サウンド・オブ・ミュージック 
         
              
         

                                 博多座 1階 S席  F 列37番
                                              M列17番
                                               



                      当日のキャスト



  マリア  大地真央  トラップ大佐  今井清隆  エルザ  杜 けあき   
  マックス  太川陽介  ツェラー 藤堂新二  修道院長 花山佳子
  ロルフ  原田優一  シュミット夫人  冨田恵子  リーズル 三倉佳奈
    

2004年5月2日(日)初日マチネ・5月10日(月)マチネ

博多座で、1ヶ月公演が始まりました、東宝ミュージカル「サウンドオブミュージック」。
大地さんは1992年からマリア役に取り組んでいらっしゃるそうですけど、今井清隆さんは今回がトラップ大佐に初挑戦。
私自身も初めて拝見する演目、そして今年1月の「レ・ミゼラブル」で、たまたま今井さんの風邪休演日にあたって以来、お会いできるのをホントに楽しみにしておりました。



しかーし!
今回、この日記を書くにあたって、お断りしておかねばなりません。


結果的に、私は初日の5月2日と、10日の2回観劇したんですけど、誤解を恐れず正直に言います。今井さんに限っていえばこの2回、かなりレベルに差がありました。
ていうか、初日の演技は「この方が、ホントにファントムをやったの???」と首をかしげたくなるくらい。「この感受性でファントムを演じるのは、無理だったのでは?」とさえ思いました。
今井さんファンの方、ごめんなさい。
ただ、私は以前から今井さんの歌声が大好きで、自宅にある今井さんのCD「グロリアス・ボイス」は登場回数ナンバー1。今でも繰り返し聴いています。
だから歌に関しては、あいかわらず素晴らしいと思ったのですが、演技についてはどうも、初日に関してはぎこちなさが目立ちました。

でも、10日夕方のトークショーで、素の今井さんに触れて(トークショーの模様は『銀翼の彼方へ』のページをご参照下さいませ)とってもアガリ症の方なんだなあということがわかって、やや納得。芸能人なんだから、それで良いとはもちろん言いませんが理由は若干わかったような。


・・と、えらそうなことを言ってごめんなさい。
ただ、一観客として、正直なところを記しておきたいと思います。
というわけで2回の感想を織り交ぜて書いております。



※ストーリー紹介・・ご存知の方も多いと思いますが、一応四季以外の舞台なので※


1938年。ナチスドイツの影響が徐々に及んでいた頃のオーストリア。
修道院の見習い、マリアの奔放さに手を焼く修道尼達の要請を受け、マリアは大人の女性に成長するために、修道院長からある機会を与えられる。
それは海軍大佐トラップ家の7人の子供達の家庭教師になること。
トラップ家では亡き妻を思い出さないように音楽は禁止。仕事が忙しいトラップ大佐は軍隊式に子供や使用人たちに接し、窮屈な生活を強いていた。
ところが歌を愛するマリアがトラップ家に来ると、様相は一変。彼女のおかげで子供達と大佐の心のつながりも蘇る。
そのうちマリアと大佐はお互いに恋心をいだくように。一度は修道院に逃げ帰ったマリアだが、修道院長のあたたかい励ましで人生に挑戦する気持ちを取り戻す。
大佐のほうでも自分の気持ちにウソはつけず、金持ちの未亡人エルザとの婚約は解消して、マリアとの結婚を決める。
晴れて真の家族になったトラップ家、しかしナチスドイツの手が伸びてきていた。
ナチスに忠誠を誓うことを拒む大佐は、亡命を決意。親友マックスが企画、司会するカルツベルグ音楽祭に家族で出演、それを隠れ蓑にして逃避行を開始する。
映画でも有名な、山を越えるシーンがラストに待っています。




ゴールデンウイーク中の初日、お客様が多いだろうなあと思ったのですが、100%ではなかったみたいですね。博多座は歌舞伎とか人情芝居も月がわりでやってるので、四季に比べると年配のお客様が多いのが特徴です。
でも宝塚公演も来るし、松平健さん、北島三郎さんの公演も人気があるそうで、なんだかバラエティに富んだラインナップの劇場ですね。
スタッフの方が親切なのでも評判の劇場だとか。
シティ劇場とは徒歩10分の近さ。お互い末永く頑張っていただきたいものです。




