〜風邪の裏側3〜 キッシュが戦闘態勢に入った頃、ルディは白騎士団長執務室に辿り着いていた。 ノックをすると、中から 「おう、入れ」 と返事が返ってきた。 ルディが戸を開けると、中には少々不遜な態度の長身の男が、机に向かって仕事をしていた。 「失礼する」 「おう、どうした?」 男、白騎士団副騎士団長ザディル=ルークラントは 手にしていたペンを置くと、顔を上げた。 因みに、白騎士団長のゴルドーはいない。 何故なら仕事をしないからだ。 「マイクロトフ様が熱を出されて、キッシュが代わりに特演に行ったので 青騎士団の仕事をこちらに回して貰いに」 「マイクロトフが熱?! そいつは凄い病原菌だな。 俺、感染して貰って仕事休むかな?」 「騎士団の機能がストップするから止めてくれ」 楽しそうにザディルが言うので、ルディは呆れながら却下する。 「じゃ、絶対近寄らない様にしとく」 「...そうしてくれ」 ザディルが飄々と言うので、ルディは軽く頭を押さえ、力無く振る。 「とりあえず、書類の通達は俺からやっとく。 書類もこっちで2割負担しておく」 「助かる。 まぁ、マイクロトフ様だから、すぐに復帰するだろう」 「キッシュも書類仕事しなくて済んで喜んでんだろ」 「そうだな」 その頃、キッシュは 「おらおら!もう終わりか?! 来ないならこっちから行くぞー!!おらぁ!!!!」 「「「っぎゃあ――――!!!」」」 部下相手に地獄を見せていた。 「それじゃあ、そろそろ戻る」 「食堂に寄ってか?」 「ああ。 カミュー様もご一緒に食べるだろうから、その旨とな」 「大変だな」 ザディルが、頬杖をつきながら、やれやれという風に言うので 「もう、慣れたよ」 ルディは笑って答えた。 次の日、マイクロトフは回復したが、カミューが一週間寝込み、 ルディは大いに頭を抱えた。 前へ 戻る |