Mission : Inpossible : V
トム・クルーズの「M:I」シリーズとして、6年ぶりに公開となったこの第3作目は、前回以上に息をも
付かせぬほどに興奮の連続となる、アクションとサスペンスに満ちた作品です。
【キャスト】 〔文中に挿入している花はすべて私が撮影した写真です〕 河野 善福
イーサン・マシュー・ハント(トム・クルーズ) IMF(スパイ組織)を引退して、組織の教官となり新人を育成していたが、
教え子を人質に取られ現場に復帰する男。
オーウェン・デイヴィアン(フイリップ・シーモア・ホフマン) 国際的な武器のブローカーで、冷酷な悪人。
ジュリア・アンミーグ・ハント (ミシェル・モナハン)イーサンのフイアンセ。イーサンが秘密組織の男であることを知らない女性。
ジョン・ブラッセル(ローレンス・フィッシュバーン) IMF本部のチームを統括している指揮官の男。
マスグレイブ(ビリー・クラダップ) IMF本部でチームを統括しているブラッセルの補佐官の男。
デクラン(ジョナサン・リス=マイヤーズ) イーサンのパートナーで船・車・ヘリ・飛行機なんでも操縦する男。
ルーサー・スティッケル(ヴイング・レイムス) イーサンのパートナーで、メカもコンピューターも自在に動かす男。
ベンジー(サイモン・ペッグ) イーサンのパートナーで、世界中の情報をパソコンを使って探る男。
ゼーン(マギー・Q) イーサンチームの紅一点。最新兵器に詳しい仲間。
リンジー・エリザベス・フェリス(ケリー・ラッセル) イーサンの教え子で、人質になった女。
【プロローグ】
全身傷だらけで、顔面には鼻血を流し、両手に手錠を掛けられ、縛られたイーサン・ハントが、苦しさに耐えながら「クソッ・・」と
言いながら男をにらみつけている。 男は国際的な武器のブローカーのオーウェン・デイヴィアンである。 オーウェンがイーサン
に「頭に爆弾を埋め込んだ」と言い、さらに「お前なら判るだろう?・・・ラビット・フットはどこだ!」と聞く。 イーサンが「渡しただ
ろ・・」と応える。 オーウェンがピストルを持ち出して、さらに聞く「ラビット・フットはどこだ!」 イーサンが「どういうことなん
だ?・・・あれじゃないのか?」と聞き返すと、「10数へ終わるまでにどこにあるかを教えろ・・・さもないと彼女は死ぬ」とオーウェ
ンが言う。 オーウェンがピストルを向けた先には、猿ぐつわをされてイスに縛られた、イーサンのフイアンセ、ジュリアが悲しそう
な目でイーサンを見ている。 「ジュリア・・・大丈夫だからな」とイーサンは言う。 「1・・・」 「あれじゃダメなのか?・・違うのなら
もう一度取りに行く・・・」 「2・・・」 「話し合おうじゃないか」 「3・・・」 「判ったよ・・どこにあるか知ってるよ・・・力になるよ」 「飛
行機の時のようにか?・・」 「銃を下ろしてくれよ」 「お前しだいだ・・4」 「パリにある・・・解放してくれたら詳しく話す」 「パリに
はないな・・・5」 「俺が頼りだろ・・・彼女を殺したら唯一手に入れられる方法は・・・」 いきなりオーウェンがジュリアを痛めつけ
る。 イーサンが「何をするんだ・・この野郎!」と叫ぶが、自分は動けない。 オーウェンは「本気じゃないと想っているんだ
ろ!・・どこにある?!」と聞く。 「7だ・・殺すぞ!」 「お前を殺してやる!」 「8!」 「お願いだ・・彼女を放してくれ・・・・約束す
る!。見つけてくる」 「9だ!」 「聞いてくれ・・・力になる・・何でもするから・・やめてくれ・・頼む・・お願いだ」 「10!」 「バー
ン」ピストルが火を噴いた。
【ストーリー】
イーサンがフィアンセのジュリアの家に来ている。 ジュリアの親戚の人達が大勢集まってパーテイを催っている。 イーサンが
台所でジュリアにキスをしている。 「ジュリエット・・お姉さんが着たわよ」と呼ぶ声がする。 姉を迎えに表に出ると、姉はイーサ
ンを見て「彼なの?・・とってもハンサムね」と言う。 「ママが会いたがっているわ・・・せっかくバージニアから来たんだから・・」と
家の中に案内する。 姉が「ジュリアから電話で結婚するって聞いた時は、父が居ないから一緒にバージンロードを歩く人が居な
くて残念だと思ったわ」とイーサンに言う。 ジュリアが「でも・・イーサンもご両親を亡くしてるって聞いて、もっと悲しくなったけ
ど・・・でも思ったのこれは新しい家族のはじまりだって・・・、皆も、もうすぐ叔母さんになって貰うから覚悟をしておいてね」と笑わ
せる。
全員で乾杯をして思い思いに会話が始まる。 若者がイーサンのところへ来て「勤めてどのくらい?」と聞く、「10年以上だよ」
「運輸省では何を?・・」 「交通パターンの研究を・・・車間距離自動制御システムの研究だよ。素晴らしいだろ」と答える。 そば
で聞いていた女性が「あんな人と結婚したいわ」と言う。 ジュリアを中心に女同士の話が弾む「3週間の新婚旅行だったのね」と
か、「湖に行ったのよね、あの湖なんて言った?」と話していると、台所に居るイーサンが「ワナカだよ」と答える。 ジュリアの周り
に居た女性たちが「話し聞こえたの?」 「どうやって?」と不思議がる。 イーサンは唇の動きで言葉が判るのだ。 やがてダン
スが始まった。
イーサンの携帯電話が鳴った「イーサン・ハントさんですか?・・」 「ええ・・」 「レディ・トラベル・リゾート・サービスです。メキシ
コ旅行への招待をご案内しております」 イーサンは不安げな顔で電話を切る。 離れたところで楽しそうに会話に夢中になって
いるジュリアの顔を見る。 新しい指令が来たのだ。 イーサンは氷の入ったバケツを裏庭に持ち出し、氷を捨てバケツを空にし
て、ジュリアのそばに行き、「氷がなくなった・・・買って来るね」と言う。 「誰かに頼めばいいじゃない」 「俺が行くよ。すぐ戻
る・・・」
イーサンは車を飛ばしてコンビにやってくる。 奥の雑誌売り場のところに行って、背中合わせに並んで、男に小声で話しかけ
る。 男はイーサンが勤務しているIMF(スパイ組織)のチームの統括補佐官マスグレイブであった。 男が「パーティはどう
だ?・・・電話して悪かったよ」と言う。 「来れば良かったのに・・」 「呼ばれなかっただろ」 「呼ぼうとしたさ」 「君には第一線に
戻ってきてもらいたいとずっと思っている。・・でも君の選択を尊重してるよ。・・家族が第一だからな」 「一体何があったんだ」 マ
スグレイブは眼を合わさないまま横に並んで、そ知らぬ顔をして話す「エージェント・フェリスが任務中だった・・・失踪したんだ、も
う11時間も経つ。救出を君に頼みたい」と。 じっと考え込んでいたイーサンが「誰か違う人を探してくれ」と言って帰りかける。
「そうだな・・・気が向いたら朝までに頼むよ。・・・パーティの写真でも見せてくれよな」そう言ってマスグレイブが立ち去るとき、商
品棚にぶら下がっている使い捨てカメラに肩が触れる。 カメラが大きく揺れているのをイーサンは見逃さなかった。
