この腕の中に抱き締めているのに
どうしてこんなにも遠く感じるんだろう
〜腕の中(side K)〜
夜の闇の中でベットサイドのランプだけを灯して。
何時もの様に腕の中に彼を抱き締めて。
そして囁くのは何時もの言葉。
「新一」
「ん?」
「愛してる」
大好きで堪らなくて、日に何度もそしてこうしている時は何時にもまして真剣に言いたくなる。
貴方を愛しているのだと。
「俺も…」
返ってくるのは肯定。
「愛してる」
自分と同じ愛を伝える為の言葉。
けれどそれが彼の本当の気持ちではない事は自分が一番良く解っている。
彼の心は自分のものではないから。
彼が愛しているのは自分ではないから。
彼が愛しているのは自分であって自分ではないから。
「ありがと…」
けれどそれに目を瞑って。
全てに蓋をして、この偽りの愛に浸り続ける。
―――例え『俺』が愛されていなくても貴方を離す事なんて出来ないから。
END.
今回は快斗の中では、キ←新←快。
うちでは珍しい図…。
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