『俺を監禁したいならうちの書斎と書庫にある本と同等の物を揃えておくんだな』


 新一の書き残したメモと睨めっこをしながらKIDは次の計画名を考えているのだった…(ぇ)








檻(次回の計画名は何にしましょうか?編)








「『ラプンツェル計画』が駄目なら何が良いでしょうかねえ…」


 新一が逃げ出した(?)日から一週間。
 KIDは新たな計画名を考えるのに必死だった(爆)

 ……っていうか、用意しなきゃいけない本の量とか種類とかで悩んでるんじゃなくて計画名で悩んでるんですねι


「監禁と言えば『ラプンツェル』だと思うんですが…」


 呟いているKIDの足元には…『よい子の童話全集』が転がっている。
 どうやらやはり童話にアイディアを求めたらしい(笑)


「ん〜…それ以外に監禁…監禁…」


 『よい子の童話全集3巻』を捲りながら思いっきり危ない発言を連発しまくりなKID様。
 既にその姿からは夜の凛とした冷涼な気配は感じられないι


「仕方ないですね…取り合えず名探偵にお会いしに行きますか♪」


 どうやら良い計画名が出てこないらしく『よい子の童話全集』も投げ出して、KIDは結局名探偵のご自宅に伺う事にしたのだった…。










「で…計画名は何が宜しいでしょうか?」
「………何普通に聞いてんだよι」

   このバ怪盗が!!


 所変わって工藤邸のリビング。
 そこには満面の笑みで新一に計画名を尋ねるKID様と、そんなKIDに思いっきり疲れた顔をしている新一が居た。


「名探偵が気に入らないって仰るから計画名を変えるんでしょう?」


 それならば考えるのは名探偵の義務じゃないですか!


「………どういう理屈だよι」


 思いっきり自分勝手な理屈を振りかざしてくれるKIDに新一は思いっきり溜息を吐く。


「大体なあ…何で監禁に計画名がいるんだよι」
「そりゃ監禁は男のロマンですから!」
「………お前そんなに死にたいのか?」
「………すみませんでした…ι」


 すかさず右足を振り上げようとする新一に死にたくない為(…)素直に謝り、KID一先ず話を先に進める事に専念する。


「それで名探偵。計画名は何が宜しいですか?」


 そんなKIDにこれ以上この話を避けて通ればどんな事を言い出すか解らないと判断した新一は取り合えず話に乗ってやる事にした。


「………監禁…なんだよなあ?」
「ええ♪」
「……『米花町高校生探偵工藤新一拉致監禁事件』じゃ普通だしなあ…」


 流石(?)はミステリー好きな名探偵。
 何やら名前がちょこっとだけ火サスっぽいぞ♪(爆)

 しかしそれもKID様のツボには嵌らない様で…、


「もうちょっとこう捻りが欲しいんですよね…」
「捻りか…」


 腕組みをして、再びう〜ん…と考え込む二人。


「やっぱりここは童話ですかねえ…」
「いや…だからそっちに持ってこうとするんじゃねえよ…ι」
「でも他に良さそうな題材が無いものですから」
「………題材ってι」

(なんで監禁に題材が必要なんだ!?)


 と新一は内心で激しく突っ込みまくりだったが、それは言わない。
 だって余計にややこしくなりそうだから…。


「………名探偵!」
「…何だ?」


 新一が一人内心で突っ込んでいた間に何か思い付いたらしいKID。
 此の侭では埒があかないので、新一は恐々その内容を聞いてみる事にする。


「今回は…」
「今回は?」

『可愛い可愛い赤ずきんちゃんを攫って監禁しちゃいましょう計画!』で如何でしょう?」

「………」


 KID様の壊れた思考回路(…)に新一さん絶句。
 思いっきり小馬鹿にした目線をKIDへと向ける。


「バ怪盗…」
「いいじゃないですか! ぴったりでしょう?」

 可愛らしい赤ずきんちゃんが貴方にぴったりじゃないですか♪

「何処がぴったりなんだよ!!」

 大体なんだその『赤ずきんちゃん』が俺にぴったりっていうのは!!!
 しかもあれは監禁に関係ある童話じゃねえだろうが!!

「ほら…狼さんに連れ去られて食べられちゃうって辺りではぴったりじゃないですか♪」

 この際監禁に関係あるなしはどうでもいいんです!

「………死ね」


 今回ばかりは問答無用で振り落とされる右足。
 しかしそれを流石というか何と言うか、壊れKID様もひらりと避けてみせる。


「名探偵! いきなりは卑怯じゃないですか!」
「この際卑怯でも何でもいい!! 大人しく蹴られろ!」

 しかも何だよその『この際監禁に関係あるなしはどうでも良い』ってのは!
 まともに考えてた俺が馬鹿みてえじゃねえか!


 どうやら『赤ずきんちゃん』発言にもご立腹な上に更にその後の発言も新一の神経の逆なでをしたらしく、かーなりご立腹度に拍車がかかっている模様。


「だってこれ以上はないぴったりな計画名じゃないですか!」


 しかし、そんな新一の態度にもめげずに壊れKID様の問題発言は続く…。


「それに名探偵に赤ずきん…きっと似合いますよ?♪」


 ―――ピキッ


「もういい! さっさと出てけ!!」


 盛大に頭の中で何かが切れる音を聞いた新一は迷わず思い切り右足をKID目掛けて振り翳した。


 ――バキッ!


 そして見事にクリティカルヒット♪(爆)
 KIDは思いっきり撃沈して床とお友達になった。


「………っぅ…」
「よし」


 見事に決まった自分の蹴りに満足して、新一は足元に転がったKIDを見下ろして一言、


「これ以上蹴られたくなかったらさっさと帰れこのバ怪盗!」


 と、最後通告を突きつけた。


「め…めいた…」
「もう一発くらいたいか?」

「け…けっこうです…ι」


 にーっこりと綺麗に微笑んで空恐ろしい発言をかましてくれた新一に対し、流石に壊れKID様と言えども反論する事は出来ず。
 その条件を素直に飲むしかない。


「だったらさっさと帰れ」


 ほら!、っと窓を開け新一は思いっきりKIDを窓から蹴りだす。


「うわっ!」


 ――ぼふっ!

 軽快(…)な音をたてて、庭にぼふっと落ちたKID様。

 ――ガラガラ……ピシャッ!


「!?」


 そして当然というかなんというか、すぐさま閉められる窓。


「めいたんて〜!」


 慌てて窓を叩いても新一には睨まれるばかりで、最終的にはカーテンすらも閉められた(爆)


「………意地悪…」


 ぼそっとお庭(…)で呟いてももはや反応してくれる相手もなく、KIDは渋々ながらに帰宅することにしたのだった。




 壊れKID様が新一を監禁できる日が来るのか…それは計画名にかかっているのかもしれない(爆)









END?


えー…雪花姉さん、大変お待たせしたくせにこんな物体でごめんなさい!(平伏)
KID様の壊れ具合がますます悪化してますι(爆)
こんなブツでよければどうぞお納め下さいι

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