この腕に包まれているのに


 どうしてこんなにも遠く感じるんだろう








腕の中(side S)








 夜の闇の中でベットサイドのランプだけを灯して。
 何時もの様に彼の腕の中抱き締められて。

 そして囁かれる何時もの言葉。


「新一」
「ん?」

「愛してる」


 真剣な眼差しで伝えられる愛の囁き。
 その言葉は優しく、心の奥底まで暖めてくれる。

 だから…。


「俺も…愛してる」


 同じものを返したいと思うのに…。


「ありがと…」


 俺の言葉に快斗はそう言って微笑むけれど彼の瞳は辛そうで。
 その訳を知っているけれど、俺にはどうしてやる事も出来ない。

 俺が『KID』の事を好きだと思っている『快斗』。
 俺が『快斗』が『KID』であるという事実に気付いていないと思っている『快斗』。

 言ってやれば『快斗』は楽になるのかも知れないけれどそれは出来ない。
 だってそれは『KID』としての秘密に俺が入り込む事を意味するから。

 それは快斗自身が決める事。

 俺に全てを見せてもいいと決断するのはあくまでも快斗自身。

 だから言えない。
 だから聞けない。

 例えそれで彼を傷つけてしまっているのだとしても。



 ――俺の『愛してる』は何時になったらお前に届く?








END.


快斗君は気付いてませんが、新一さんは快斗がKIDである事を知ってます。
激しくうちでは珍しい図…(しつこいよι)
だから新一さんの中では、快(K)新なんです。←どうやらこんなんでもちゃんと快新だと説明したらしい(笑)

てか、説明不足ばりばりでかなり不親切なssだな…(爆)

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