部屋に帰ったイーサンが使い捨てカメラのファインダーを覗いている。 ”ID認証 イーサン・ハント” 衛星から撮影された画像
が流れて、音声が聞こえてくる。 「3日前エージェント・フェリスが任務中に捕まった。 これが追跡中の人物オーウェン・デイヴィ
アンだ。 詳細は極秘だが、デイヴィアンはとても危険な密輸人だ。 1400時間前に衛星でやつの部下の車体ナンバーを確認
した。 車はベルリンのある工場で停まった。 だれか中に人質が居るようだ。 たぶんフェリスだろう。 デイヴィアンに近づける
チャンスかも知れない。 もし君が引き受けてくれるなら、君の任務は彼女を助け出すことだ。 もうチームは組んでおいた」 音
声が切れて、顔写真が現れる。 デクラン、ゼーン(女性)、ルーサー、みんなIMFの現役エージェントたちだ。 先ほど逢ったばか
りの統括補佐官マスグレイブの顔が映って「このメッセージは君への婚約祝いだ。・・・5秒後に消滅する・・・成功を祈る」と喋る。
使い捨てカメラから煙が出てやがて燃えてしまう。
イーサンとジュリアがベットの中に居る。 ジュリアが「実戦に出てもいいのね。?」と聞く。 イーサンが「大丈夫か?・・・いい
よ。」と答える。 続いてイーサンが気まずそうに言い出す「・・・会社から電話があってね、・・・ヒューストンに行かなくちゃ行けな
い・・・・会議があるんだ。」 「急ね」 「ああ」
イーサンがバイクを飛ばして空港へ行く。 空港にはデクラン、ゼーン、ルーサー、の三人が待っていた。 「これはこれは・・・教
官様のお出ましですか」 「心配要らんよ、・・・助けだしに行こうぜ」 「よく戻ってきてくれたな」と口ぐちに歓迎してくれる。
ベルリンのアレマリア。 武装した四人が夜陰に乗じて工場に侵入した。 イーサンがルーサーに聞く。「武器の用意は?」
「大丈夫だ・・・6種類あるが?」 「お前に任せるよ」 ルーサーがコンピューター室に入って操作を始めた。 ”1、起動・・・
2、起動・・・ 3、起動・・・ 4、起動・・・準備完了” コンピューター画面に監視装置が映る。 全員がトランスミッター(無線
機)を通じて連絡を取り合っている。 ルーサーが「監視員は2階、3階、4階に配置されている。・・・計14人は居るぞ」と教える。
イーサンが「ポジションに着いたよ」と伝える。 「了解。・・待機していてくれ」とルーサーの声がする。 ルーサーが監視装置を
操作してリンジーの居場所を探す。 「対象は6階に居る・・・2人監視員がいる」 イーサンが「侵入するぞ!」と伝えて工場内を
走る。 トランスミッターを通じてルーサーが「いずれは結婚後の引退について話し合わなきゃならないな」というが、イーサンは
「待ってくれよ君には関係のないことだろ」と答える。 イーサンは持っていた遠隔爆破装置を壁に取り付けた。 ルーサーが「彼
女のどこが気に入ったんだ?・・・彼女でいいのか?」としつこく聞くが、 イーサンは「彼女にあったことはないだろ?」と答える。
「二階の北西の方向に二人居る」とイーサンが伝える。 「聞こえるか二階に居るぞ」とルーサーの声。 「了解・・・2分頂戴」と
ゼーンの声。 イーサンが「目標確認」と伝える。 部屋の中に男が二人居て、イスにのけぞるようにして両手を縛られたリンジ
ー・フェリスがいる。
イーサンが「3秒以内で行くぞ」と伝えると、「了解・・用意は出来ています」とデクランから返事が返ってきた。 デクランがヘリコ
プターのエンジンを始動した。 イーサンが「行くぞ準備は良いか!」と聞いて閃光メガネを掛ける。 「3・・2・・1・・遂行」 イーサ
ンが遠隔爆破装置のスイッチを押す。 大爆破が起こり室内の男が吹き飛ぶ。 監視員が一斉に撃ってくる。 「おい!・・こっち
だ」と監視員が叫ぶ。 「クリアだ・・・早く行け!」とルーサーが叫ぶ。 イーサンが部屋に飛び込んで、「リンジー!・・リンジ
ー!」と呼ぶ。 気を失いかけたリンジーが「イーサン・・・・」と答える。 リンジーの顔にはいくつも傷がある。 「戻ろう・・」イーサ
ンはロープを解きながら「対象を確保した。・・3分で帰る」と伝えた。 「了解」 イーサンは「アドレナリンだ、少し痛むぞ」と言って
リンジーの胸に打ち込んだ。 リンジーが悲鳴を上げる。 ビルの中ではルーサーたちが監視員と撃ち合っている。 「2階は全部
クリアした」 ゼーンが室内に入ると、倒れた監視員の手から転がり落ちる手りゅう弾が見えた。 ゼーンは後ろ向きに窓ガラスを
突き破って外に飛び出る。爆風がゼーンの後を追う。
イーサンが「今、移動している・・あと90秒で着く」とリンジーと二人で走りながら報告する。 「了解」 「フェニックス、すぐ来てく
れ」 「了解すぐ行く」 デクランがヘリでビルの屋上に近づく。 走りながらリンジーが「イーサン・・・話したいことがあるの・・・あな
たのためよ。・・トランスミッターを切って・・早く!」と言う。 大爆破が起こり、監視員が銃を乱射して近づいてくる。(激しい撃ち合
いが続く) 物陰に隠れたリンジーにイーサンがピストルを投げる。 銃を受け取ったリンジーが相手を射殺する。 「逃げろ!」
二人が銃を乱射しながら走る。 「玉切れよ・・・そっちは?」 「十分あるよ」
ルーサーがトラックを運転して、ビルの下に来る。 イーサンは窓際に来て、ロープを固定し、リンジーに「俺に捕まれ・・」と言っ
てから、遠隔爆破装置を壁に投げて固定させ、二人でロープにすがってトラックの屋根の上に降りる。 ゼーンがトラックに乗り込
むのを確認して、イーサンは爆破装置のスイッチを押した。 ビルは大爆発を起こして炎に包まれた。 ルーサーが「掴まってろ」
と言ってトラックを発信させたので、二人は揺れるトラックの屋根の上に腹ばいになって掴まっている。 デクランのヘリが着地し
て、全員がヘリに乗り換えようとした時、リンジーが頭を抱え込んで「やめて!・・・放なして!」と叫ぶ。 「どうした・・一体何
が・・・?」とイーサンが聞く。 ゼーンがトラックに遠隔爆破装置を取り付けてくる。 リンジーが「なに・・この音・・聞こえない?・・」
と言って、頭を抱え身体を丸めて苦しむ。 デクランが「行くぞ!・・もういいか?」と聞く。 「いいぞ、脱出だ!」イーサンが言う。
後方に敵のヘリが近づくのが見える。 頃合を見て爆破装置のスイッチを押す。 トラックが炎に包まれて吹き飛び、上空に迫って
いた追っ手のヘリも炎に巻き込まれ爆破される。
ヘリを操縦しながら、デクランが「また追っ手が来ているぞ・・・振り切ってみる」と言う。 リンジーが苦しそうに全身でもがき暴れ
ている。 イーサンはリンジーの頭部を検査して、カプセルが埋め込まれているのを見つける。 追っ手のへリが近づいてくる。
デクランは風力発電の風車が林立する中へ逃げ込む。 敵のヘリからミサイルが発射されるが急旋回をして、ミサイルを交わす。
揺れるヘリの中でイーサンが「電気ショックの用意をしてくれ」とゼーンに頼む。 「イーサン!・・何か頭に埋め込まれている