第1幕



ノンベルグ修道院
修道院で言葉を交わさないまま、静かに歩く修道尼たち。清らかで厳かなミサの様子から始まります。賛美歌を歌う女性コーラスが美しい。
でも、マリアはどうもいないみたいですね。
にわかにあわただしくなって、修道尼たちが見習いマリアを探し始めます。

修道院のセットが左右に開くと、奥は青いアルプスの山々と緑の草原。
大地マリアがシンプルな青いジャンバースカート姿で中央に立っています。
歌うのは「サウンド・オブ・ミュージック」。声は正直言ってちょっとかすれるところもありましたけど、ショートカットに明るい表情は空想好きの若い娘そのもの。
このあとに続く、修道尼たちがマリアに手を焼くことを嘆くナンバーもぴったり☆


修道院長のオフィスに呼ばれて来ても、落ち着きのない小鳥みたいなマリア。じっとしていられないし、音楽と愛情とエネルギーが体からあふれ出ているマリアを修道院長は、心から理解し、愛してくださってるんですね。
ため息をつきながらもマリアに、主の御心に叶う役目を与えます。
スカートをバサバサさせたり、大きな口をあけて笑ったり。やんちゃな男の子みたいでありながら、「神のご意志に従います」と答える純粋な心の持ち主、マリアのキャラクターを大地さんはよく表していらっしゃったと思います。



トラップ家山荘の居間

今井大佐登場。茶色のスーツ姿、体格が良くてなかなか押し出しの良い紳士です。
プログラムの写真は鼻の下のおひげだけでしたが、あごひげまで伸ばしていらっしゃるんですね。

大佐がホイッスルを吹くと使用人が飛んできます。吹き方を変えて人間の区別をしているというわけ。
しかしセリフが・・軍人なのはわかるけど、棒読みだな〜というのが正直な印象。
マリアが来て、自己紹介するセリフちょっといいそこなっちゃいましたね、今井さん。
かなり緊張していらっしゃるのかなあ、
マリアに軍隊式教育の指示をするところ、セリフがかなり早口になって初日は特に聞き取りにくい感じでした。


さて、ホイッスルに合わせて子供達登場。
7人の声や動きが可愛くて、もう観客の笑い声が一杯。
末っ子のグレーテルは4歳という設定で、リボンがカワイイ♪
ホイッスルに合わせて行動することに、ユーモアを交えて抗議するマリア。
特に大佐が歩くのにあわせて、マリアがホイッスルを吹くところがコントみたいで、お客様に大ウケしておりました。

マリアが子供達の心をあっというまに掴み、歌を教え始めます。
これが有名な「ドレミの歌」
でも、私たちが知ってる「ドはドーナツのド」じゃなくて、歌詞はこの舞台の演出のために変わってるそうです。
「ドはドラム、レはレモンシャーベット、ミはアイマイミー、ファはファンファーレ、ソはひろがる空、ラは吠えるライオン、シは白いエーデルワイス」
子供達がドレミの音階にあわせて、身振りをするのが楽しいナンバーを聞きながら
「ああ、サウンド・オブ・ミュージックを観にきたんだな〜」としみじみ感じました。


場面変わって山荘の外。電報配達少年のロルフと長女リーズルの淡い恋を歌うナンバーが、コマーシャルでもお馴染みの「もうすぐ17歳」
原田優一さんはレミゼでガブロッシュもやっていらしたということで、若いけど芸歴は長い方。声もダンスもなかなか良かったです。
双子タレントの三倉佳奈さんがリーズルですが、本格的な歌やダンスの勉強はこれからなんでしょうね。いかにもシロウトさんの歌とダンス。これは仕方ないかな☆



マリアの寝室


大地さんは宝塚時代からコメディセンスに定評のある方でしたけど、なんとも間がよくて、ちょっとしたひとことも笑いを取れる。これって凄いことだと思います。
遊び着が必要だと思っていたところに、部屋のカーテンを変えるという話を聞き、そのカーテンを身体に押し当てて一人思いつきに微笑むマリア。
あとで、この派手な花柄カーテンを子供達全員が身につけて現れるのも、笑えるポイントですね。

雷が怖くて子供達が、マリアの寝室に飛び込んで来るシーン。みんな長い寝巻き姿で、歌います。こういう時の大地さんってホントに表情が豊かで好きです。
「ひとりぼっちの羊飼い」はヨーデルの要素が入った楽しいナンバー。枕を楽器がわりに使ったりシーツでマントにしたり、子供の頃の空想一杯の遊びやふざけっこが懐かしくなりました〜。



