『命は大事にしろよ』
彼の言ったたった一言
たった一言なのにどうしてこんなにも重く感じたのだろう…。
〜何時かその日まで〜
「お前、死にたがってるだろ?」
言われた言葉にドキッとした。
あの蒼い双眸は嘘を許してくれそうに無くて…。
「いえ、死にたがってると言うよりは…」
「生きて行く事に疲れたか?」
続けられた言葉に苦笑する。
ああ、この人の瞳は全て見透かしてしまうのだと。
「ええ。そうなのでしょうね」
日々増え続ける追っ手。
見つからないパンドラ。
そして…周りの人を欺き続けなければいけない罪悪感…。
疲れているのかもしれない。
早く…楽になりたいと思っているのかもしれない。
「命は大事にしろよ」
突然告げられた言葉は幾多の人々の生死を見てきた彼だからこそ重みを持っていて。
他の誰に言われるよりも素直に心に染みこんできた。
「ええ、またこうして貴方にお会いしたいですからね」
それもまた本心から出た言葉。
「だったら早く終らせて会いにこいよ」
「え?」
「早く全てを終らせて、本当のお前で会いに来い」
紡がれた言葉の意味が解らずに思わず呆然と彼を眺めてしまう。
「俺は素のお前も見てみたいからな」
目の前で余りにも眩し過ぎる笑顔で微笑まれ、眩暈すら覚えそうだった。
「だから…命は大事にしろよ」
「はい…」
素直に頷いてしまう。
彼の言葉はそれだけの重みと…優しさを持っていたから。
「じゃあ、また現場で」
「ええ、また」
それだけ言うとお互いに戻るべき場所へと帰って行く。
今はまだその場所は背中合わせにあるけれど。
何時かそれが同じ場所になることを信じて…。
END.
ぱっと思いつき…(爆)←またそれかよ!
新一さんにあの台詞を言わせたかっただけかも…(核爆)
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