北武蔵・高麗郷を訪ねて
− 埼玉県 日高市・高麗郷 −



 1 武蔵の飛鳥


ずいぶん古い話しだが、高麗(こま)には今から30年ほど前、西武池袋線高麗駅の近くにあった、東京都豊島区の高麗清流園に合宿して学習会をしたときに、訪れたのがはじめてである。
  翌日、一行で高麗郷へ行って日和田山に登り、高麗神社と聖天院を訪ねて楽しんだ。その帰り、巾着田近くの高麗川にかかる鹿台橋のわきにあった川魚料理店で、「山女のなべ」を食べて美味かったのをおぼえている(残念ながらその店は今はない)。
 
高麗郷は、今から1300年前、朝鮮半島から渡来した高句麗人によって切り開かれた、北武蔵でも有数の歴史の里である。作家・金達寿はここを「大和の飛鳥にそっくりなので、私は勝手にこの辺一帯を“武蔵飛鳥”と名づけ、友達に吹聴している」と書いている(『日本の中の朝鮮文化』)。

のどかな丘陵地帯が広がり、新緑の季節や巾着田(きんちゃくだ)が彼岸花でうまる秋、そして夏には高麗川の河原で家族や仲間たちと遊ぶにはもってこいの場所である。(写真は巾着田から北に日和田山をのぞむ)

秋になると丘陵地帯のあちこちに柚子が実り、無人スタンドの野菜と一緒に手ごろな値段でおかれている。柚子といえば、私の故郷の高知県が生産量では一番ということだが、ここら辺りでも多く見かける。
  柚子は中国が原産地で、朝鮮半島をへて奈良時代から平安時代にかけて日本に渡ってきたといわれている。

こうしたことから、『古代武蔵学事始め』の最初の旅に、日高市の高麗郷を選んでみた。
  高麗郷へのアクセスは、西武池袋線高麗駅を基点にするのと、JR八高線または川越線高麗川駅を基点にする方法があり、どちらでも便利な方法をとってよい。今回は西武線高麗駅からJR高麗川駅へ歩くルートをとってみた。アプローチの方法は、この項の最後に整理しておいたので参考にしてみてください。


次へ  HOME