山荘のテラス

大佐の婚約者、エルザ役の杜けあきさんは素敵な大人の女性を演じていらっしゃいます。
この方も宝塚男役出身。男役出身の方は、なかなか女性役がうまくいかないこともあるような気がしますけど、杜さんのエルザは素敵。
大人っぽさの中に、可愛らしさのある女性像で好感度大でした。
大佐の友人マックスは太川さんのキャラクターそのまま。明るくてお調子者の憎めない男。カルツベルグ音楽祭の企画で出演歌手を探していて、トラップファミリーの出演を思いつきます。コミカルな演技もうまいし、なにしろマックスが出てくるだけでホッとしますね。


大佐が二人と会話をしても、やっぱり初日は今井さんだけセリフが棒読み、表情が変わらないのが気になりました。杜さん、太川さんの表情と比べると、まるでお殿様☆
ああ、早く今井さんに歌ってほしいなあ、そしたら印象が変わるかしら。


そしてこのあとが、私にとって本日の泣きポイントでした。

子供に自由な遊びが必要だと主張するマリアと「自分の子供の教育に口をだすな」と怒る大佐。マリアが必死で話しているうちに、どんどん気持ちが高ぶっていくところがうまかったですね〜。この長セリフを聞いてるうちに、私も胸が熱くなって涙ぐんでしまいました。
7人の子供達のよさを一つ一つ上げて、「お願い子供達を愛してやって。あなたを子供達は必要としています。」と懇願するマリアの、愛情あふれる言葉と表情に、子供達の心の叫びが聞こえてきそう。

大佐は痛いところをつかれて、「荷物をまとめて出て行け!」と言い放ってしまいますが、子供達の歌声を耳にするとハッと気づきます。
子供達と大佐が歌う「サウンドオブミュージック」は、親子の絆を深める象徴。
トークショーで、このシーンに来ると今井さんも泣いてしまうとおっしゃってました。
初日は前から2列目センターでしたけど、この日はまだそんな余裕はなかったのではないでしょうか。公演の後半に観劇に行かれた方によると、今井さん涙がポロポロこぼれるほど、泣いていらっしゃったそうです。
ご自分でもおっしゃってますけど、実際はかなり涙もろい方らしいので、このあとの場面に涙を引きずらないようにするほどなんですって。
ファントム役でも涙をこぼすことがあったと聞きますが、男泣きのファントム、
見ただけで魂を持っていかれそう(笑)
今井さん、やっぱり歌は素晴らしいです。甘く大らかな歌声がゆったりと、子供達の声を包み込むように広がります。
自らの非を認めて、和解を申し出る大佐。
ただ、惜しいかな大地さんと今井さんのデュエットはちょっと、声の重なり具合が美しくない。これって発声法の違いかなあ。大地さんの歌声はビブラートがあまりかからなくて、まっすぐに出てくる印象になるからかもしれません。



トラップ家のパーティ

今井さんが燕尾服で登場。
あぁ〜今井ファントムだ〜♪ この姿だけでも観にきた甲斐があるというもの。
当然ながら、燕尾服のベストはルール通り白。白い手袋もしていらっしゃいます。ファントムの黒いベストって良くできたデザインなんだなあと、つくづく感心。高井ファントムの燕尾服姿がなぜか脳裏に浮かびました。(村ファントムは? さあ・・苦笑)


しかし今井さん恰幅が良いというか、かなりの胴回りとお見受けしますわ。すごく大きなベストに見えました☆
マリアがこのとき着てくるピンクの薄手のドレスがとっても綺麗。恋を知り、徐々に変化する彼女の女らしさも表現されているんだと思います。


最初は子供達にワルツを教えていたマリア。それを見ていた大佐が「踊っていただけますか?」とエスコートします。
初めて二人が恋心を意識する瞬間。それを目ざとく察知するのが、おませな3女のブリギッタ。「先生はパパのことを、パパは先生のことが好きなんでしょ」と言ってマリアを困らせてしまいます。でもこのことがきっかけで、マリアは修道院に逃げ帰ってしまうんですね。



