「ん」
「え?」


 ほら、と差し出された物体に快斗は首を捻るのだった。






消耗品?






「なんでまた…?」


 差し出された物体をまじまじと観察して快斗は更に首を捻る。

 それはプラスチック製の何の変哲もない箱に入った一組のトランプ。
 透明な上蓋からは一番上のスペードのエースが顔を覗かせている。


「いや、消耗品だろうから」

 お前が今使ってるやつより強度はあるぞ?


 真顔でさらっと結構怖い事を言ってくれる目の前の恋人に苦笑しつつも、当然の質問をしてみる。


「消耗品は消耗品だけど、どうして急にくれる気になったの?」

 てか、新一からもらったトランプを消耗品としてなんて勿体無くて使えないんだけど…。

「ん? いいじゃねえか別に。」

 やったんだからちゃんと使えよ? 無くなったらまたやるし。

「う…うん…」


 相変らず困惑している恋人に苦笑すると、新一は何時もの言葉でその先を誤魔化す。


「それより、快斗コーヒー」

 早くしろ。喉渇いてんだよ。

「あ、うん。ちょっと待っててね♪」


 新一の言葉に笑顔でキッチンへと向かった背中に心の中だけでそっと呟いた。


『(このぐらいしか俺(探偵)はお前(KID)を助けてやれねえからな…)』









END.


消費量半端じゃ無さそうだよな…(笑)


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