の?」とリンジーが聞く。 「時限装置だよ覚えがないか?・・・もう起動されているので、取り除かないと爆破する」とイーサンが言
う。 「心臓を止める気か?」とルーサーが言うけど。 「これしか方法がない!」 「やって!」とリンジーが言う。 ミサイルが又発
射された。 ヘリが急旋回をして避けたとき、ゼーンが機の外に放り出され危うく鉄枠に掴まる。 イーサンがゼーンを機内に引き
上げる。 イーサンはリンジーを押さえつけて、「チャージしてくれ・・・」とゼーンに伝える。 リンジーに「大丈夫だ、爆発は抑える
から・・」と伝えるが、ゼーンは「30秒は必要よ」と答える。 イーサンが「ロックされたぞ」とリンジーに言う。 「残り25秒・・・」
デクランは追尾してくるヘリをかわす為に急上昇をする。 追尾していたヘリが風力発電の風車の羽根に巻き込まれて爆発炎
上する。 「やったぞ!・・」 「あと10秒・・」 「大丈夫だ・・」 「イーサン、ありがとう」とリンジーが言う。 しかしチャージングカウ
ントが8・・5・4・3・と減っていく。 リンジーの頭が急に「ガクッ」と大きく振れて動かなくなる。 ・2・1・・・READYと表示がでて止
まった。 みんなが顔を見合わせる。 そして無言でみんな目をそらす。 リンジーの動かない見開いた眼が一点をにらんでいる。
イーサンがそばに行って動かないリンジーを抱きしめる。 イーサンたちを乗せたヘリが夜空を帰っていく。
朝早く、イーサンが疲れきった表情でジュリアの元に帰って来る。 「お帰り・・・」とジュリアが部屋から出て来る。 「どうだっ
た。」 「ごめん・・・大丈夫だ・・・疲れているだけだ」 ジュリアはイーサンと抱き合いながら、それでもイーサンの行動に何かを隠
していると感じ始めている。
IMFの本部。 布袋のチャックを解くとリンジーの鼻血をだした死体が出て来る。 10人ほどで会議が開かれている。 「フェリス
の訓練は君が担当したそうだな・・?」チームを統括している上官のブラッセルがイーサンに聞く。 さらに「彼女の評価は基準以
下ということだったな・・?・・違うのか」 「そうです」 「死体を調べてみると、鼻腔から注入された爆発物で殺されている」 イー
サンが「彼女は確信を持って作戦に臨んだはずで・・」と、言いかけるのをブラッセルがさえぎって「確信があっても判断を誤ること
はあるだろう・・・君の評価を元に彼女を作戦に加えたんだぞ・・・敵と遭遇したのに誰も捕まえられなかったのか?」とイーサンに
聞く。 「フェリスの救出が最優先だったので・・・」 「誰がそれを?・・・君か?」とチームの統括補佐官マスグレイブに聞く。 「私
です・・・しかし・・・」 「言い訳は聞きたくない・・・調べもしないで、フェリスをヘリに乗せただろ。・・・ヘリごと爆発していたかもし
れないんだぞ・・・思い付きの作戦などするな」 マスグレイブが「私は作戦本部長としての権限で・・」と言いかけたが、ブラッセル
は「私に文句があるのかね?・・・君の父親が偉くても私には関係ないよ・・・ここは情報機関だ、情報が全てなんだ。・・この作戦
にリスクを冒す価値があったのかね?・・オーウェン・デイヴィアンについて、君は何を知っている?。・・ヤツはパキスタンから北
朝鮮にガス遠心分離の技術を導入し、ジハード団にも闇で有毒ガスを売却している。 情報も武器も提供できる危険分子なん
だ。・・それがまた姿をくらませた。・・・ヤツが絡んでいる事は確実なんだ。・・どうやって探し出すんだ?。・・ここに来て以来ずっ
とヤツを追ってきた。・・結局この作戦はデイヴィアンに勝利を確信させただけで、なんの成果も無いわけだ。・・・彼女の両親に彼
女が交通事故で亡くなった事を報告する」と言って部屋を出ていった。 イーサンは返す言葉もなくただうつむいていた。
墓地でリンジーの埋葬が行われている。 牧師がお祈りをして居る。 参列しているイーサンが教官としてリンジーを指導してい
た頃の事を思い出す。 「もっと攻撃的に!・・集中して!・・・もっと強く打つんだ!・・よし、いいぞ!. 標的を確認したらすぐに
撃て!。」 訓練を終了したリンジーに、イーサンが言った「君を実戦に送り出せることを誇りに思うよ」と、リンジーは「実戦です
ね?・・」と嬉しそうに笑った。
墓地で埋葬が始まった時、イーサンの携帯電話が鳴った。 「もしもし・・」 「ケルビンさん?・・」 「そうですが、そちらは?・・」
「ノーフォーク郵便サービスです。・・フェリスさんのメールボックスがあるのですが、ベルリンからの手紙が届き次第連絡するよ
うにと言われてましたので・・」 「ありがとう」
イーサンが郵便会社に行って、メールボックスを開けてもらう。 ベルリンの風景絵葉書が一枚あるが、宛先のほかは何も書い
ていない。
本部に持ち帰り切手をはがすと、切手の影にマイクロフイルムが貼り付けてあった。 イーサンが「何かのメッセージかも知れな
い」と言うが、ルーサーが調べて「何の情報も無いぞ」と言う。 「何かが隠されてるかも?」 「そんなスペースはないよ」 「空の
フイルムを送るわけがない。何かあるはずだ」 「聞きにくいことだが二人の間には、何か特別な関係が?・・」 「兄弟みたいなも
んだよ」 「妹と寝たことはないよな?・・・お前ならやりかねないから・・・」 「フイルムに磁気が含まれているかも知れないぜ?」
「古い方法だがありうるな」 「調べてみてくれるか?」 「暗号化されているはずだ」 「わかってるさ」 イーサンの携帯電話が
鳴った。 「もしもし・・・すぐに行く」
イーサンはルーサーと二人でIMF本部のビルの通路を歩きながら「ジュリアのどこが良いかって聞いてたよな?・・・何より大切
だって思えるところだよ。・・・この仕事よりもな」と話す。 イーサンが部屋の中に入って、「何か判ったか?」と分析担当者に聞
く。 「丸焦げで何も使えないよ・・・一応中身を取り出して調べてみたがこんなに・・」と写真を見せる。 「何とかなるのか?」 「ハ
ードディスクを再構築させたら、Eメールを見つけたんだよ。 その中に手がかりになりそうなのがあったぞ」 分析官がメールを開
いた。 「明後日、デイヴィアンがバチカン市国での何かの会合に出る」とある。 ルーサーが「バチカンで何をするつもりなんだろ
う?」と問う。 分析官が「ラビット・フットに関係が有ると思う」と答える。 イーサンが「ラビット・フット?」と尋ねる。 「何かのコー
ドネームらしい・・・8億5000万ドルの価値のあるものか、その金の在り処だと思う。・・・大学時代の教授に聞いたら、生体分子
細胞の技術のことか、恐ろしい毒素化合物のことじゃないかと言ってたよ。・・全てを破壊するような兵器のことかも知れな
い。・・・そんなものに大金を払う組織は、神に逆らうことをも恐れない組織だ」 イーサンが分析官に「マスグレイブに話したか?」
と問う。 「まだ報告してないが?・・」 「よし・・報告するな」 「なんだって?」 「誰にも言うな・・よくやった」と釘を刺す。 「どうす