修道院

恋を知り、恋に戸惑うマリアの様子を、それとは知らぬ修道尼が語るセリフが
良かった。
「マリアはお祈り以外に口を利きません。ひどく幸せそうでもあり、ひどく不幸せそうでもあり・・。」 
冒頭でも出てくる修道院長のオフィス。トラップ家に行く前とは大きく変わったマリアが座っています。こういう明確な変化の表現が、大地マリアのうまいところですね。
修道院長の手にキスをする仕草、イスのすわり方も微妙に違う。大人の女性への扉を開けたマリアが確かにそこに居ました。

迷うマリアに修道院長が贈る歌が「すべての山に登れ」。私はこのタイトル、久保田利伸の曲だと思っていたので(笑)、今回初めて知りました。
修道院長の花山さん、初日は力強いソロを聞かせてくださいましたが、10日はブレスがえらく多くて、息切れ気味だったのがちょっぴり残念でした。




第2幕



山荘のテラス

マリアが修道院から戻ってきて、大佐も婚約者エルザとの心理的な距離を悟り、婚約は解消されます。
ここで、エルザ、マックス、大佐の3人で歌う「誰にも止められない」という軽快なナンバーは良かったです。3人の歌声のハーモニーも最高でした。
でも、とにかく初日はセリフになると・・・☆
マリアに語る大佐の「君がいなくなってから世界がかわってしまったようで、何もかもうまくいかないんだよ」だったかな。このセリフがまた、棒読みなんだ(泣)
どうして〜? どんな気持ちで大佐はこの言葉をマリアにかけてるんでしょうか?
それが語調からも表情からも伝わらないんです。不思議でたまりませんわ〜。


でも、一番驚いたのが初日の次の場面。
お互いに抱いている恋心を告白する二人。
大佐に「その気持ちに気づいたのはいつ?」と聞かれたマリアが
「二人でダンスを踊った晩」と恥ずかしそうに答えます。で、次が
「ああ、あれは大人のダンスだったね」という大佐のセリフだったのですが、

このセリフ、イメージとしては彼女の目を見つめながら、(佐野さんなら同時に手も握りそう☆)ちょっと声のトーンを落として、その時のことを思い出させるようにささやくべきだと思うのです。
でもこの時、今井さんの仕草はなぜかマリアの方向から、体の向きを正面にかえ、しかも少し上を見上げるようにしながら、明るく「ああ、あれは大人のダンスだったね」。
わかります?まるで「ああ、なんて青い空が気持ちいいんだ」っていうセリフを言ってるような明るさに、思わずイスから落ちそうに(笑)なりましたよ、ホントに。



スミマセン、ここで完全に脱線します。


今井さんが四季でファントムを演じていらっしゃったのは、たしか98年〜99年の東京公演の頃だと聞いています。
今はもう見ることの叶わない幻の今井ファントムですが、今回の舞台を拝見して、いったいどんなだったんだろうとつくづく考え込んでしまいました。
ロングラン公演の前半と後半ではファントムの評価が、かなり変わったという話もよく聞くのですけど、やっぱり最初の頃はこんな感じだったのかなあ。
声はとびきり良いのに、どこか単純で大味というか。微妙な心のヒダとか愛憎うずまく複雑さというのは、今井さんご自身があまり得意としてないのかもしれません。
トラップ大佐は、愛憎というほどの複雑さは必要ではないけど、それでもマリアへの恋愛感情とか、色気となるとちょっと薄くなってしまう。
でもファントムは、愛憎そのものですからね〜。
恥ずかしがったりしてる場合じゃない☆

今井ファントムのことを「とってもいい人に見えた」という人もあれば「セクシーさは一番だ」という人もありますし、最終的には観客がその舞台から何を受け取るかは人それぞれ。
好みの問題もあるし、その日の体調とか環境によっても集中力に差が出ますね。
たまたま抱えてる精神的な問題にフィットしてしまって、ツボにハマルこともあれば、ちょっとしたきっかけで魅力を失うこともあるでしょう。

だから、あくまで一個人の意見でしかないのですけど、今井ファントムが最初の頃、かなり酷評されたというのはなんとなく、うなずけるような気がします。
ただ、後半良くなってきたということですし、この「サウンド」にしたって、10日におそるおそる観に行ったときは、かなりのびのび自然に演じていらっしゃいましたから、今井さんなりのペースではあるのかもしれません。


・・以上、脱線終わり。



さて、この後がまた、良いんですよ。


   大佐「あれは大人のダンスだったね」
   マリア「子供の頃のダンスとは全然違っていました」
   大佐「・・男の子にキスされたことある?」
   マリア「ええ・・まあ」(ちょっと気取ったように)
   大佐「大人になれば、キスだって変わる」


