HEARTBEAT



 1.



 ──雪花が阿笠邸に居着いた(笑)翌日…新一サンがカレーを作ったらしい…。

 その情報を何処かから(…)仕入れた雪花。
 朝早くからお隣り、工藤邸に乱入…;


「うあ…食べたい…、でも食ったら死ぬ(←身体が持たない)。ば、晩に…食べます。かならずや…っ! お願い快斗サン! オレの分も…一口でいいから残しておいてぇぇぇ(哀願)」


 製作者である新一サンはこんな朝っぱらだと言うのに、既にご出頭中…
 仕方なく(?)同居人であり、唯一のラバー(笑)である快斗に事実確認をした。
 そこで、この雪花の発言である(笑)。

 …ちなみに雪花の「食ったら死ぬ」発言は、胃腸が弱い為である(爆)。←つまりこんな朝っぱら(しつこい)からそんな濃いモノは食べれない、と


「……哀ちゃん特製調味料入りでならv」
「へ? しかも女史の特製調味料っすか?! それはそれで楽しみかも…v」←ぇ
「(尊敬するよせっちゃん…;)…いや、それは冗談として……ん〜、そうだなあ…新一の幼稚園時代のアルバムで手を打とう♪」

 激しく頼み込んでいる今の雪花に、快斗の冗談は全く持って通じない(笑)。←てかむしろ嬉々として受け入れそうだ;

 そんな雪花の状況に、ふと思いついた交換条件。


 どうやら、頼んでも見せてくれないらしい(笑)。


 当然。雪花なら入手しているだろう…と踏んでの交換条件だったのだが…

「──…別に、それで手を打ってもいいンですけど……オレ、口が軽いから(…)ついぽろっと新一サンに漏らしちゃうかもしれませんよ(妖笑)? 『快斗サンに晩御飯と引き換えに頼まれて…ご飯食べれないのは辛いから泣く泣く言う事を聞きましたぁ(泣)』…て♪ それでも良いですかぁ?」←鬼。

 …そこは腹黒雪花(爆)。そう簡単には屈服しない。
 声色まで変えてリアルに演じて見せるその細かさに乾杯☆←?

「うわっ! それオレが殺されるよぉ〜(泣)。でも見たい〜!」
「んぢゃ、2皿くらい残しておいてくれゆ?」
「……解った。でも、よろしくね♪」

 ──勝者・雪花。

 どうやら快斗サン、新一氏のアルバムには勝てない模様(爆)。


 しかしそれにしても2皿って…微妙だな、雪花;


「しっかたありませんねぇ…年長組ので良いですかぁ? 丁度、学芸会の時の超☆ぷりてぃなのがありまっせ(妖笑)?」

 交換条件の上に更に上乗せした交換条件(なんだかややこしいι)に成功した雪花。
 かなりご機嫌な様子で、何処からともなく取り出した数枚の写真を、2本の指で挟んで見せた…。

 その写真に目の色を変える快斗(笑)。

「……せっちゃん一体何処からそれ…いや! 詳しい事は聞かないからそれ頂戴!!」

 貰えればニュースソースは何処でもいいらしい(爆)。

「うん。聞かない方が身の為だと思いますよ? …んぢゃ、正面と横からのショット2枚で良いですかぁ? くれぐれも、本人に見つからないようにしてくださいねぇ?」

 さらり…と、何やら恐ろしい事を口にした雪花。
 とりあえず手に持っていた写真を快斗に手渡す。
 その際…

「(ま、オレはどうにでも言い訳出来るけど♪)」

 とか思っていたのは秘密デス☆←当初言っていた「泣く泣く…」

「せっちゃんありがとうVv じゃあお礼にこれ…」

 受け取った快斗が、満足そうに写真を懐に(笑)仕舞い込むと…差し出される一枚の写真…。
 雪花はにっこりと返事をしつつそれを覗き込み…

「どぉいたしましてぇ♪ …ほえ? なぁに……こ、これは…っ?!」
「くすっ…快斗君秘蔵の新一君の寝顔パート3だよ♪」
「すっげぇ! やっぱ同棲(強調)してると違いますね☆ 頂いて良いのですか?!」

