ミュージカル エリザベート 


         

                                 博多座 1階 A席  M列38番
                                               



                     当日のキャスト



   エリザベート 一路真輝  トート 山口祐一郎  フランツ・ヨーゼフ 石川 禅
   ルドルフ 浦井健治  エルマー 藤本隆宏  少年ルドルフ 川綱治加来
   ルキーニ 高嶋政宏   マックス 村井国夫 

2004年10月25日(月)マチネ

博多座エリザベートも楽週となりました。
結構早かったですね〜。 個人的には4回目の観劇ですが、この日が
博多座my楽ということで、マチ・ソワ観劇をすることにしました。


両トートはもちろん、両フランツにもお会いできるのが楽しみです。
浦井さんのルドルフは初対面、写真を見るとちょっとジャニーズ系の印象ですが、
どんな皇太子に会えるのか期待一杯♪




第1幕



ようやく、舞台のすみずみまで見る余裕ができてきたかな。
初日以来久しぶりにお会いする山口トート、やっぱりデカイ(笑)。
死者達が恐れる黄泉の帝王の雰囲気がありますね。


シシィとパパの会話。ベンチにパパと座るとき、シシィが片足だけベンチに上げて
大きく足を広げた感じで座っていたのが、ちょっと大胆すぎかも☆
いくらおてんば娘でも、貴族のご令嬢なんだから、下品になってはいけないような気も
致します。
この仕草ソワレではやっていらっしゃらなかったので、もしかしてお母様あたりから、
ダメ出しがあったのかしら(笑)



冥界〜愛と死の輪舞

山口さん、いつもは前髪が横分けになっている筈ですが、今日は前髪を揃えて
おろした感じで、なんか可愛い印象です。帝王なのに(笑)。
でもこちらも、次の登場場面ではちゃんと整えてありました。


シシィとの出会いの瞬間は、内野トートみたいな一目惚れの衝撃ではないのですね。
たとえるなら綺麗な宝石に目を奪われ、ほうっと見惚れている自分に
ふと気がついた、そんな雰囲気だったかな。


シシィがベンチで意識を取り戻す瞬間、山口トートは両手で水をすくうように
胸の前に持ってきて、ふうっと息を吹きかけていらっしゃいました。

目に見えない魂に、生気を吹き込んだというイメージが幻想的で、なかなか
良かったです。 なんだか、あたたかい感じのトートだなあと思いました。



バートイシュル

シシィはおてんば娘だけど、姉妹の仲は良さそう。
姉のヘレネとガッツポーズ、でもケーキの苺を落としたときの「きゃーっ」が
なんかスゴくてびっくり☆
いつも大好きなのは、フランツがシシィを誘った時のルドヴィカの 「あれ?」
コミカルさと、ルキーニのシニカルさ、音楽的なリズムのバランスは、この春風さんの
一声にかかっていると思うわ〜。



最後のダンス

トートの心情をトートダンサーが表しているので、トートがジェラシーっぽいことを
言うと、ダンサーの方も動きが激しく妖しくなります。これって考えたら面白いよね。
たとえばトートが大笑いすると、ダンサー達も嬉しくなっちゃうのでしょうか(笑)


このナンバーはきっと山口さんご自身も好きなんじゃないのかな。
動きは少々大ざっぱな感じだけど、とにかく声量があって劇場内に響く歌声、
しっかり美声に浸らせて頂きました。


階段の上に駆け上がって 「お〜れ〜・さ〜〜〜!」 のフィニッシュが素晴らしい。
芸術点、技術点共に文句なし、国旗掲揚、国歌斉唱(爆)って感じ。

斜め後ろに山口さんファンの女の子が数人いたみたいですが、暗転の時、
小さな声で 「きゃーっきゃーっカッコイイ〜」 って騒いでるのが聞こえました。


高嶋ルキーニ 「トート閣下は ご機嫌ななめだよ」 の最後が 「だヨ」 って、
子供みたいに素直な言い方に変わってきましたね。
ちょこんと上手端に座ってるので、こういう表現の方が良いかも。
「そっと窺う」 で帽子の影に隠れるようにしてから、ささやくように
「しぇからしか〜」と博多弁のサービス。 
(「せからしか」は「うるさい」という意味です) お客様の拍手が起きていました。


姑ゾフィと嫁シシィの、子供を巡るごたごた。
短い間に年数が過ぎて行く設定ですが、「子供たちを返したなら」 から
あきらかに一路さんの歌い方が変わるのが、うまいです。
大人の女性としての落ちつきと自信を示しているのですね。



