オペラ座の怪人 


         

                              電通劇場「海」 1階 S席  5 列27番
                                               


                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 高井 治  クリスティーヌ 佐渡寧子  ラウル子爵 石丸幹二
  カルロッタ  種子島美樹  
 メグ・ジリー 荒井香織   マダム・ジリー 秋山知子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 半場俊一郎  ムッシューレイエ 立岡 晃
  ムッシュールフェーブル 深見正博

2005年1月28日(金)ソワレ

福岡「オペラ座の怪人」千秋楽からピッタリ10ヶ月。


1月12日から東京で始まった「オペラ座の怪人」公演に遠征して参りました。
映画「オペラ座の怪人」の方もちょうど封切前日ということで、テレビ宣伝など
あちこちであのオーヴァチュアが聞かれるのは嬉しい限り。
あぁ〜長生きはするもんだ(笑)


さて客席に入ると、あのオークションのセットが。懐かしい〜。
あら、シャンデリアを覆っている布の色が違いますね。福岡公演ではもっと
白い布だったと思うのですが、色々と新調したのでしょうか。
スミマセン、昨年46回通った福岡オペラ座がどうしても
この身に染みついているので、あれこれと変更点をチェックする観劇になって
しまいそうです。
今回は東京ファントム観劇初回ということで、なにとぞお許しを(^^)




第1幕


オークション

最初の木槌の音が軽く始まりました。 深見オークショナーお久しぶりですね〜。
種子島カルロッタのカデンツァも相変わらず長い!
パリ・オペラ座の雰囲気をしっかりと伝える、素晴らしい出来だったと思います。



「ハンニバル」リハーサル

林アンドレのヘアスタイルが変わりました。
髪が若干黒くなって、7:3のきっちりした分け方が生真面目なサラリーマン風。


立岡レイエも初めてお会いしましたが、こちらは頑固なおじいちゃま先生という
感じですね。
「申しわけございませんが、ムッシュ」 「ルフェーブル」 じゃなくて 「ルへーブル」 と
なっていたのがちょっと微笑ましかったわ(^^)
くるりと回転する象さんの中では、いつも通り男性二人がカードゲーム。
片方の人が 「ふぁ〜」 とあくびをしてるのが見えました。



そして恒例の(笑)林アンドレチェック復活♪
・・と、喜んでるのはたぶん私だけですね、ハイ。

憧れのプリマドンナに歌ってもらうところ、林さんちょっぴり口をあけて聴いてます。
これがなんとも可笑しいんですよね〜。
今回はさらに右手を握りしめてほんのり五木ひろし風に
「く〜っこれこれ」 と感激を表現。
後半は歌に陶酔していらっしゃいました。


いやあ、青木フィルマンさん共々、お元気そうでなによりです。これを見届ければ
あとはほうじ茶をすすりながら、ひなたぼっこでもしま(殴)・・スミマセン始まった
ばかりでした☆



さてこの場面、支配人さんを見るのに忙しくて、主役の佐渡クリスのダンスシーンは
よく見ていなかったのですが、ただ、佐渡さんお一人だけ衣装の胸元のくりが
大きいような感じがしたのは気のせいでしょうか?
他のダンサーさんは黒い衣装のへりに肌色の薄布がついているのに、佐渡さんの
衣装にはそれがほとんど見えなくて、えらく色っぽい状態に。
ん〜・・これはもしかして、ファントムのやる気を高めるためかなあ(爆)



と、不謹慎な冗談はさておきまして。


カルロッタ退場、 「代役は誰がやりますか?」 のあと、立岡レイエのセリフが
遅れちゃいました。
「・・・・・」と、ほんの数秒ですがセリフ待ちの空白が。
しかし立岡レイエ、別にあわてるでもなく 「公演は中止になるでしょう」 と
言ってから 「まあ、しゃあないわな」 って感じで肩をすくめる様子がおっかしくて。
こういうのもナマの醍醐味ってヤツですね。



クリスティーヌを代役に推薦するマダムにも、立岡レイエは憮然とした表情。
マイクに入らないけど、メグが先生を説得する 「やってみましょう。ね?」 の声が
聞こえました。
それでも半信半疑のレイエ先生、渋々という感じで 「さっきの曲をはじめから」 と
言ったあと大きなタメ息をついてらして。
・・・と、わざわざ九州から遠征して、レイエ先生に目を奪われて
良いんでしょうか私(笑)。



