ゆっくりとけれど確実に喉元に食い込んでいく指先


 それに合わせて徐々にその白さを増していく肌


 狂気染みたその行為に酷く悦楽を感じていた








〜俺だけの君でいて?〜








「か…いと?」


 徐々に徐々に圧迫を加えていけば呼吸が苦しくなったのか眠っていた新一が目を覚ます。
 けれど寝起きの彼の瞳はまだその現実を事実として捉えていない。


「おはよう新一」


 行為とは裏腹に極上の笑みを浮かべる快斗に新一もまた微笑む。
 新一のその美しい笑みが快斗の狂気を更に掻き立てる。

 彼を自分だけのものにしてしまいたい。

 その美しい瞳で他の誰も見ない様に。
 その綺麗な声で他の誰も呼ばない様に。

 このまま…。


「おはよ…かいと…」
「ねえ新一。苦しい?」


 そんな当たり前の事を尋ねれば新一は素直に頷いた。


「このまま締めたら新一死んじゃうよ?」


 いつまで経っても微塵の抵抗も見せない新一に快斗は怪訝そうに尋ねる。
 新一の手足は自由なのだ。

 抵抗する事は出来る筈…それともまだ頭が起きていない?


「おまえの……好きにすればいい…」
「新一…」
「おまえ…の…好きにして…いい…」


 弱くなっていく呼吸の下で、それでも懸命に紡がれた言葉。
 その言葉にはっとして快斗はその両手を離す。


「ごめん…新一」


 余りにも狂気染みた愛情表現。
 こんな事でしかそれを表せない自分に愕然とする。


「いいよ。お前がしたいようにしていいんだから」


 そのまま固まってしまった快斗を新一はそっと抱きしめてやる。


「好きにしていい。俺はお前のものなんだから」











END.


最初に題名を考えた時は可愛らしい(…)話しになる筈だったのに…ι
何処をどう間違ったんでしょう?(爆)



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