るつもりだ?・・おれも同じ立場なんだぞ」とルーサーが問う。
イーサンはジュリアの勤務する病院に行って彼女を外に呼び出す 「また仕事で2日間ほど行かなくちゃならない」 「そう・・・何
かあったの?・・私は平気だから話してくれない?・・よくわからないの・・」 イーサンは何も答えようとしない。 「何を隠してる
の?」 「君にお願いがあるんだ・・・僕を信じて欲しい」 「私では理解できないの?」 イーサンは無言で首を振って「ただ僕を信
じて欲しい」と言う。 「判ったわ・・・信じる。・・・私たちのことは本気よね?」 「付いて来てくれ・・」
教会でイーサンとジュリアが二人だけの結婚式を行っている。 「困難な状況も二人で乗り越え・・・」牧師が誓詞を読み上げて
いる。 笑顔のイーサンと花束を両手で持ったジュリアが並んで立っている。 牧師が「指輪はお持ちですか?」と問う。 イーサン
が「ええ・・」と言って取り出したのはパンダのキーホルダーだった。 牧師も笑いながら、「私に続いて・・・」と言って続ける。
「私ジュリア・アンミーグは・・・」 ジュリアが復唱する「私ジュリア・アンミーグは・・・」 「イーサン・マシュー・ハントを・・・」 「イーサ
ン・マシュー・ハントを・・・」 「正式な夫として迎えます。」 「正式な夫として迎えます。」 二人はともに服を脱ぎ捨て、強く抱き合
い、何度もキスを繰り返した。
IMF本部ビルの中。 チームの四人が揃って打合わせ中。 コンピューターにデイヴィアンという男が映っている。 画像を見な
がら、イーサンが「明日が、デイヴィアンの行動を把握できる日だろ。・・ミッションは潜入してデイヴィアンを確保すること」と伝え
る。 ルーサーは「ずいぶん楽しそうだな・・・あのバチカン市国だぞ・・ローマのど真ん中に18メートルの壁で囲まれた街だ。・・・
200台の監視カメラで24時間監視してるんだぞ」と言う。 イーサンは「やりがいがあるじゃないか。・・・デイヴィアンだけでなく買
い付けの相手も確保できたら最高だぜ」と答える。 「どっちにしろ、相手にはバレルだろ」とデクランが言う。 「大丈夫だよ、出
口のポイントはここだ」とイーサンが画像を指して説明する。 「バチカンの壁にそって走っている一方通行道路だ。・・30秒必要
になる。・・トラックが必要だ」
イタリア・ローマ。 作業員に変装したデクランがトラックを止める。 イーサンがボンネットを開けて、エンジンが故障したように
装う。 後続車の運転手たちが降りてきて、身振り手振りで道を開けるように催促する。 「うまく言ったな・・・作戦開始だ。・・煙を
忘れるなよ」とイーサンが言う。 デクランがエンジンの横に取り付けた発煙装置のボタンを押して煙を出し、大声で騒ぐ。 イーサ
ンは銃を取り出して塀の上の監視カメラのそばに発信器を撃ちこみ妨害電波を送る。 別の銃でロープに着いたモリを塀の上方
に打ち込む。 腹巻のような帯の腹部についた機械のボタンを押しと、ロープが巻き取られ、イーサンは直立する壁を、真横にな
って歩く格好で上まで巻き上げられた。 目立たぬように塀の上に仰向けに寝る。 デクランが後続車の人たちに修理の終わっ
たことを告げてトラックは走り去った。 イーサンは監視カメラの前に塀の上から見た風景写真を貼り付ける。 腹につけていたロ
ープの巻き取り機を背中に廻して、逆回転させながらスカイ・ダイビングのような格好で塀の内側に降りてきた。 巻き取り器を身
体から外し、またロープを巻き上げる。 法衣を着た牧師が来たのでこれを襲い、法衣を剥ぎ取って自分が着た。
ルーサーがチームを呼ぶ「Aチーム。・・・こちらBだ・・・スケジュールどうりだ。・・60分後に接触する」 何食わぬ顔で建物の内
部に潜入したイーサンが「了解・・・Cチーム報告せよ」と告げる。 トラックを動かしながら「時間どうりやれそうだ・・・2分後に」と
デクランが答える。 イーサンは建物内部の奥深く潜入し配電室に入る。 パソコンで調べながら、コードをつなぎ、「Cチーム・・・
発信器は?」と問う。 美術館の中にいるデクランが「待ってくれ」と言う。 デクランは美術館の窓から広場のマンホールの蓋に、
小型発信器を望遠カメラつきの銃で撃って貼り付ける。 地下の下水管の中をルーサーが泳ぎながら 「入ったぞ・・・2分後だ」と
告げる。 「了解・・・・警備を回避する」とイーサンが告げて電源スイッチを降ろす。 デクランに「監視ビデオを外した。・・・今
だ!」と告げる。 美術館にいたデクランはすぐに駆け出した。
ルーサーが問う「Aチーム、監視は?・・」 「大丈夫だ、・・行け!」 ビルの中に潜入したデクランは「Dチーム・・これからポジシ
ョンに着く」と伝えて作業着から守衛の制服に着替える。 ゼーンが高級車を運転して動き出す。 「Aチーム。・・配置に着く」と告
げてイーサンが走り出す。 下水管を通って内部に潜入したルーサーが壁に爆薬を仕掛けて壁を爆破した。
バチカンの正門に高級車を乗り着けたぜーンは守衛に「デメアです・・・リストに乗っているはずよ」と言う。 リストを調べて守
衛が「載っていませんが?」と言う。 「何かの間違いよ」 そこに「デメアさんですか?」と言って駆け寄ってきた守衛は、デクラン
が変装したもので、門を開けさせる。 ドレスに身を包んだゼーンがパーティルームにやってくる。 デクランがイーサンのところに
やってきて、「潜入成功だ」と告げる。 パーティ会場にデイヴィアンの姿が見える。 ゼーンが「準備完了よ・・いつでもいいわよ」
と伝える。 「じゃあ頼む」 ゼーンがバッグからコンパクトを取り出して、歩きながら、顔を手入れする振りをして、鏡にデイヴィアン
の顔を映す。 「ダウンロード成功だ」とルーサーが言う。 すぐにパソコンのデータから頭部の石膏が造られ、樹脂の頭部マスク
が作られていく。 ルーサーがイーサンに「婚約を批判するつもりはなかったんだ。・・」と言う。 「判ってるよ・・・ありがとう」 「わ
れわれに普通の交際は難しい」 「俺も同感だ。・・俺たちに本当の交際は無理だ」とデクランが言う。 「行動開始」
「ここで待ってろ」とデイヴィアンがボデーガードを会場に残して一人で廊下に出る。 植木の陰でカバンを持ち上げる。 「ブリー
フケースを手に取ったわ」とゼーンが報告する。 「誰が置いて行った?」 「判らないわ?・・・そちらは?」 「プリントを開始した」
(デイヴィアンの頭部模型に自動着色が行われている) 完成したデイヴィアンの頭部マスクをイーサンが冠る。 ルーサーが「君
と女の間には常に仕事と言う大きな壁がある。・・・・お前だけの問題じゃないんだ、お前が愛した女性も人生がめちゃ苦茶にな
る」と言う。 イーサンが答える。「二日前に結婚したんだ」 「それはおめでとう」 「ありがとう」
パーティ会場にデイヴィアンが帰ってくる。 「彼が着たわ」とゼーンが告げる。 「了解。・・俺も行く」と告げてイーサンも動き出
す。 デイヴィアンがそばを通る時ゼーンがよろめいて、ワインを服に掛ける。「ごめんなさい・・・ご無礼を・・」 デイヴィアンは「大