ラウル登場

石丸ラウル、予想はしていたものの燕尾服姿が端正で、さすが綺麗だな〜。
立ち上がったラウルを座らせるのは、以前はアンドレさんでしたが、今回は
フィルマンさんがこの役目をやっていらっしゃいました。


 
クリスの楽屋

佐渡さんの歌声、ビブラートにかなりクセはあるのでしょうが、荒井さんと交互に
聴くとやっぱりプリマの声なんだな〜という気がします。


ただ、登場シーンからずっと、支配人さんが語るような 「いつも何かを
夢見ているような」 少女ぶりは少ないですね。
ラウルからの手紙も、早口にサラサラ読んじゃうので 「何のことかしら」 が
全然不審そうじゃないのが残念☆



さて、ラウルが楽屋を尋ねるシーン。
あれっと一番に思ったのが、石丸ラウルがさっさと室内に入ってきたこと。
これまで見た他のラウルは、確かもっと出口近くで立ち止まったような気が
するのですが。
いくらドアが開いてたからといって、レディの楽屋を訪ねるのにしては少々
強引すぎではないでしょうか子爵さま☆



石丸さんって素敵な子爵さまだけど、どうも20代初めの青年には
見えないところがあるなあ。 「2分で戻ってくるから」 のあと、そのまま
甘い微笑みを見せながらの 「可愛い ロッテ・・」。


文章にすると違いがわかりにくいんですけど、なんだかロリコンっぽい
雰囲気というか。
・・うーん、ゆったり言い過ぎなのかなあ。
「優雅な大人の下心」ありありの発音に純情な乙女としては(爆)思わず赤面(^^A)



ファントム登場

久々に聴く高井ファントムの声、やっぱり男性的で美しいです。
ちょっと歌い方が軽くなりましたね。最近インタビューで歌い方を変えたという
お話をご本人がしていらっしゃいましたけど、ふむなるほどって感じ。


鏡の中の高井ファントム、以前より若干正面を向いて立っていらっしゃるのか、
視線が時々横目になるのは、佐渡クリスを見ているからでしょうか。
それとも、鏡の中から見つめているのはもしかして指揮者?(笑)



オペラ座の地下

高井ファントムの美しい手つき、派手なマントさばきは健在で、ともかくめでたい♪
「きみは 私のもの」で高い格子を背に立つところ、以前拝見した時は
さらりとした動作でしたが、今回もうひとつ胸を張るようにしていたのが、
支配の陶酔に高ぶるファントム自身の気持ちが感じられて良かったと思います。



続く羽交い締めシーンですが、うーんやっぱり佐渡さん背が高いな〜。 
他の女優さんとタイミングが違うのか、ファントムが自分の顔に触らせたあと、
クリスの肘から滑らせるように右手をにぎれなかったのが残念☆



倒れたクリスを見下ろしている時間が今日はちょっと長めかな。
「二人は歌うのだ」 の時、照明が変わっているのか、マスクの白さだけが
浮かび上がって、ほとんど顔が見えません。ただでさえ暗い舞台だし、
後方のお客様のためにも、もう少し明るい方が良いような気もするんだけどな〜。



さて、日によってかなり差がある(笑)アンマスクシーン。
「地獄へ行け!」 は激しく、「呪われろ・・」 は尾を引くように悲しげな声の
高井ファントム。
「だが、クリスティーヌ」 のささやき声が良かったです。


高井さん、ここの歌い方も軽くなりましたね。 この歌い方でより高く飛べるように
なったというか、繊細さがあって個人的には好きです。
もちろん、「ジーザス・クライスト=スーパースター」 カヤパ役や、アニメソングで
聞かせて下さった、重厚な響きのある歌い方も最高ですけどね〜☆



さて佐渡クリス、かなり端の方に転んじゃったのですが、這い寄ってくる
ファントムが思わず手を伸ばす 「クリスティーヌ・・」 が求めるように切なくて、
グッときました。

なんか子犬が「クゥーン」と言ったような気がしたわ(笑)



支配人のオフィス

久々に聴く「プリマ・ドンナ」。
石丸ラウルの声がちょっと他の皆さんの声に押されるところもありましたが、
全体のバランスは良かったし、迫力も十分ありました。
個人的には、石丸ラウルの声質やセリフの聞き取りやすさはとっても好きです。


