俺の中の大切な思い出
君はきっとくだらないって笑うかもしれないけれど
俺にとっては大切な大切な思い出なんだ
――その飲み物が好きなワケ――
「お前…何時もそれ飲んでるよな」
「えっ…?」
学校帰り、何時もの様に新一を正門前で待っていて。
手に持っていたそれを呆れた様に見詰められた。
「甘くねえの?」
「ん?美味しいよ♪」
「……そうかι」
『やっぱ甘党の味覚はわかんねぇ…』なんて呟く新一に心の中でクスッと小さく笑みを零す。
ねえ、やっぱり覚えてないんだ?
「新一も一口飲む?」
にっこり笑顔で差し出して。
けれど、それに新一は嫌そうに首を振った。
「いらねー…」
「そう?」
うん。知ってる。
君はあの苦い苦い飲み物が好きで、こんなモノ飲まないのも知ってる。
「ほんとに美味しいのに…」
むぅ…っといじけて、差し出したモノを引っ込めて、再び口をつける。
広がるのは甘い甘い味。
ほんとはね、この味が特別好きな訳じゃない。
でも…でもね……。
『お前名前は?』
『俺?俺は黒羽快斗。そういうお前は?』
遠い…遠い日の出会い。
『俺は工藤新一。宜しくな、黒羽』
『ああ。宜しく』
あの時俺は運命を感じた。
出会いは入学式。
偶々出席番号が前後で、席が隣だっただけ。
それでも、俺と工藤が仲良くなるのにそう時間は掛からなかった。
『工藤』『黒羽』と呼び合っていたのが何時の間にか『新一』『快斗』になって。
気付けば、朝から晩まで一緒に居る様になっていた。
『あっ…くそっ!やっちまった…』
『んー?』
ある日の昼休み。
何時もの様に購買でパンを買って、何時もの様に自販機で飲み物を買って。
けれど、飲み物を取り出し口から取り出した新一の様子が変で。
『どうしたの?』
『コーヒー買おうと思ったら、間違えて隣のいちごみるく買っちまった…』
『ぷ……あはははは!!!』
古典的な間違いをかましてくれた彼を思いっきり笑い飛ばしてやった。
『快斗!お前そんなに笑うんじゃねえ!』
『だって、新一………俺自分に正直だもんv』
『だぁぁ!うるせえ!!』
むうっと眉を寄せた新一に快斗はニッコリ微笑む。
『今度からはちゃんと押す場所確認して買うんだな♪』
『てめぇ…マジで性格わりぃだろ?』
『今更♪今更♪』
ふふ〜ん♪なんて言いながら、今度は俺が飲み物を買おうと小銭を入れて、ボタンを押そうとした所で――。
『あっ!!』
ニッコリと微笑んだ新一に、コーヒー(無糖)のボタンを押されていた。
『何すんだよ!』
『これは俺が貰うとして…』
『おい!ちょっと待てって!それは俺の…』
『お前にはこっちをくれてやろう♪』
渡されたのは先程新一が間違えて買ったいちごみるく。
『何で俺がこれ飲まなきゃいけねえんだよ!』
『お前は甘いもの好きなんだから丁度いいだろ』
『良くない!てか、俺の100円を返せ〜!!』
『いやだ♪』
綺麗な綺麗な微笑の裏に黒い翼と黒い尻尾が見えた気がした。
そんなやり取りがあったのももう約1年前。
新一には内緒だけど、あの日からいちごみるくは俺の思い出飲み物。
だから―――。
「ったく、そんなに好きならまた俺が買ってやるよ」
「えっ…?」
あり得ないのに。
覚えている筈などないのに。
「それ、一番最初に俺がやった時からずっと好きだろ?」
「!?」
綺麗な綺麗な笑顔で微笑まれて、この人にはきっと一生勝てないと感じた。
END.
久し振りにまともな(?)らぶらぶvばかっぷるvv
今回は…同級生な快新で逝ってみました♪
100円なのは、ブリックタイプだから。←学校と言えばブリックなイメージが…。
ちなみに、薫月はいちごみるくが大好きvその訳は………秘密ですv(言い逃げ)
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