砕け散った硝子の破片をどんなに拾い集めても
元に戻る事は決してない
一度壊れてしまったものは
もう二度と元の形に戻る事は無い…
〜硝子玉〜
「壊れてしまったのね」
砕け散った硝子玉を見て呟く。
この硝子玉の様に壊れてしまった。
あれだけ強く綺麗な、そして儚い心の持ち主だったから。
周りの人は気付かなかった。
気付けなかった。
彼は隠すのがとても上手かったから。
「本当の姿を誰も見つけることは出来なかった」
そう、本当の姿を見つけることが出来なかった。
彼以外は…。
そして、その彼は逝ってしまった。
壊れるのは簡単だった。
一瞬でこの硝子玉の様に砕け散ってしまった。
それでも、周りに心配をかけない様に。
周りに迷惑をかけない様に。
必至にその欠片を拾い集めて。
必至にその欠片だけを繋ぎ合せて。
ずっとずっと一人で壊れたまま耐えてきた。
誰にも解らない様にずっとずっと一人で。
「けれどもうこれで楽になれたのでしょう?」
もう耐える事も無いから。
苦しまなくて済むから。
きっと彼が守ってくれるから。
だから…。
「できるなら、もう一度…」
もう一度生まれ変わって?
どんなに硝子の欠片を拾い集めて繋ぎ合せても元には戻らない。
ならばいっそ…もう一度生まれ変わって?
END.
何だろう…。哀ちゃん独白…?
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