丈夫ですよ。・・よくあることです」と言ってトイレに向かう。 「そっちに向かったわ」 デイヴィアンのマスクを冠ったイーサンは、地
下から排水溝を使って急いでトイレに向かう。 「ボデーガードがチェックに行ったわ」とゼーンが教える。 ボデーガードの男が洗
面所を点検して外に出る。 「彼が入るわ」 洗面所に入ったデイヴィアンはブリーフケースを置き、上着を脱いで、洗面器でハン
カチを洗った。 顔を上げると前の鏡に映っている自分の背後に、もう一人の自分が立っている。 イーサンはデイヴィアンを引き
倒して、咽喉元にピストルを突きつけて「これをゆっくり読むんだ」と言ってカードを示す。 デイヴィアンが読んだ内容は全てルー
サーがパソコンに収録した。 帰りが遅いのでガードマンが洗面所に見に行く。 「やばいわよ・・・早く!」 「完了だ!」と言って、
薬物を首のところに撃ちこんだ。デイヴィアンは気を失った。 「ガードマンが行くわよ」 イーサンはデクランと二人でデイヴィアン
を部屋の隅に運んだ。 「大丈夫ですか?」とボデーガードが声を掛ける。 「大丈夫。外で待ってろ」近づいてくる男を手で追い返
すしぐさをし、ボデーガードを洗面所から出させる。 ルーサーが「あと6秒・・」と告げる。 「よし、いいぞ!」
イーサンの変装したデイヴィアンがパーティー会場から帰りかけたところに、ゼーンが行き「シャツ・・すみませんでした」と謝る。
「ホテルのサービスで洗ってくれるそうですが・・・」 「洗ってくれるのかね?・・・終わるまでどう待てば?・・・」 「ドライブしましょ
う・・」 「案内を頼むよ」 秘書の女性が「カバンをお預かりしましょうか?」と聞くが「いいよ」と答える。 イーサンがゼーンに言う
「いい出来だな」 「ありがとう」
眠ったデイヴィアンをロープに結んで、ルーサーとデクランが地下に降ろす。 ゼーンの運転する高級車で、デイヴィアンに成り
すましたイーサンとの二人がローマの広場に来る。 パソコンの表示する、デクランが小型発信器を取り付けたマンホールの蓋
の上で車が停まる。 車の床下を開ける。 マンホールの蓋がずれてルーサーが中にいる。 「守備は?」 「問題ない・・・そっち
は?」 「同じく」 イーサンとゼーンがマンホールに下りて再度蓋をする。 イーサンが「車を処理しろ」といって、ゼーンが装置の
ボタンを押す。 車が大爆発をして吹き飛ぶ。
四人はデイヴィアンを連れて、小型ボートに乗って脱出する。
IMF本部。 秘書がブラッセル統括官に「マスグレイブ補佐官が部屋に着ている」と伝えている。 「通せ」 入るなり、補佐官は
「イーサンのチームがローマでデイヴィアンを捕らえたと、連絡が入ったのでお知らせしようと・・・」と報告する。 「君はその作戦
を知っていたのか?」 「はい・・もちろん」 「よくやった」統括官はそういったままで後は苦々しく横を向いた。
飛行機で運んでいる機内でデイヴィアンは意識を戻す。 イーサンが「君は車の爆破で死んだんだ。・・・目撃者もいる」と言う。
「洗面所で捕まえたのか」 「商売相手や組織を洗いざらい話して貰おうか?」 「お前は?・・嫁や彼女はいないのか・・・どうす
るか教えてやろうか?・・・その女を捜して、痛めつけてやるよ」 「お前が心配しているラビット・フットの詳細を話してもらおう
か?」 「彼女は泣き叫び、血を流すだろうな。・・お前はそれを見ているだけだ」 「ラビット・フットはどこだ?」 「なぜか?・・死に
そうだからさ」 「相手は誰だ!?」 「お前を彼女の前で殺してやる・・・お前の仲間の頭に細工をしたのを見ただろう?・・あれは
楽しいからやっただけだ」 怒ったイーサンがデイヴィアンを縛り付けたイスごと引っ張っていって、飛行機の床を開き床穴に逆さ
吊りにする。 「ラビット・フットとは何だ!」 「ラビット・フットはどこだ?」 ルーサーが「イーサンやめろ!。・・彼は生かしておかな
きゃダメだ・・・・頼む。!やめろ!」と叫ぶ。 引き上げられたデイヴィアンが言う「何を誰に売ってるか・・・よく考えてみるんだな」
飛行機でヴァージニアに運んできたデイヴィアンを、車に乗せて飛行場を出発した。 走る車の中でルーサーが「リンジーのファ
イルが判ったぞ」と言う。 パソコンの画像からリンジーが喋る。「何を言われたか判らないけど、私の言葉だけを聴いて・・・ブラッ
セルが私を任務に出したの・・オーウエン・デイヴィアンを追跡しに・・電話を追跡してみた結果がこれよ。・・・デイヴィアンへの電
話はブラッセルからだったわ。・・・デイヴィアンと組んでるのはブラッセルみたいなの。・・・罠にはめられたのかも・・」 そのときジ
ェット機が飛んできて、ロケット弾がイーサンの車の後ろの車に命中し、火を噴いた車が空中で回転し反転して叩きつけられる。
車列がちょうど橋の中央に差し掛かったときである。 前を走る車も爆発して吹き飛ぶ。 橋の上では車が次々爆破され火を吹
く。 ロケット弾が次々と飛んでくる。 後続の車がその中に突っ込む。(この迫力・アクション・惨状は本編の見所で文字では伝え
きれない) 反転して火を噴く車の中からイーサンとルーサーが這い出す。 望然と立ち尽くすイーサンの背後に大型ヘリが近づ
く。 「伏せろ!・・・みな伏せるんだ!」 車の陰に走るイーサンたちに向かって、ヘリの兵士が一斉に射撃をしてくる。 ルーサー
もゼーンも援護射撃をする。 「みんな伏せるんだ!」 イーサンが護送トラックまで走って、運転手に「開けろ!・・開けろ!」とい
ってドアを叩く。 「開けてくれ!・・ヤツを逃がすな!」 運転手はすでに死んでいてドアが開かない。 ヘリからの攻撃が続くので
イーサンは身を隠す。 ルーサーが「機関銃がトラックの中にあるぞ」と言う。 「判ってる!」と言ってイーサンは車の陰を次々移
動する。 ヘリからはロープを伝わって兵士が次々と橋の上に降りてくる。 イーサンはひっくり返ったトラックに潜りこみ、折りたた
み式機関銃の入ったカバンを取り出す。
兵隊たちはトラックのボデーに特殊薬剤を吹き付けボデーの鋼板を変質させる。 ルーサーが振り向くとジェット機から発射され
たロケットが真っ直ぐ飛んでくるのが見える。 「イーサン・・・トラックから出ろ!早く!」 イーサンもロケット弾が近づくのを見て、
滑るようにして車から抜け出し、一目散に走った直後にトラックは爆破される。 イーサンは爆風で飛ばされるが、カバンを拾っ
て、物陰で機関銃を組み立てる。 兵士がトラックのボデーをハンマーで叩くと、鋼板のボデーがガラスのように粉々になる。 中
にデイヴィアンが座っている。
イーサンが振り向くとジェット機が真っ直ぐにイーサンに迫ってきている。 イーサンは夢中で機関銃の引き金を引いた。 機は
操縦不能になって、橋に引っかかり爆発して川の中に落ちて行った。 デイヴィアンは兵士に導かれて、ヘリに向かって走ってい
る。 イーサンが後を追おうとしたが、橋に穴が空いていて先にいけない。 イーサンは機関銃を先に投げ渡して、自分も飛び越
