(やべぇ…気持ちわりぃ…ι)


 希代の名探偵は朝から頭痛と気持ち悪さに苛まれていたのだった。








〜酔いの代償〜








 事の起こりは昨日の放課後。
 クラスメイトの「工藤も飲みに行かねえか?」の一言だった。

 <注:未成年です(笑)>

 いつもならば「家で待ってる奴が居るから。」の一言で断ってしまう新一だったが、昨日だけは違っていた。
 いつも家で夕食を準備してくれている家政夫兼同居人兼恋人(なんで恋人が一番後ろにくるの!!by快斗)が裏家業の為、四日程前から家に居ないのだ。
 もちろんまめな彼であるから、温めればすぐに食べれる物を作り置きして行ってくれたのだが…。


(一人で飯食うのもいい加減飽きたしな…)


 そんな少しの寂しさも手伝って、「行く」と周りが一瞬固まる程驚く結論を出したのは良かったのだが…。








(やっぱ気持ちわりぃ…ι)


 どうやら見事に二日酔いになってしまったらしい。


(てか俺何杯飲んだんだ…?)


 1、2、3、4と指折り数えてみたが取り敢えず15杯以上飲んだ事しか思い出せずにこれ以上思い出す事を諦めた。


(取り敢えず水でも飲んどくか)


 のっそりとベットから起きようとした瞬間、猛烈な気持ち悪さに襲われた。


(…………無理)


 名探偵起きるのすら断念(爆)
 そのまま、またベットの住人になって回らない頭のまま取り敢えず今後の行動を考えてみる。


(起きるのは無理だし…快斗が帰ってくるのは明日だし…二日酔いに効く薬なんて今家にはないし…)


 が、解決策が見つからない。
 しかも間の悪いことに、お隣りは昨日から少年探偵団を連れてキャンプへ行ってしまっている。
 つまり、物凄く珍しく新一の周りに監視の目がないと言う訳で…。


(どうすっかなぁ…ι)


 名探偵成す術無し(爆)


(取り敢えず………寝るか)


 考えてみても何か良い解決案も出てこないので、このまま寝ることにしたのだが。


(暑い…)


 昨日寝るときは余りの酔っ払いっぷりの為に気付かなかったのだろうが、季節は9月。
 9月と言えどもまだ暑く部屋の温度もそれなりにある訳で、とてもじゃないがそのままでは寝られそうにもなかった。


「リモコン……ってあそこかよ…ι」


 目指す物体は3m程先にある机の上。
 起きるのが無理な人間にはとてもじゃないが取りに行ける場所ではない。


(取り敢えず…脱ぐか…)


 新一さん…それ結論として何だか間違ってませんか?
 幸か不幸かここにそれを止められる人間もなく。

 新一はあまりの暑さに着ていたパジャマの上を脱いでみる。


(ちょっとはましかも)


 新一はかけていた夏用のタオルケットも脇に押しやって、もう一度眠りの淵へと落ちて行った。








しんいち…しんいち…」
「……ん…か…ぃと…?」


 寝起きのぼやけた視界の中に、ここには居るはずのない人間の姿を捕らえてまだ夢の中なのかと思う。
 が…自分を抱き締めてくれている腕の感触や温度は夢とは思えない程リアルで。


「…ぁっぃ…」


 新一は抱き締めてくる腕を振り払おうとする(爆)


「新一君…久々に会った恋人にその態度はないんじゃない?」
「…………か、快斗!?」


ようやくきちんと目が覚めた新一は自分を抱き締めている快斗が現実だと理解する。


「そう、快斗君だよ♪ ただいま新一v」


 抱き締められたまま額に軽くキスを落とされた。


「お前帰ってくるの明日じゃなかったのか?」


 頬に首筋にもキスを落とされ新一は快斗の腕の中でくすぐったそうに身じろぐ。


「1日早く終わったから。それより…」
「ん?」
「何で新一上裸で寝てるのかな?」

 しかもこんな暑い中クーラーもつけずに。

「あ…」


 そこまで言われて新一はようやく自分の状態に気付く。
 それと同時に再び襲って来る気持ち悪さ。

 どうやら快斗が予定より早く帰って来た驚きで忘れていたものが、思い出した事で再び戻って来てしまったらしい。


「新一? どうしたの?」


 さっきより少しぐったりとしてしまった新一を快斗が心配そうに覗き込んでくる。


「気持ち悪い…」
「え!? 大丈夫? 熱は?」


 どうやら風邪か何かだと思ったらしい快斗は、「体温計は…」と探しに行こうとする。


「違う。風邪じゃない…」


 新一を横にして、体温計を探しに行こうとする快斗のシャツの裾を新一はそう言って引っ張った。


「え? 何が原因だか解ってるの?」


 そんないつもは見せない可愛らしい新一の様子に、快斗は微笑みながら新一の寝ているベットに軽く腰を掛け新一の髪を梳きながら優しく問い掛ける。


「言ったら怒るから言わない…」


 快斗からぷいっと顔を背け少し拗ね気味で新一は小さくそう言った。



 (か、可愛い〜Vv)