赤い幕が降りた途端に、最前列の奥様が休憩と勘違いして立ち上がって、
お隣の人から止められてました。
うふふ、初見の方がかなりいらっしゃるということなのですね。



イル・ムート

五番ボックスの石丸ラウルは、あごに手をあてたり腕組みしたりの
リラックスモード。
パトロンなのは確かだけど、どうも態度にオジサマ入ってるな〜☆



オペラ座の屋上

唯一、石丸ラウルと佐渡クリスだけになる場面。
とたんに先日福岡で見た 「異国の丘」 が浮かぶのには、困ってしまいました。
単に組み合わせが同じだからじゃありませんよ。
このお二人のもつ表現が「異国」と同じ雰囲気なんですよね〜。
佐渡さんがいつ「ぼちさん」と石丸さんに呼びかけても不思議じゃない(笑)。


これまで、ラウル&クリスの組合せ、数でいうとたぶん10通り近く
拝見していると思うのですが、石丸・佐渡ペアが私には一番 「悲恋」 の匂いが
するような気がいたします。
ホントなら自分たちこそが王道の恋人、絶対に結ばれるべきだとラウルは
考えているはずなんですが、石丸さんと佐渡さんは二人揃って眉間に深いしわを
寄せてて、苦悩度が高いような。


これって石丸ラウルが一緒に悩みすぎるのが原因なんじゃないでしょうか。
ほの暗い夢に囚われがちの恋人、クリスティーヌと対照的に、ラウルは自信を
持って光の世界、現実の世界に導いて欲しい。
そうしないと、影であるファントムの苦悩が引き立たないような気がします。



「海」劇場初のエンジェル像シーン。
かなり下に下がってくるのがスゴイですね。
福岡では2階席だとほぼ正面にファントムが来たそうですが、ここだと
2階席からは完全に見下ろす高さになりそうです。


私の席からは斜めではありますが、お顔だけは見えました。
二人のデュエットが聞こえてきても目を閉じない高井ファントム。
耳をふさぐときも目がすわってます(笑)


そして、だんだん呼吸が荒くなり、
怒りが潮のごとく満ちて・・・・・ シャンデリアが盛大に落下!
お客様が「ほぉ〜」っとどよめくのが聞こえました。




第2幕




マスカレード

えらく太鼓の音が響くけど、以前はこんな音だったかなあ?
クリスの衣装、袖口が深いブルーに変わっています。
綺麗だけど、ちょっと色目がキツイかな。



レッドデス登場の場面。
背を向けているけど、佐渡クリスの表情は 「やっぱり来たわ」 という感じです。
そこに何があるのかはわかっている。でも見てはいけない。と思っている
クリスなのかもしれません。



支配人のオフィス

佐渡クリス、青いドレスの立ち姿が綺麗。 こちらも袖口のデザインが
変わっています。 こういう衣装を着ると、佐渡さんの大人顔が引き立って
好きです。


ただ、この場面でも眉根を寄せてはいるけど、精神的に弱っているクリスじゃ
ないような。 どちらかというと石丸ラウルの方が切なそう。 石丸さんは
ひざまずく時間も長いし、クリスを励ますというより、やっぱり一緒に
悲しむラウルなんですよね〜。



墓場にて

ん〜バイオリンのソロがちょっと変でした。 オーケストラに関しては
あちこちで批判も聞かれるようですね。CDやテープでこちらの耳が
固定しているという部分もあるとは思います。
だけど音程をはずしているのが素人にもわかるのは、
辛いものがあると思うわ☆



佐渡クリスのソロ、声は綺麗だけど感情があまり入ってない印象でした。
どうも歌を聴かせるという意識が強いというか、正確に綺麗にという気持ちが
出てきて、歌詞に含まれる不安や悲しみが伝わりにくい気がいたします。



高井ファントム 「行くな!」 のあと階段を降りる時に、ちょっと
つまづきそうになって、ヒヤリとしました。 「よーしそのつもりなら覚悟しろ」 とか
強がっているセリフなのにここでつまづいたら大変ですもの。
どうぞお気をつけて☆



ドンファンの勝利


さて今回の舞台で一番良かったのは「The Point of no return」。
佐渡クリスの面目躍如ってところでしょうか。 
アミンタの衣装もよく似合うし、挑戦的な仕草や表情が声質とあいまって、
この場面にはピッタリだったような気がします。
高井ファントムも前半のからみは特に、大人の男の色気があって良かったな〜。



「戯れは これまでだ」 でファントムが渡した杯をあおらせるタイミングは
微妙にズレたけど、受け取って飲んだ瞬間、急に気が遠くなったように
ぐらりと身体をふらつかせたクリスの色っぽいこと。


その彼女が手の内に堕ちてくるのを待ちかまえていたファントムが、
ぐっとクリスの腕を握って支えたのが、もう確信犯って感じでした。


今まではただのワインと思っていたけど、今日はきっと何か特別な秘薬が
入っていたんだと思うわ〜(笑)