えようとしたが越えられず、かろうじて鉄骨にすがりついた。 デイヴィアンは兵士とともにヘリコプターに乗り込んだ。 やっと穴
から登って機関銃を拾い撃って見たが逃げられてしまった。
イーサンが家に電話をする。 ジュリアの弟が電話に出る「ジュリアは家にいるか?」 「俺がここに居ることを怒ってないよな」
「怒ってないさ・・・ジュリアは?・・連絡が取れないんだ」 「知らないよ・・・友達とは逢えたのかい?」 「友達って?・・」 「連絡
があったからさ」 「何て言った?」 「ジュリアなら病院に居るから聞いてくれって」
イーサンは車に飛び乗るとフルスピードで走り出す。 病院ではジュリアが「また明日ね・・」と挨拶して部屋を出る。 イーサン
がジュリアの携帯電話に電話をするが通じない。 イーサンは病院のジュリアの勤務室に電話する。「6階です」 「イーサンで
す・・ジュリアは?」 「今降りて行ったわ・・・連絡してみるね」 イーサンは車の間を泳ぐように追い越しながら夢中で車のスピード
を上げる。 ジュリアが病院を出ようとすると男が「人を探しているんですが・・・」といって近づいてくる。 男はジュリアの腕に何か
を刺した。 ジュリアは「これは?・・・」とまで言ってその場に意識を失って倒れた。 男はジュリアをすぐに寝台車に乗せた。 イ
ーサンがちょうど病院の玄関に着いた。 玄関から走りこんで事務室に駆け込む。 「サリー・・・ジュリアはどこだ?・・」 「帰った
わ・・東棟は見たの?」 イーサンは走り出した。 そのころ病院の廊下でシーツを掛けた寝台車を押している男には誰も気を止
めなかった。 イーサンは病院内を探し回る。
外に走り出たイーサンの携帯電話が鳴る。 「もしもし・・・」 デイヴィアンの声がする「飛行機では世話になったな・・・・ローマで
俺から奪ったスーツケース・・ラビッツ・フットの場所が入っている。・・・それを持って来い。・・・今から48時間やる。今からだ」
「待ってくれ・・」 「見つけたら連絡しろ・・・さもないと女は48時間後に死ぬ」
イーサンの周りを車が取り囲んだ。 降りてきたのはIMFのエージェントたちで、「一緒に来てもらおう」と言う。 「何だ?」 「つ
れて来いと言う命令だ」 「ちょっと待ってくれ」 「イーサン・・抵抗しないで乗れ!」 「判った・・」と言って車に乗るように見せかけ
て、イーサンはいきなり走り出す。 みんなで後を追いながらピストルで撃ってくる。 逃げるイーサンの腕に玉が当たり、イーサン
は転倒して彼らに捕まる。 猿ぐつわをされ、寝台車に乗せられてイーサンがIMF本部に運ばれる。
統括責任者のブラッセルと補佐官のマスグレイブが入って来る。 「ベルリンの操作報告を読んだよ・・・とても興味深かった。・・
フェリスが君に教えたい情報があったようだが、君からの報告が未だない。・・・君はルールを許可なく変えた。・・勝手なことをし
たエージェントを見過ごすほど寛大じゃない。・・・判らせてやろう。・・・君が疑うのは勝手だが、私は嘘をついていない」といって
出て行った。 あとに残ったマスグレイブ補佐官が「君には何といったらいいのか・・・ブラッセルは正しいよ・・・君は暴走してい
る」という。 イーサンが顔も見ようとしないので、補佐官が「話をするときはこちらを見てくれよ・・」と言う。 イーサンがマスグレイ
ブを見ると唇だけ動かして何かを伝えようとしている。 ”デイヴィアンの電話を盗聴した、ジュリアと引き換えに情報を欲しがって
いる” 「何ていうか、すごく残念だよ」 ”上海に居る、フェン・シャン・アパートの1405室” 「力に成ってやりたいが・・」と言
いながらそっとカッターを右手に握らせてくれた。 部下に「下に連れて行け!」と命じた。
マスグレイブは部屋に残り、三人の男たちがイーサンを乗せた寝台車をエレベーターの中に運んだ。 エレベーターが動き始め
ると、右手のベルトを切ってイーサンが右側の男を倒し、すぐに左側の男に一撃を加えて左手のベルトを切った。 男が掴んだ電
話機を取り上げて、頭に一撃を加えた。 足のベルトを切って立ち上がり、乱闘の末に三人とも倒してしまう。 寝台車を足場にエ
レベーターの天井穴から上に出る。 イーサンはワイヤにすがって上まで登る。 イーサンの逃亡がすぐにブラッセルに報告され
る。 無線機を掴み「ブラッセルだ。・・ハントが逃亡した。・・西側のエレベーターだ。 直ちに連れ戻せ!」 「ビルは包囲していま
す」 その時館内放送が”ブラッセルだ・・コード6を閉鎖せよ”と流れる。 ”繰り返す・・・” ブラッセルが「ハントだな・・・」と言
う。 ”南棟のほうにハントは逃げた様子。・・全ての要員をそちらに向かわせろ” 「ヤツが無線を持ってる。・・警備体制が混
乱しているぞ。」 イーサンは最上階まで登って部屋を駆け抜け混乱に乗じて逃亡に成功した。
空港の雑踏の中、ひげをつけ、めがねを掛けて、変装したイーサンが飛行機の搭乗カウンターに行く。 女性担当者が確認し
ている「パブロ・ソ・・・ボルさんですね?。・・行き先は上海ですね?」 担当者が中国語で話しかけてくる。 「中国語は話せない
んです」
中国・上海。 イーサンがフェン・シャン・アパートの1406号室にやってきた。 ドアをノックするが返事がない。 イーサンはドア
の鍵穴に針金を差込みドアを開ける。 暗い室内に入り、物色していると隣室から物音がする。 イーサンが飛び込んで男の首
にナイフを突きつける。 ルーサーの声がして「殺さないで呉れよ。・・ジュリアのことは聞いたよ。・・助けに来た・・・とにかくラビ
ット・フットが必要だ」と言う。 部屋にはデクランもゼーンも着ていた。 ルーサーが「情報によると、カバンはハン・シャン・ルービ
ルの56階に有るそうだ」と調査結果を説明する。 「状況は最悪だ。中国軍の内部に関しては情報は何も無いからな・・・ラビッ
ト・フットは小さくて奪いやすいが、簡単じゃないぞ」と説明して、ラビット・フットの図面を見せる。 「警備は独自に契約した特殊
部隊だ」 「アクセス方法はただ一つ。瞳孔で起動するエレベーターのみ」 「ビルは監視カメラだらけだ」 イーサンが「屋根はど
うだ?」と聞く。 「警備が二人ずつ・・」 「ビルの高さは?」 「どうしてさ・・」 「162メートルよ」 「左のビルは?」 「226メート
ルよ」 「ビル間の距離は?」 「47,55メートル」 イーサンはビルの絵図を描いてみる。 イーサンが言う「高さは十分だな・・」
「何のための?・・」 「テコの支点さ」 デクランが「それはダメだ・・・落ちるぞ」と反対する。 「うまくやったとしても。どうやって逃
げるつもり?」 「パラシュートで飛び降りるのさ」 「高さがぎりぎりだぞ」 「降りたとしてもどうする?」 「中央公園がある」 ルー
サーも「ほかに方法が思いつかないけど、無茶じゃないのか?」と言う。 「一体何か判らないものを、テロリストに渡すのか?」