 そんな滅多に見れない新一の様子に快斗君もうメロメロ(笑)
 が、新一がそんな姿を見せるという事は…。


(相当具合悪いんじゃん…ι)


 普段意地っ張りな新一が素直になるのはベットの中(…)か、相当具合が悪い時か、はたまた余程機嫌の良い時か…。
 だから、今回は相当具合が悪いようで…。


「でも新一。言わなきゃどう対処して良いかわかんないでしょ?」


 早く何とかしてあげたくて、なるべく優しく快斗は新一を諭す。
 快斗にもっともな事を言われ、新一はぷぅっと頬を膨らます。


(し、新一…それ犯罪…。)


 余りの犯罪級の可愛さにこのまま押し倒したい衝動にかられつつも、「具合悪いんだから、我慢我慢。」と自分に言い聞かせ残りの理性を総動員してその場に踏み留まった(笑)


「し、新一君。良い子だから素直に言おうね?」


 これ以上は理性の限界。
 早く聞き出さなければこっちが参ってしまう。


「…昨日」
「昨日?」


 どうやら素直に言う事にしたらしい新一はぽつりぽつりと事の詳細を語り出す。


「…クラスの奴等と飲みに行った」
「………何杯ぐらい飲んだのかな?」

 新一そこまでお酒弱くないでしょ?

「わかんない…」
「わかんないって…ι」
「わかんないものはわかんない!」

(し…新一…可愛過ぎるんだけど…ι)


 具合が悪いせいで完全に駄々っ子化している新一…。
 はっきり言って凶悪なほど可愛い…。

 具合が悪い為手が出せないと解っているから…これは快斗にとって拷問にも近い訳で…。


「と、とにかく上着着ようね?」


 これ以上こんな恰好をされていたら何時押し倒してしまうかわからない。
 取り敢えずエアコンを涼し過ぎない程度の27°に設定し、新一に上着を着せてやる。


「うん…」


 こくん、と素直に頷いて抵抗するでもなく素直に上着を着せられそのままベットに横たえられる。
 普段の新一なら有り得ない事態に快斗の理性の糸は今にも切れかかっていた。


(ほんと勘弁してよ…;)

 ただでさえ、ここ数日間新一に会っていなくて新一欠乏症だっていうのに…。


 泣きたい気持ちをぐっと堪え、快斗は新一にタオルケットをかけてやると、取り敢えず水を取りに下に向かおうとする。


「やっ…」
「え?」


 その快斗のシャツの端をしっかりと握り締めて新一は小さく呟く。


「行くな…」


 それってつまり側に居てって事ですか…?
 それにその行動…。


(新一〜!! ほんとにそれは犯罪だから〜!!)


 可愛い新一が見れるのは全くもって結構なことなのだが、これは…余りにも可愛すぎた…。
 そして…快斗が最後に聞いたのは自分の理性が切れる音だった…。
















「新一〜! いい加減機嫌直してよ〜!!」
「うるせえ!」

 てめえ、人が具合悪いのに手出しやがって…。


結局、あの後理性がプッツンしてしまった快斗によって押し倒された(寝てたんだからいいじゃん!by快斗)新一はその後2日間見事にベットの住人と化してしまったのだ。


「だいたいなぁ…普通二日酔いの人間に手出すか?」
「だって〜新ちゃんが余りにも可愛すぎたから〜!」
「んなもん理由になるか!!!」


 すっかりご機嫌斜めになってしまった恋人に許してもらえるには後数日かかるという事を、快斗はこの時点ではまだ想像すらしていなかった…。















END.


あは〜♪実は先月ダチと飲み会に行った次の日見事に二日酔いになりベットに撃沈(爆)
で…珍しく二日酔いになった中…「これはいける!!」と何故かこんなブツを執筆(オイ)
ちなみにちらほらと実話が…(苦笑)




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