夜のお仕事(…)から帰ってみれば可愛い可愛い恋人は誰かと話していて。

一体誰と話しているのかと覗き込んでみればその相手は自分と瓜二つで。

違う所と言えば、その相手はテーブルの上に乗れる○カちゃんサイズという事だけ。







二人と二人の不思議な(?)生活
(ややこしいのでとりあえず名前を決めましょう編)








「……と言う訳だ」

『しんいちぃ…ものすごーくありがちだけど、説明は全部それで済ますわけねι』

いや…良いんですけど。手間省けるしね。

「るせー。解ったか?快斗」

「『ん…』」


目の前の小さい快斗も、横にいる着替えを済ませ普段に戻った大きな(?)快斗も、新一の言葉にこくんと頷く。

その光景に新一は溜め息を一つ吐く。

今新一が納得させたいのは小さな快斗の方ではなく、大きな快斗の方で…。


「違うって。俺が説明してんのはお前じゃなくて快斗」

「『どっちも快斗なんだけど…』」

「………だぁぁ!!めんどくせえ!!」



頭を抱えた新一を困惑気味で快斗'sは見詰めた。

同じ名前の人間が二人いるという事は限りなくややこしい(爆)

という事から導き出される解決策は―――。


「しょうがねえ…名前つけるか…」

『「まあそれが一番いい方法だよね…」』


―――当然命名作業である(笑)


「この際だから、バ快斗1、バ快斗2でどうだ?」

「『新一!!それは絶対やだ!!』」

「………んじゃ、手っ取り早くKIDと快斗にするか?」


最初の案は却下されると解っていたらしい新一が提示した妥協案は非常に解り易く、かつ一番良い方法だと思われたのだが…。


「『どっちがKID?』」

「………」


今の快斗はどちらもKIDとは言えなくて…。


『俺はKIDじゃないし』

つーか、このサイズじゃ出来ないし。

「んじゃ大きい方の快斗をKIDにするか?」

「やだ!絶対やだ!!俺だって新一にほんとの名前で呼んで欲しいの!!」


どちらも譲ろうとはしない。


「………快斗」

「『何?』」

「………めんどくせえって言ってんだろ!!」

「『だってぇ…』」

「だってじゃねえ!もういい。お前ら二人で勝手に決めろ!!」

「『げっ…ι』」


顔を見合わせている快斗'sを放って新一は読みかけだった本へと手を伸ばす。

そんな新一の横では今まで新一を間に挟んでしか話をしていなかった快斗'sが初めてまともに会話を始める。

じーっと(小さな)快斗を見詰める(大きな)快斗。

じーっと(大きな)快斗を見詰め返す(小さな)快斗。


………新一さん同様書いてる本人も面倒臭いι←作者の本音(爆)



「お前ちっちゃいけど俺なんだよな…?」

『中身も外見もしっかり俺だけど?』

「………でも俺のが本体(…)な訳だし……」

やっぱここは俺が『快斗』で…。

『でも俺は俺だからな!』

俺が『快斗』に決まってんだろ!

「んなもん俺だって一緒だろうが!」


「お前ら…二人揃って外に放り出されたいか?」

「『!?』」


二人の声がだんだんと大きくなった頃本をぱたん、と閉じてニッコリと優しく新一は快斗'sに告げる。

が、その目が笑っていないのを快斗'sが見逃す筈がなく…。


『と、とにかくどっちかがKIDになればいいんだよな!』

「そ、そうだよな!」


と(怖さの余り)二人してこくこく頷いてみたり。


『でも問題はどっちがなるかってことで…』

「やっぱここは本体(……ι)の俺が…」

『俺だって俺な事に変わりはないって言ってるだろ!!』

「でも俺が俺である事にも変わりはない!」

『それはそうなんだよなぁ…』


それでも結局結論は変わる事無く、二人してうーん…と難しい顔をして考え込んでしまう。

その横では新一がその光景を密やかに盗み見して、



(ダブル快斗か……面白いかもしれねえ……)



と内心で笑みを浮かべているのだが、それは今の悩める快斗'sは知らない事。


そのまま暫くうんうんと唸っていた快斗's。

それを破ったのは小さな快斗の方だった。


『そうだ!』

「…?」

『「快斗」と「かいと」にしよう♪』

「…………それってここのサイトが文章だからなせる技だよなι」

『細かい事は気にするなって!』

「いや…別にいいけど…」


自分に対して自分が冷静に突っ込むなんて酷く現実離れした事態に大きい快斗の方は何やら酷く疲れた溜め息を吐く。

でもとりあえず其れが一番手っ取り早い解決策である事には変わりない。


「まあ、それが一番いい方法だろうしな」

『だろ?』

「ああ」


結局大人しくその案に従うことにする。


「でもどっちが『快斗』でどっちが『かいと』なんだ?」

『そりゃお前が「快斗」で俺が「かいと」なんじゃねえの?』

「確かに」


うんうん、と納得している快斗's。

その横で、


「何でだ?」


と、それまで静かに(楽しんで)二人の様子を傍観していた新一が首を傾げた。

まあ元が一人なだけあって思考回路は一緒らしいという事は解るのだが、流石に思考の途中過程が新一には見えない分謎は深まるばかり。

ことん、と可愛らしく首を傾げた新一に快斗'sは満面の笑みで、


「『サイズ的に♪』」


と答えたのだった。


「…………」

『やっぱ「かいと」のが可愛らしくて俺(のサイズ)にあってるじゃん♪』

「俺は変わりないわけだから「快斗」でいいの♪」

「………」


快斗'sの答え+αにやはりというか何というか新一は見事に固まった。


「『新一?どうしたの?』」

「……何でもない…」


それは「かいと」がサイズは可愛くてもやっぱり中身は『黒羽快斗』なのだと新一の中でしっかりと再認識された瞬間であった。






to be continue….


漸く命名作業終了。
てか、ここまでで引っ張り過ぎだよな(苦笑)


あれ?決まったんじゃなかったの?編

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