「探知機をつけて、それを追跡したらいい。・・必要なものはマスグレイブに連絡して、送って貰えばいい。・・・ジュリアを奪還でき
ればこっちの勝ちだ・・・もう8時12分だ。・・・妻が殺されるまであと2時間だ。・・・協力してくれるのか?」 三人が顔を見合わせ
た。 ルーサーが「もちろんだ」と言った。
イーサンがビルの屋上に立っている。 ルーサーが「18分ある。・・・ラビット・フットを奪って屋根に戻り、飛ぶ準備が出来たら連
絡せよ。・・収容するから」 「悪いな・・」 「俺の仕事だから」 ルーサーがハン・シャン・ルービルを双眼鏡で覗く。 急傾斜した
ガラス張りの屋根構造をもつビルの屋根の両方に警備員が居る。 「よし、いいぞ」とルーサーが合図する。 ガラス屋根の上に
次々とボールが飛んでくる。 警備員たちが騒ぎ始める。 「よし・・混乱している続けろ」 ゼーンが野球のピッチングマシンでボ
ールを飛ばしている。 ルーサーとイーサンが顔を見合わせてうなずいた。 イーサンは一気にビルの屋上を走り、空中高くジャン
プして落下して行った。 泳ぐようにしながら、隣のビルに下げられたロープに掴まり、その反動で目的のビルの上まで飛んだ。
手を離してビルの屋上に着地したが、傾斜のあるガラスの上をすべり続けた。 滑りながらピストルを取り出し、警備員を射殺し
ていく。 屋根の端でやっと捕まる。 「やったぞ・・成功だ!」ルーサーが叫んだ。イーサンから「5分でやる」と連絡があった。 イ
ーサンは内部に侵入した。 車の中で待機しているデクランが「残りの5分以内に電話しなければジュリアは死ぬ」とゼーンに話
す。 ゼーンが何かを口ごもっている。 デクランが「何を言ってる?」と聞く。 「小さいとき、逃げた猫が戻ってくるように、祈って
いた言葉よ」 「俺にも教えてくれよ」
イーサンの声が届く「ラビット・フットは手に入れたが屋上は無理だ」 「どこに居る?」 「上を見ろ!」 部屋のガラスを突き破っ
てイーサンが飛び出す。 落下傘が思うように開かない。 「低すぎるわ」とゼーンが言い、デクランが車を発進させる。 ルーサー
も別の車で急行する。 イーサンは途中の部屋に飛び込むが、開いた落下傘に引っ張られて再度落下していく。 下は車の大洪
水。 横断陸橋に落下傘が引っかかり、逆さ吊りとなる。 ポケットからラビット・フットが落ちて路上を転がる。 イーサンは車の洪
水を避けながら、ラビット・フットを追いかける。 イーサンがラビット・フットを拾い上げると「イーサン。・・乗れ、追ってくるぞ!!」
と車からルーサーの呼ぶ声がした。 飛び乗って「行け!」と叫ぶ。 追っ手の車が後ろに迫る。 右に左に車を交わしながら、カ
ーチェイス状態で逃げる。 イーサンが「残り時間は?」と聞く。 「2分しかない」 「横道に出てくれ・・・電波が届かない・・」 追っ
手からは銃撃が始まった。 やっとデイヴィアンの電話に繋がった。 イーサンはドアを半開きにして、身体を路面すれすれまで持
ち出して、追っ手の車のタイヤを撃った。 追っ手の車はハンドルを取られて道路わきに激突し爆発炎上した。
電話の向こうからデイヴィアンの声がする「残り5秒だぞ」 「ラビット・フットを手に入れたぞ」 「ナンゾン・ルー駅の倉庫に来い」
イーサンがIMF本部のマスグレイブ補佐官に電話をする「この回線は?・・」 「安全だ」 「ラビット・フットを手に入れた」 「無事
か?」 「今装置を付ける。・・これの追跡を頼む」 「コードは?・・」 「6−3−9−6−4−1」 聞きながらパソコンに入力し検索
する。 「判った。・・ロン・タオ・ルー通りだな」 「連絡がなかったら、後は頼む」 「幸運を・・・」
ブラッセルが「マスグレイブ君・・昨日の午後、チームを極東に送ったらしいね」と聞く。 「上海にサリーム・バハールが居るとい
う情報を入手したので・・・」 「オリム・サリーム・バハールか?・・」 「そうです」 「期待しているよ・・何かあったら報告してくれ」
「判りました」
イーサンが三人の前で「本当に感謝しているよ。・・・また逢おう」と礼を言う。 ルーサーが「イーサン・・一人で行ったら二人とも
殺されるぞ」と心配する。 「そしたらもう会えないな・・・必ず連れ戻すよ」と言って仲間と分かれた。
イーサンが荒れ果てた工場跡地に立っている。 大型の高級車がやって来て止まる。 イーサンが乗り込むと、運転手が「それ
を飲め質問は無しだ」と言う。 イーサンが小瓶に入ったドリンクを飲む。 次第に意識が朦朧となって来る。
イーサンは頭を殴られて眼が覚める。 「おはよう」と言ったデイヴィアンが、いきなりイーサンの鼻にカプセルを打ち込む。 苦し
みもだえるイーサンの前に、猿ぐつわをされてイスに縛られたジュリアが居る。 イーサンも手錠がはめられている。 悲しそうな
ジュリアを見て「ジュリア!」と声を掛ける。 デイヴィアンが「頭に爆弾を埋め込んだ。・・お前ならわかるだろう・・・ラビット・フット
はどこだ!」 「渡しただろう」 「10数へるまでにどこにあるかを教えろ・・・さもないと彼女は死ぬ」とオーウェンが言う。 オーウ
ェンがピストルを向けた先には、口に大きくテープを張られたジュリアが、悲しそうな目でイーサンを見ている。
空港に飛行機が着いて、タラップが下ろされる。 ルーサーたち三人が降りてくるところを銃を構えた男たちが包囲している。
ブラッセルが「いろいろ聞きたいことがある。」と言う。
イーサンが「ナニを考えているんだ」と聞くと、「だまれ!。・・本気じゃないと思っているんだろ。・・どこにある!」とデイヴィアン
が叫ぶ。 デイヴィアンはピストルをさらにジュリアの顔に押し付けて「7だ!・・殺すぞ」と叫ぶ。 イーサンが「お前を殺してや
る!」と叫ぶ。 「8!」 「お願いだ・・彼女を放してくれ・・・・約束する!。必ず見つけてくる」 「9だ!」 「聞いてくれ・・・力にな
る・・何でもするから、そっちも応えてくれ・・判るだろ・・・やめてくれ・・頼む・・お願いだ」 「10!」 ピストルが発射された。
男たちがみんな部屋を出て行く。 望然として、泣いているイーサンの目の前に、マスグレイブ補佐官が来る「複雑なんだよ・・・蓋
を開けるだけじゃないんだ・・本物のラビット・フットを持ってきて貰わないとな・・・判るな?」と言って立ち上がり、ジュリアの死体
に掛けた布を取る。 イーサンが「触るな!・・彼女に触れるな!」と叫ぶ。 眼を見開き動かないジュリアの、猿ぐつわになってい
たテープをはがす。
顔が全て見えるとジュリアだと思っていた女性は人違いだと判った。 マスグレイブが「デイヴィアンの通訳だ・・・警備主任だ
よ。・・覚えてるか?。・・バチカンで彼を騙した。・・・イーサン。・・・ジュリアはまだ生きているんだ。・・君たち二人を殺すといって
たが俺が説得した。・・ジュリアはまだ何も判っていないよ。・・・リンジーのメッセージの中身を教えて呉れれば、ジュリアはこのま
ま普段の生活に戻れる。・・リンジーは俺とデイヴィアンのことを知ってたのか?。・・ほかに誰かアレを読んで、おれのやってたこ
