シャボン玉は一瞬で割れてしまう


 その輝きも


 その形も


 永遠に保たれる事はない…








シャボン玉








 昔々、父さんに尋ねた事があった。


「シャボン玉はどうしてすぐに割れちゃうの?」


 あんなに綺麗なのだから、ずっとずっとあのままの形で残せたらいいのに…。
 そう聞いた俺に父さんは、


「この世にはね、永遠じゃないからこそ美しい物があるんだよ」


 そう苦笑しながらけれど優しく諭す様に語ってくれた。


「シャボン玉も、綺麗な花々も、冬に降る雪も…みんな永遠でないから美しいんだ。そう…人の命もね…」


 そう呟いた父さんの瞳がどこか遠くを見詰めていたのを、今でも鮮明に覚えている。
 もっともあの時の俺にその瞳の意味は解らなかったけれど…。








「あの時の言葉はそういう意味だったんだな…」


 KIIDは夜の闇を見詰めながら一人呟く。
 今夜の獲物もハズレ。

 けれど落胆することなく、月を見上げ昔の事を思い出していた。


「永遠じゃないから美しい物もある…か」


 過去の父の台詞を呟きながら苦笑する。
 あの時の父は…既にパンドラを追っていたのか、と。


「永遠ね…」


 どうして人はそれに固執するのか…。
 永遠なんて物を手に入れても虚しいだけなのに…。
 限りある命だからこそ、美しいと思うのは所詮綺麗事なのだろうか…。


「さて…次のお姫様を探しに行きますか」


 その呟きと共にKIDはその純白のマントを翻す。
 パンドラという永遠の芽を摘み取りに行く為に…。











END.


え〜、ここは快新サイトです(爆)
どうしましょ…さっぱり絡みのないブツを書いてしまいました…。
そこの貴方!「新一君は?」と突っ込んではいけません(核爆)
た、たまにはこんなのもね…(逃)


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