだドルが買われていた。 これが逆転したので世界で円買いが行われ、今日は88円台まで買い進まれた。
 これからの世界に国際連帯税(地球環境税)が必要と考えている。 自分の国にさえ税を払わないように節税策(タックスヘイブン)の行われる今日、国
境を越えたマネーゲーム(為替取引)に薄く広く税を掛け、この税金を環境に使うという考え方である。
 06年3月フランス・ブラジルが提唱した「国を通る人から空の通行税を取る」という考え方に、日本もこの9月、福田総理の最後の仕事として世界55番
目の参加表明を行った。 米国・中国は参加しない方針で居るが、この国が参加しないのはまずい。
 日本の食糧自給率を向上させようとしているが、日本では「外貨を稼いでその金で外国から買えばいい」と言う風潮があった。しかし、食料を海外に依
存するのはまずい。 食料自給率を10%上げるにはどうしたらよいか?。 それを色々研究しているが、「農業生産法人」を立ち上げるしかないと思って
いる。 国内の農耕放棄地が37万haある、この地で家畜の餌料用となる多収穫米を生産すればよい。 遠い国から船で燃料を使ってトウモロコシを買
わないで済み環境にも優しくなる。 日本産の高級米、果物、魚などを輸出し戦う農業にしなければならない。
 日本の食糧自給率は、1965年GTPが1人当たり1000ドルの頃73%で、その頃の一次産業への就業者は24%であった。 15年後1人当たりGTP
が10,000ドルになった時の自給率が51%で、同就業者は10%になった。 それが06年は自給率40%、就業者4%である。  わが国の貿易構造も大
きく変化している。 日本は通商国家で資源を購入し、製品にして輸出する。その大半は米国との貿易であると教えられてきた。 90年の日本の輸出に
占める割合は米国32%、大中華圏(香港・台湾を含む)16%であったが、07年には米国20%、大中華圏30%になった。 輸入に占める割合も90年
に米国22%、大中華圏11%であったが、07年には米国11%、大中華圏25%になっている。 中国の発展は目覚しい。 北京オリンピックの開会式で
繰り広げられたセレモニーは、中華民族の歴史的成果を、世界の人々に改めて知らせたのであり、「人類の四大発明(火薬、羅針盤、紙、活版印刷)は
すべて中国がやった」と言うことを胡錦涛国家主席は力説し、5族共和を図ろうとしている。
 日米安保に対しても、日本人は「なぜ米軍の駐留費の70%を日本が持たねばならないのか?」と言い、米国人は「何で日本の防衛のために、アメリカ
の若者が、命を懸けなきゃならないのか?」と言う事になる。
 日本再生へのシナリオは、「自らの運命を自分で切り開け」と言うしかない。 我々は「小さい国で、資源のない国」と言ってきた。 しかし、07年4月、
海洋基本法が成立し、探査・採鉱技術の高度化により「海底熱水鉱床」を現在11箇所発見している。 近海底に希少金属や天然ガスの埋蔵が分かって
きた。 海外に依存しているエネルギーも食糧も自前で求めることが出来る。 

 (挨拶および講演の概要を筆記したもので、発言のすべてではありません) 
                                                    記  河野 善福
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