とを知ってるやつが要るのか?・・・ブラッセルが彼女を騙したと本当に思っていたのか?」と問う。 「お前が言ったのか?・・・だ
からリンジーが来ると判ってたんだな」 「連れ戻せると思ったんだが、・・・ブラッセルに手出しをさせるつもりはなかった。・おれ
のやってきた仕事をヤツに邪魔されてたまるか。・・・デイヴィアンを捕まえたって、ヤツは役立たずだ。・・代わりはいくらでも居る
んだ。・・・逮捕してどうする?。・・手を組んで、利用するんだよ。・・・18時間以内にラビット・フットは中東のバイヤーに届けられ
る。 明日保安会議に報告をして1週間以内に軍事攻撃に移るだろう。・・テロリストの洗浄・・情報の操作。・・民主主義の勝利
さ。・・・リンジーのメッセージは何だったんだ?。・・・話なせば彼女は開放する」 「声を聞かせてくれ・・それからだ」 マスグレイ
ブは電話を掛けて「彼女を・・」と呼んで受話器をイーサンの耳に当てた。 「イーサン?」 「ジュリアか?・・俺たち出合った場所
に湖があっただろ?・・・湖の名前は?」 「ワナカ・・・どうして?」 イーサンは受話器を差し出している眼の前のマスグレイブの
手に噛み付いた。 悲鳴を上げるマスグレイブを、隠し持っていたナイフで一突きにし、釘で手錠を外して逃げた。
イーサンはマスグレイブの無線機を使って、IMF本部に無線を入れた。 ベンジャミンが出る。 「ベンジー・・俺だ!・・イーサン
だ。・・良く聴いてくれ助けが要る。・・この電話の最後の発信源を特定してくれ」 「やばいぞ・・みんなお前を探している。・・俺も
調べられたが巻き込まれたくないんだ。・・悪いが切らせて貰うぞ」 「時間がないんだ・・」 「おれはこの仕事を首になる訳には
いかない」 「今から番号を言うから控えてくれいいな?・・」 「わかった・・」 「7344−25−64367」 「イーサン・・ばれたら俺
も刑務所行きだな」 ベンジーがパソコンに番号を入力する。 中国の地図が画面に出る。 「その番号は上海だな・・」 「近いの
か?・・今の電波も調べてくれ」 「このビルの中か?」 「いや、違う!そこから北東に1マイルだ」 「そのまま案内を頼む」 イー
サンはそのまま携帯電話を持って屋根の上に出て来た。
「そうだ北のほうだ・・・橋を渡るんだ・・左に曲がって川添いを行け」 イーサンは住宅街を走り、商店街を走り、道路を横切る。
「次を左に曲がって1キロほどだ」 「次はドッチだ」 「次を左だ・・・よし左側の二つ目のビルだ。・・・北東の角から3メートル以内
だ」 「着いたぞ」 イーサンがその家に入っていく。・・・順番に部屋を探っていく。 人の気配で身を隠すが空き缶を転がせて仕
舞う。 部屋に飛び込むと男が二人見張りについて居て、ジュリアが猿ぐつわをされてイスに縛られている。 男たちを倒して「ジ
ュリア・・今助けるからな・・」といって、縄を解いていたイーサンが、頭に一撃を食らったように頭を抱え込んで倒れた。 イーサン
が落としたピストルを足で遠くに蹴飛ばして、デイヴィアンが立っていた。 「起動させたからな・・残り4分てとこかな」と言って、腹
部を蹴り上げる。 「名前を呼んで貰いたいか?」といってジュリアの猿ぐつわを外しに行く。 ジュリアが「イーサン・・イーサン」と
泣き声で呼ぶ。 「やめて・・」 デイヴィアンがイーサンを投げる。 「女の前でお前を殺すか・・先に女を殺すか?」 デイヴィア
ンがイーサンをピストルのそばまで引きずり、ピストルを拾い上げたとき、後ろでイーサンが立ち上がり、全身で体当たりした。
二人はもつれ合って殴りあい、デイヴィアンをガラス戸の向こうに蹴りこむ。 立ち上がったデイヴィアンにイーサンが飛び掛った。
二人はガラス窓を突き破って道路に転がり出た。 ちょうど走ってきた車にはねられたが、飛ばされたのはデイヴィアンだった。
イーサンはすぐに部屋に戻り、彼女を助け出した。 「イーサン・・何がどうなってるの?。・・あの人たちはどうしてあなたを・・」
ジュリアはイーサンに抱きついてキスをした。 「後で話すから・・付いて来てくれ」 部屋に入ってイーサンが探す。 「イーサン何
を探してるの?。・・逃げようよ」 「まだだ・・電流を流すものを探してくれ」 「電流?・・・あの人たちは誰?・・何をやってる人な
の?」 イーサンは「近距離用の銃だこっちに向けるな」といってジュリアにピストルを渡す。 「ここをスライドさせてロックする・・・
ここを押すと空の弾倉が落ちるから・・」 「どうして銃を・・」 「仲間が居るかも知れない。 居たら迷わず撃つんだ」 話しながらイ
ーサンは電気コードを引きちぎり、アルミ容器に薬液を入れて、電流を通して小爆発を起こさせた 「よし・・」 「これを俺に・・・殺
さないで呉れよ」と言ってジュリアにスイッチを押すように言う。 「出来ないわ」 「君が俺を蘇生させるんだ」 「出来ない」 「時間
がないんだ。・・早く!・」 イーサンが口に木切れをくわえて力をこめる。 「待って!・・・愛してるよ!」 「私もよ」 ジュリアがスイ
ッチを入れる。 電流が走り、意識をなくして、イーサンが倒れる。 男たちが部屋にかけ着けて来る。 ジュリアは物陰に隠れて
ピストルをにぎる。 飛び込んできた男を撃ち殺す。 続いて入ってきた男を床に伏せて正面から連射する。 男が倒れて持って
いたカバンが開き、ラビット・フットが転がり出る。 男はIMF補佐官のマスグレイブだった。
ジュリアが意識のないイーサンの胸を、数を数えて押さえ、口に空気を送り込んで人口呼吸を施している。 「お願いだから、戻
ってきて」 胸をこぶしでどんどんと叩いた時にイーサンが息を吹き返した。 抱き合いながらイーサンが「君がやったのか?・・」
と周りの死体を見る。
中国の水路沿いの道をイーサンとジュリアが肩を組んで歩いている。 「もう話してくれる?・・こんなところに居る理由を・・・」
「そうだな・・・俺は諜報機関で働いているんだ。・・・IMFという組織だ」 「何の略なの?」 「Impossible Missoion Force」 「冗談
でしょ」 「本当だよ・・・この話は極秘だぞ」
IMF本部。ブラッセル統括官が「君の仕事には感謝している。・・・巻き込んでしまって悪かったな」と謝る。 「ホワイトハウスから
連絡があって、君に仕事を頼みたいそうだ」とも言う。 イーサンは「光栄ですが考えたいことがあって・・・」 「仕事をやめたいと
か?・・」 「ハネムーンについて考えたいんですよ」 「楽しんで来い」 「有難うございます」と言って握手をし、分かれようとしたと
き、イーサンが「最後に一つ・・ラビット・フットとは結局何だったの?・・」と聞く。 「ここをやめないなら教えてやるよ」 「はがきを
送りますよ」 「待ってるよ」 イーサンが歩く先にチームの三人とジュリアが笑顔で待っていた。
== おわり ==
りんく フライトプラン
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