 思わず叫んだ雪花に、超☆ご機嫌な快斗(笑)。
 こんな絶好のタイミングを、この腹黒・雪花(…)が見逃すわけも無く。
 浮かび出そうな妖しい笑みを押さえつつ、わざと強調して『同棲』と口にする。

 そうすれば…

「どうぞどうぞVv せっちゃんだけだよ同棲って言ってくれるの〜♪ 新一なんて『同居』だって言い張るし…ι」
「照れてるだけですって☆ 心と言葉は裏腹って言うじゃないですかv もう既に暗黙の了解じゃないですかぁ♪」
「そうだよね♪ 新一照れ屋さんだからさ〜♪」

 とっても単純な(酷)快斗サンが気分を良くするのは目に見えている訳で(笑)。←ついでに『お惚気モード』も(爆)。

「そうそう! その辺、快斗サンは解ってるンだから…新一サンはすぐに照れちゃいますし…程々にしてあげましょうv」
「そうかなぁ?」
「そうですよ! それにそしたら…たまぁに素直になってくれる時の幸福が倍増♪」
「そっか☆ じゃあ程々にしとこうっと♪」
「新一サンの1番の理解者は快斗サンなんですから♪ 新一サンがいつでも安心して帰って来れる場所はここだけですよぉv」

 …ここぞとばかりに快斗を乗せる雪花に、思いっきり乗せられる快斗(爆)。
 こうなれば、この先の展開は決まったようなもので…?

「せっちゃ〜ん、ありがとう〜! …なんだったらパート1もいる?」
「──え? 良ンですかぁ? 嬉し〜ぃ♪」
「この際だから、オレの秘蔵コレクション見せてあげるよ〜♪」

 何処からともなく取り出される厚み20cmほどのアルバム。


 ……まさに雪花の読み通り(爆)。


「うれしぃ♪ 良いンですかぁ?」

 ご機嫌なオーラを前回にしているが、散々乗せて置いて(当然持っている)自分が所有しているモノは一切見せない…

 ここまで来れば立派な腹黒さだぞ、雪花;

 しかし。
 完全に乗せられている快斗がそれに気付く訳も無く…会話はどんどん進んでいく(笑)。

「良いよ♪ 見てみて〜Vv これなんか凄い可愛くない?Vv」
「うきゃぁ/// 可愛いわ! よくこんなの撮れましたねぇ(感心)」
「でしょでしょVv あ、あとこれなんかもうほんと可愛くてさ〜Vv」

 ──既に子供のアルバムを見せる親状態にまでなっている快斗サン。
 以下、暫くエンドレスで惚気は続く…


「でも、せっちゃんてばほんと嬉しい事言ってくれるよねVv」
「全部ホントの事じゃないですか! 快斗サンっていい男ですしぃ♪」
「そうだよねえ、この快斗君と張れる奴なんかいないし〜♪」
「そうそう! 快斗サンと比べられる男なんていないっょ! 」
「オレと比べられる奴なんていないよね〜♪ …あ、ビデオもあるんだけどよかった見に来る?」

 更に機嫌を良くした快斗サン。

 しかし、流石に多すぎて自分の部屋からもって来れないらしい(爆)。


「見る見る〜ぅ♪」

 これ幸いと行ける処まで行くつもりらしい雪花。
 快斗の先導の元、階段を上がり2階へ…

 快斗の部屋に入り、すぐさま隠し持っている(新一に見つかるとヤバイから;)ビデオをクローゼットの置くから取り出す。

 …そこから延々と続くビデオ説明と上映会(爆)。


「あ、まずこれがね新一の誕生日初めて一緒に祝ったやつで………」
「やっだ! この新一サン、すっごい快斗サンに甘えてるじゃないですかv …あ、こっちのビデオはなんですかぁ?」
「でしょ〜Vv もうこの時の新一ほんと可愛くてさ〜Vv あ、こっち…これはねぇ♪ 新一が初めてオレと一緒に料理作った時のビデオVv」
「いや〜ぁんv このエプロン、快斗サンの見立てデショ♪ さっすが良いセンスしてるぅ♪」