ハンガリー・デブレツイン

幼い長女の死の場面、シシィから 「決して許さないわ」 面と向かって
言われても内野トートと違って微動だにしない山口トート。


ただ黙って彼女の顔を見つめているのですが、
個人的にはこれが正しい(笑)トートの反応のような気がします。
トートが積極的に命を奪ったのではなくて、運命に従って当然の仕事を
果たしただけ。 仕方ないさっていう気持ちなんじゃないでしょうか。
トートは人間じゃないのだから、死が死を与えることになんの感慨もないと思うし。



闇が広がる

トートはこの場面、黒い手袋をしているんですね。 
「認めるんだ 俺への愛を」でシシィの顎に手を添えるので、初めて気がつきました。
うーん、やっぱり初日は色々見落としてるんだなあ。



ウイーンのカフェ

藤本さんは声が良い方ですね。 ただ、正直言って表情とか、話すときの
口元が、ちょっと粗野な印象なのが惜しい☆  いえ、べつに粗野な面もあって
良いとは思うのですが、革命家という思想犯のリーダーの雰囲気ではないような
気が致します。



エリザベートの居室

石川フランツが歌う、綺麗で繊細な声がとっても好きですね〜。
石川さんは今回のエリザベートで初めてお会いした方ですが、他の役も
ぜひぜひ拝見したいと思います。
特に「優しい」とか「イ」音を伸ばすところの声なんて最高。
こんな声で懇願されたら、普通はぐらっとすると思うわ〜☆

しかし、さらに上を行くのが我らがトート様ですよ。
「エリザベート 泣かないで」 と闇の中から呼びかける声が、甘くて優しくて
もうメロメロ(笑) ここまで二人の男性の声が切ないと、しっかり拒ばむシシィが、
えらく冷たい「鉄の女」に見えてしまいますわ。


ここも内野トートとは動作が全然違いますね。
シシィにきっぱりと拒絶された瞬間、天を仰ぐようにしてから、黙って背中を
見せて耐えているトート。
羽ペンを床に突き立てる仕草に、無言の苛立ちが感じられました。




第2幕



少年ルドルフの部屋

この日、なぜかずっと電光くんの調子が悪くて、右上の方の一部が
赤青緑にチラチラ光るのが気になりました。 明るい場面なら良いけど、暗転中とか
暗い場面でも結構光って目立ったし。
ただでさえ評判がよろしくないんだから、せめて整備はキチンとお願いしますよ〜。



体操室

私がこの場面で一番好きなのは、ドクトルに化けた山口トートがソファに座り、
シシィの脈を取ろうと手を伸ばすところ。
この時の山口さん、ホントにふわっと羽のように優しく彼女の手首を握るんです。
医者に化けて現れるのは、フランツの裏切りを教えるためだったのでしょうけど、
やっぱりちょっとシシィの心配もしてたのかなあ。

まあ、死にかけてる人間に命を返してやれる帝王なのだから、
命にかかわらない程度の病気、別にどうってこともないのかもしれませんが。


でも、まさか「命を絶ちます」なんて嬉しいことを(笑)言ってくれるとは
思ってなかったんでしょうね。
「それがいい エリザベート」 から 「待っていた・・!」 の心底嬉しそうな様子に
ウケてしまいました。


マントの放り投げ方も、派手に手をぐるぐる回すし 「待っていた」 というより
山口トートは 「よ、待ってましたぁ!」 って感じの明るい喜びよう☆ 
あの・・一応帝王なんですけど、そんなに無邪気に喜んで良いのでしょうか(笑)
「今こそ出かけよう」で、片足を一歩大きく前に出して歌いかけ、ソファに
駆け上がって喜びのあまり仁王立ち。
シシィを追っかけ回して歌いまくってます(笑)


でもこんなに喜んだのに 「あなたとは踊らない!」 ときっぱり断られる閣下。
左手で 「出て行って!」 という仕草をする一路さんにあわせて、心の中で
「ハウス!」とつぶやいている観客は、たぶん私ひとりではないと思いますわ(笑)



ゾフィの死

フランツがゾフィに詰め寄る場面。
母君に訣別を告げたあと、石川フランツは軽く一礼をしてから去るところが、
皇太后への敬意をきちんと表している印象で、とっても良いと思います。



ルドルフ登場

パクルドルフがしっかり青年に成長した皇太子なのに比べると、少年のまま、
ティーンエイジャー風の浦井ルドルフ。 ちょっぴりおでこちゃんで可愛い〜☆
前髪を分けて貼ってるマイクが目立ちます。
もしかしたら浦井さんはマイク、頬に貼った方が良いかもね(笑)
トートと並んだときのバランスも少年時代の部屋の雰囲気を引き継いでいて、
なかなか良いと思いますわ。



