上野国延喜式内社:賀茂神社
神社名:賀茂神社(かもじんじゃ)
祭 神:賀茂別雷神
配 神:玉依姫命 経津主神 武甕槌神 建御名方神 素盞嗚命 白滝姫命 宇迦之御魂神 外二十柱
鎮座地:群馬県桐生市広沢町6-833
御朱印:あり
由緒書:あり
駐車場:神社入口前道路中央・神社裏側にあり
-賀茂神社
案内板由緒-
創立年代不詳 社伝によると 崇神天皇の朝 豊城入彦命 東国鎮護のため山科国の賀茂神を勧請したと伝えられている 桓武天皇延暦十五年(796)官社に列せらる「日本後記 巻五」陽成天皇元慶四年(881)正五位下勲十二等を授けらる「三代実録」醍醐天皇延喜年間(901頃)諸国の神社御改めあり 三千一百三十余座の内 上野国十二社 中に山田郡下広沢村賀茂沢に賀茂神社御鎮座 式内の社とある (延喜式巻十 神祇十)又 上野国神名帳に「従一位賀茂大明神」と見えている
-賀茂神社
由緒書-
崇神天皇の朝、豊城入彦命が東国鎮護のため山城国賀茂神を勧請したと伝えられ、延歴十五年(796)官社に昇格(日本後記)、元慶四年(881)正五位下勲十二等に昇叙(三代実録)、康保四年(967)上野国十二座のうちの一社に収録(延喜式神名帳)された。口碑によると、寛治元年(1087)源義家は、出羽国の藤原武衡・藤原家衡誅伐のため北上の途中参詣して戦勝を祈願、叛徒を平らげて凱旋のとき報賽の神楽を奏上したと伝えられ、舞楽奉献の遺跡が今も残されている。
-賀茂神社太々神楽-
賀茂神社に伝わる神楽は宮比講社神楽と呼ばれるもので、文化十二年(1815年)に当時の神官である飯塚伊豆正が発起したといわれている。
神楽は式舞と狂舞であり、ともに十二座で計二十四座となっている。とくに狂舞の「屑紙拾い三番曵」は他に見られないめずらしい神楽となっている。
明治維新で一時中断されたが、明治十五年ころ再興された。その後、昭和四十年代に衰退しかかったが、昭和四十八年に神楽保存会が組織され、青年有志が古老から受け継ぎ、今日におよび、毎年春(四月十四日・十五日)、秋(十月十五日に近い日曜日)の例祭に奉納されてる。
-賀茂神社御篝神事-
この神事は、毎年節分(二月三日)の夜におこなわれる。
起源は明らかではないが、文政十三年(1830年)の「社記」に神事の記載があることから、江戸時代末にはすでに実施されていたと考えられる。この神事は戦後中断されていたが、昭和五十四年に復活され、今日に至っている。
神事の内容は、次のとおりである。
神事に参加する氏子たちは、揃いの白装束に着替え、紙を切り抜いてつくった人形に生年月日と名前を記して、これでからだの悪い部分をなでる。そして、氏子たちは拝殿に参集して、人形とともにお祓いを受け、その後、豆まきをおこなう。神官は境内中央に用意された浄薪にお祓いをした人形によって火をつけて、焚き上げる。焚火の中には古札、古神棚、古ダルマなどがくべられる。十分に火がまわると、氏子たちは火のついた浄薪を持って左右にわかれ、両方が見渡せる位置に責任者と太鼓が配される。氏子たちは、太鼓の合図に合せて大声をあげながら、火のついた浄薪を相対する氏子めがけて投げ合う。一回にこれを三度繰り返し、約三十分毎に三回おこなう。
現在は、御篝神事保存会も組織され、役割分担もしっかりしている。このような火をなげあう神事は他には類例もなく、まさに奇祭の一つである。
賀茂神社は群馬県桐生市の南、栃木県との境に近い国道50号を入ったところに鎮座する。
国道沿いに石の社標があるので、そこを入って真っ直ぐ。
駐車場は神社前の道路中央に数台のスペースがあり、鳥居右側から行ける神社裏側の駐車場もあるそうだ。
車を停めて、賀茂神社前で佇む。
とても気持ちが良い雰囲気を感じた。
境内に入るとまず大きな神木が目に留まった。
心地良い境内はこの神木の役割が大きいのかもしれない。
拝殿で参拝。
左右の提灯には式内賀茂神社の文字と神紋。
拝殿の右側から本殿を眺める。
小さいながらも彫刻は見事で、色も鮮やかだ。
本殿の前には石燈籠が立っている。
永和4年(1378)に造立されたもので、年代が明らかなものでは桐生市最古の石燈籠だそうだ。
桐生市指定文化財。
社殿左側には豊機社が鎮座している。
鳥居から急な石段を登ると、お社が見えてきたが損壊していた。
宮司さんに聞いたところ、数日前に木が倒れたときに損壊してしまったようだ。
豊機社の参道から賀茂山にかけては句碑の道になっている。
句が刻まれた石は河川にある天然の石だそうだ。
ここは後でゆっくりと観てみたいと思う。
社殿の右側には香取神社・鹿島神社が鎮座している。
鳥居のところにはいくつかの境内社が集められていた。
一の鳥居を入った左側には八坂神社。
三社並んでいるが、中央が元々賀茂神社に鎮座していた八坂神社。
左右の八坂神社は町内から遷されたものだそうだ。
社務所前には源義家が腰掛けたと言われる休み石がある。
その裏には下鴨神社。
八坂神社の右側には神輿舎と神楽殿。
神楽殿では4月14・15日と10月15日に近い日曜日に神楽が奉納される。
社務所で御朱印と由緒書を戴く。
宮司さんに詳しく神社について教えて戴いた。
宮司さんは365日、祝詞を挙げるそうだがやはりこの地に神を感じるという。
賀茂神社の境内は心洗うようなとても心地良い空間が広がっている。
神威という言葉がとても相応しいようだ。
また、節分に行われる御篝神事にもとても興味が惹かれる。
参拝して良かったと思える神社だった。