 次々と出てくるビデオの数々。
 その1つ1つの映像を『脳内アルバム』(なんだ、それ)にインプットしていく雪花。
 それに対し、快斗は滅多に出来ない『新一自慢』(笑)に、やにが下がりまくり(爆)。


 しかし、そこでふと雪花が…

「あ、そうそう! 今度、西のトリさんがこっちに奇襲かけるつもりらしいですよ? 詳しい日程、いりますかぁ?」

 …と、さり気に(お礼の為か)情報を提供した。

 当然、『トリ』と『馬』には敏感な反応を見せる快斗が聞き逃す事も無く、

「いつ!?」

 ……即聞き(笑)。
 どうやら今までの事は全部それで吹っ飛んだらしい。

「あ! このビデオはなんですか?」
「……あ、それはね〜♪ 初めて一緒に過ごしたクリスマスのやつ〜Vv」
「くりすます〜ぅ!! ちょっと! これ見せて快斗サン!!」
「うんVv その新一はほんと犯罪並に可愛いよVv 見せても良いんだけど…」

 危機感あるんだかないんだか…;
 雪花の問いに満面の笑みで答える快斗。
 この返答に興奮した雪花が必死の形相で(…)頼み込むと、

「…それじゃあ、詳細を教えてくれるかな?」

と、にっこり微笑んだ。(その後ろには暗雲が立ち込めていたが…;)


「ん〜とぉ…なんか、彼の学校が創立記念日とかで連休になるらしくて…」
「創立記念日だぁ〜(怒)? ……せっちゃん。それ、哀ちゃん知ってるの?」
「さて…? オレはまだ女史には言ってないですから…」
「…そうか…じゃあオレちょっと哀ちゃんと話してくるから、コレ、ゆっくり見ててね♪」

 雪花からの情報に、快斗は怒りを露にしつつも表面は穏やかに(?)ビデオを渡す。
 すると、

「あ、でしたらこれも伝えといてくれます? トリさんは新幹線で来襲。午前9時20分東都着ですって☆」

と、更なる情報を明らかにした…。


 しかしコイツ…一体何処まで把握しているンだ?


「午前9時20分!?」
「はい♪ 始発ですね」
「(せっちゃん…何でそんな細かく…)」
「? どーかしましたかぁ?」
「い、いや! ありがとう!」
「どーいたしましてぇ♪ 他に何か欲しい情報があったらいつでも聞いて下さいね〜ぇ? んぢゃ、遠慮なく見させて頂きますぅ♪」

 既に視線はTV画面へと向けられている雪花(笑)。
 その口調はあまりにも「のほほ〜ん」としていて、これだけの情報を持っている人物とは思えない。

 そんな雪花を半ば呆然と見つつ、

「(せっちゃん…何処まで知ってんだろ…;)」

と、快斗君。ポーカーフェイス崩れる一歩手前(爆)。

「それじゃあ、ゆっくりしててね」
「いってらっしゃぁい♪」

 とりあえず、雪花に対する思考を追い払い、お隣りへと向かう快斗。
 口だけは返事をするものの、その手はビデオのラベルをチェックしている…;
 さり気なくこっそりと入手も考え中の雪花に、

「あ、持ち出しは禁止だからね♪」

 さすがに読んでいた快斗(笑)。
 にっこりと微笑みつつ振り返り、この辺りはしっかり釘を指すらしい。(新一のためだから・笑)

「あはは☆ 大丈夫ですよぉ♪ そんな事しないから、安心して下さいv」
「じゃあ、行って来るね♪」

 爽やかに笑い返答する雪花に、快斗はそれ以上は何も言わずに部屋を出て行く。
 やがてすぐに玄関扉の開閉音が聞え……

 …それを耳にした瞬間。雪花は何処からかともなく、とある機械を取り出した…


 (なにをする気だ? ってか快斗に気付かれない手腕って…;)



乗せる雪花、乗せられる快斗。
この図が結構好きだったりvv(笑)
しかしビデオどんだけあるんだ…?(笑)


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