カフェ

トートが 「今なら救える ハプスブルク」 と、ルドルフの蜂起を促す場面、
ルドルフを馬車に導く仕草が優雅で好き♪ 
それにね、聞いて下さいよ(笑)御者席に座った山口トートったら
一度しっかりルドルフの顔を優しく見るんです。
浦井さんも笑顔でトートを見上げてて、なんて可愛いんだ〜。


トートとルドルフがこんなに笑顔で見つめ合う瞬間は、初めて見たような気がします。
これを見ると、トートとルドルフの関係も、全然違う印象になってしまいそう☆


寂しい子供の頃に、優しい言葉をかけてくれた夢の中の友達、トートを
兄のように慕う気持ちが、ルドルフにはあったのかもしれないなあと思いました。



マイヤーリンク

もろもろをすっ飛ばして、もうマイヤーリンク(笑)。

浦井さんは華奢で身体も柔らかいので、トートダンサー達にもてあそばれる
ダンスも綺麗です。
特に身体をのけぞらせるようにしたときの、ほっそりした上半身が色っぽいわ〜。



そしてこの日、山口トートと浦井ルドルフのキスシーンはもう絶品☆


抱き寄せてから目を見つめ、優しく唇を重ねる 「死の接吻」 は、
魂を奪うにふさわしい残酷な「甘さ」があって、ゾクゾクしましたね〜。


同じようにルドルフを殺すのでも、内野トートの死の接吻は、
ナイフで深く刺しつらぬくようにシャープですが、
山口トートのそれは甘い毒薬を含ませるイメージかな。



愛しいひとに 煌めくような 「死」 をひとしずく。



そんな印象を持ちました。
シシィによく似た面差しのルドルフのことも、トートは好きだったのですね。


苦しむルドルフに与える死は愛。 死はやすらぎ。


全体的に、この日の山口トートは「愛と死の帝王」と呼びたくなるような、
不思議な暖かみを備えていたような気がします。



夜のボート

石川フランツで、一番ジーンとしたのはこの場面。 
二人のすれ違う心を歌うナンバーですが、フランツの方は最後まで愛の言葉を
口にするのに、シシィから聞かれるのは拒絶の言葉だけ。
人生の最後は寄り添いたいという彼の願いの言葉が切なすぎる。


「愛している」あたたかい言葉と共に、石川さんの大きな目に涙が光っているのが
見えました。 
一路シシィの 「わかって 無理よ私には」 に、黙って 「うんうん」 と、うなずいて
理解を示して下さるのが、フランツの悲しみを感じさせて、私も思わず涙。。




悪夢

愛しい妻の姿を求め、彼女を助けようとあがくフランツはもうボロボロです。
最後に中央に座り込む石川フランツは、髪もぼさぼさになって茫然自失状態。
ラストシーンに向けて、運命のクライマックスが音楽の盛り上がりとリンクする
この場面、ドラマティックで大好きです。



ルキーニが刃物を手にした瞬間、
ライトの色が変わって突然訪れる静寂の不気味さ。



最後の悲劇に向かって突き進むしかない運命を、観客も固唾を呑んで見守ります。




そして暗殺。
全てが終わり、冒頭の白いドレス姿でシシィが立ちます。




上手から歩く一路シシィと、大きく両手を広げるようにして歩み寄る山口トート。
その手のさしのべ方には、走ってくる幼い少女を抱きとめるような
雰囲気があります。
遊び疲れて、ようやく暖かいふところに帰ってきた子供のように抱きしめられるシシィ。


うーん、私の中では山口トートは死の帝王というより、大天使に近いイメージなの
かもしれません。



棺にシシィを納め、何かを祈るように
目を閉じた山口さんの表情が印象的なラストでした。






さて、雰囲気が変わって楽しいカーテンコール♪



全員で2回ご挨拶。
マチネは少年ルドルフのご挨拶もありますね。
この日は川綱くんが見事な側転を披露して、大喝采を浴びておりました。


でも、全員でのご挨拶の時も、なぜかなかなか山口さんが手を振りません。
観客も「あれ?」って感じでしょうか。
鳴りやまない拍手に応えて一路さんと二人だけで登場しても、
山口さんが手を振らず、意味深にニコニコしているので、一路さんが妙に
警戒しているのが笑えました。


ホントなにをしでかすか、わからないですものね〜山口さん☆


最後は 「にっ」 とイタズラっぽく笑う山口さんに、一路さんがハッと
殺気を感じたように真顔で振り返って 「幕」 となりました。






と、観劇についての感想はここまで。



今回は終演後にホワイエをご用意しました。 舞台そのものではないのですが、
「エリザベート」を見て、ちょっと思い出した映画についてご紹介しておりますので、
よかったらソワレまで、お茶でも一杯いかがかしら。




ではお嬢さん、ご一緒に Prego♪




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