なんとなく村さんのファントムはワインになにかを仕込むなんて、大胆な
ことはできないけど、高井さんのファントムはあり得るような・・
いや、あのカヤパ様ならやりかねん(爆)



身体を内側から火照らせる炎になぶられるように、クリスが身体を
撫で上げる仕草も、歌いながら指をからませる様子も官能的で良かったです。


フードをはずされた後のファントム 「どんな時でも」 が囁くように優しくて、
切なさが伝わりました。
でも、佐渡クリスが仮面を取るタイミングがちょっと遅かったかな。
うーんここ、難しいですよね☆



再び地下へ

ラウルが湖に飛び込む動作、佐野さんは飛び込む時に片手をあげて
いたようですが、石丸さんはまず橋の上で両手をバンザイして、それから
飛び込んでいらっしゃいました。
なんだか子供っぽい仕草がかわいらしい(笑)



さて、ラストの三つどもえシーン。
高井ファントム、テンションが上がるのが早〜い。
「支度はできた」 からすでに怒ってます。 「さあ選べ どちらか!」と叫んで
噛みつくようにオルガンに飛びつく弾きっぷりがスゴイ。



三重唱もなかなか整っていて良かったです。
しかし 「絶望に生きた あわれなあなた」 の佐渡クリス、目を伏せて
歌ってたけど、ここは大きな決意を秘めた場面だから、ファントムから
目を離さないで欲しかった・・。



そしてキスシーン。 



怒りで一杯だった高井ファントムが、不意打ちをくらって
ぼう然としてる表情が良かったな〜。
身長差があまりない佐渡クリスのキスがしっかり長いせいもあって、いかにも
唇を奪われている感じが結構ツボ☆ 


ホントにキスひとつで、魂も一緒に抜かれちゃったのね(笑) 



指輪を返すために戻ってきたクリスに向かって、微笑もうとしているファントムの
表情は、精一杯の強がりと、それでも残る愛情を伝えていました。


この日ご一緒したお嬢さんも、あとで 
「高井さん、あんな表情もできるんですねぇ」とおっしゃっていましたが、
ホントになんともいえない切なさと寂しさと、
それからかすかな希望が感じられました。



去っていくクリスを見送るファントム。
胸に強く抱くベールが白く輝いて見えて。



最後の曲、少し伴奏が以前とは違っていたのでしょうか。
初めてこの部分になめらかでさわやかな印象を受けました。



悲壮さは少なく、なぜかほっとするようなあたたかいラストシーン。


玉座にファントムが消えても、誰もいなくなった不気味さを残すのではなく、
うまく説明できないけど、なんだか今日は全てが浄化されてしまったような、
ファントムの愛情が感じられるラストだったように思います。



 
カーテンコールではスタンディングこそ少なかったけど、さかんに 「ブラボー」 の
声がかかっていました。
四季の舞台には珍しく黄色い声援もちらほらと。



ラストは主役3人が降りた幕の隙間から出てきてご挨拶。
高井さんが佐渡さんの手を取って中へ入り、最後は石丸さんが深々と一礼して
引っ込むというなんとも謙虚な感じです。
福岡ではこのパターンは千秋楽しか見たことがないような気がするわ☆



カーテンコールも終わり、送り出しの音楽でちょっとホルンがコケてましたが
「お疲れさま」ってことでもう何も言いますまい(笑)。
残っていたお客様が、オーケストラに対して最後にもう一度拍手をするのも、
オペラ座では初めての体験で楽しかったです。




ファントムイヤー最初の観劇は、フレッシュな気分が味わえて大満足でした。
映画のファントムはもちろん、四季の国産ファントムさまのご活躍を
心からお祈りしております♪




追伸・・オケピの皆様も、ファントムからダメ出しお手紙が来ないよう(笑)
     よろしくお願いしますね〜(^^A)





さて、今回は観劇日記じたいがかなり長くなりそうで、おまけのホワイエは
お休みにするつもりだったのですが、ちょっと気が変わって、今回初めてお会いした
佐渡クリスがふと呼び起こしてくれた 「ある記憶」 について、ちょこっとだけ
おしゃべりすることにいたしました。


題して 「プチ・ホワイエ」。

あ、いえ、決して四季劇場のホワイエの狭さに合わせたというわけでは
ありませんよ〜(笑)

よかったら、カフェ・オ・レでも飲みながら、
気軽におつきあいのほどを♪





                     オペラ座の怪人終演後のプチ・ホワイエへ