深い深い眠りの中

 酷く幸せな夢を見た






夢物語






 暖かい日差しの中で大好きな彼を抱きしめて、大好きな彼の寝顔に目を細めながら幸せな一時に浸る。
 何時も誰に対しても警戒を緩めない自分が唯一警戒を解ける場所。

 それがこの彼の隣で。

 『探偵』の彼の横に居るのに警戒を緩めている自分に最初は酷く戸惑いを覚えたものだが、それも過去の話。
 今ではその感覚が酷く心地良くて、このまま何時までも時が止まってしまえば良いと思う程。
 『怪盗』なんて顔を脱ぎ捨てて、このまま普通の恋人同士として過ごしたいとも思う。

 けれどそれは自分には出来ぬ事。

 KIDとしての矜持もあるが…何よりも『怪盗KID』もこの彼が好いてくれているのを知っているから。
 だからこそ、『KID』になる時は『名探偵』との対峙を楽しむ事にしている。

 だって二人とも本気で捕まる気も、捕まえる気もないのだから。
 知恵を絞り相手を捕まえようとする、それはそれは楽しい二人だけの鬼ごっこ。


『んっ……』


 彼の寝顔を堪能していれば可愛らしく寝返りを打ち、温もりを更に求めるように抱きついてきた。
 それに笑みを零して、快斗は彼が寝やすいように抱きしめてやる。


『き…っど…』


 腕枕でもしてあげようかと考えていればもう一つの顔の名前を呼ばれて、まるで考えている事がばれてしまった様だと一人苦笑する。


 瞳を閉じていても彼の慧眼は遺憾なく発揮されるらしい。


『ゆっくりお休みなさい、私の名探偵』


 そっと彼の瞼に羽根が触れる程度のキスを落として快斗も新一と共に眠りへとつくのだった。








「んっ……あれ?」


 眠りについた筈なのに何故か目が覚めた自分に一瞬呆けて、少し首を捻った後であっちが夢だったのかと一人納得をした。


「夢でも同じ事してるなんて幸せな証拠かねえ」


 腕の中の彼が夢の中のようにすやすやと眠る様子に一人笑みを零す。
 起きていても夢の中に居ても何時でも彼と共に在れる様で、酷くくすぐったいが幸せな気持ちになる。


「んっ……か…いと…」


 一人くすくすと笑ってしまえば、腕から振動を感じたのか新一が少しだけ身動ぎしながら快斗に抱きついてきた。
 それに起こしてしまったかと焦って彼の顔を覗き込んだがどうやら起きた様子は無いようだ。
 その事に安堵して、それから夢に習って同じ様に彼の瞼にキスを落とした。

「ゆっくりお休み。俺の新一」








END.


タッキー&翼Mステ登場記念v←何時の話だよι
この曲実は結構好きv気付くと最近口ずさんでたり。
んでもって…あの二人の衣装を見て一言…
「快斗はきっとこれ着こなせるよな…。」(爆)
で…実はこれssの『ぽかぽか』の快斗視点のお話(ぇ)
哀ちゃんが目撃した時は快斗はこんな夢の中にいたのでした…。



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