そう言って、彼女を抱き寄せて大佐がマリアにキス。
ただ、四季はかなりきちんとキスシーンを見せますけど、今回は完全に今井さんが背を向けて、ああマネなんだな〜とわかるくらいのあいまいポジション。
ファミリー向けの演目だと、これが限界かしら☆



結婚式

展開早く、次はもう結婚式です。大佐は軍服、マリアは白いウエディングドレスで登場。修道院の美しさが印象に残りました。


トラップ家山荘の居間

この場面、トラップ大佐をナチスドイツの海軍に招集しようとする高官であるツェラー氏役の藤堂さんの演技があまりにぶっ飛んでいて、ちょっと他の人の印象が薄くなってしまいました。完全に浮いてます。ナチスの人間は皆狂信的で普通じゃないというところを表現したかったのかしら。ちょっと謎☆

ここでもマリアは、人妻らしい落ち着きとしっとりした色気を感じさせます。つい2時間前には山猿みたいな女の子だったのに(笑)演技っておもしろーい。
逃げるつもりじゃないということを証明するために、居間でトラップファミリーが歌うところから、すばやく音楽会の本番へと転換する演出は、とっても良かったと思います。



カルツベルグ音楽祭

トラップファミリーが歌います。
コンクールの司会を務めるマックスは、すべてを知っていて、家族にさりげなく軍が大佐を迎えに来ていることを知らせながら、そ知らぬ顔でアンコール。


亡命の覚悟を秘めて、祖国の歌「エーデルワイス」をギターで弾き語りする
トラップ大佐。
ここも、場面としてはもう少し大佐の感情表現がほしかったなあ。大地マリアが、平静を装いながら子供達を逃がそうとしている緊張感が伝わるのに対し、大佐の方はどんな気持ちで歌っているのか、これから故郷を捨てることへの万感の思いを込めた「エーデルワイス」のはずなんだけど、初日は「今、大佐は何を考えてるんですか?」と尋ねてみたくなりました。
10日はもちろん、ずっとずっと良くなっていましたけどね。



修道院の庭

ナチスの目を逃れて、修道院の庭に隠れているトラップ家の前にあらわれたのは、かつてリーズルの恋人だった電報配達少年のロルフ。ナチ親衛隊に入ってたんですね。上官に報告するかどうか、一瞬の迷いの末、ロルフは大佐たちの顔を見ながら叫びます。
「ここには、誰もおりません!」
リーズルの顔を懐中電灯で一瞬照らし、無言のままきびすを返して去るロルフ。
この場面の緊迫感は良かったと思います。


最後は映画同様にアルプスの山を越えていくファミリーの姿で幕になりました。
希望と不安を胸に、それでも愛と信頼、大切な家族とともにあれば
恐れることはない。
そんなことを感じさせるラストシーンでした。


カーテンコールのあと、
もう一度、衣装を変えて大地マリアが「私の好きなもの」を歌ってくださいました。
初日だし、何度もカテコあるのかと思ったら、1回だけで場内の電気がつきました。観客の拍手は鳴り止まないのに、とうとう再度の登場はなし。
10日も同じでしたから、博多座の決まりでしょうか?
同じ東宝ミュージカルでも「レミゼ」のカテコはもっと、何度もあったような気がするんだけどなあ。

「サウンドオブミュージック」という演目は1965年の日本初演以来、39年。映画の公開も同じ年ですから、もうかなり熟成した作品なんだなあと思いました。
これが実話をもとにしてるということは今回、初めて知りましたけど、これからも折々に再演されていくんでしょうね。
個人的には1幕目の楽しさから、2幕目の政治的な暗さへ繋がっていくストーリーがちょっと不満ではありますけど、実話をもとにしているとなればそれも時代背景として必要なことなのかもしれません。



この公演の途中で350回記念を迎えた大地マリアへのお祝いの言葉の中で、
今井さんが、「実は私も今日が、トラップ大佐35回目。プチ記念日です(笑)」って
おっしゃったそうです。
あの立派な体格に「プチ」の響きがえらくカワイイ今井さん。
今回はダメだしの嵐日記になりましたけど、今井さんの、特に歌のファンであることは変わりません。



 今度は「ミス・サイゴン」と「レミゼ・コンサート」、心から期待しておりマス♪
 (あーあ、とうとう関東遠征ですわ・・笑)







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