あの日から俺の心は渇き始めた


 そうなる事を選んだのは自分


 そうなる事を望んだのも自分


 あの日から俺は『Dry』に生きて行く事を選んだ…。








【Dry?】 
〜The heart which does not get dry completely〜








「待て〜! KID〜!!」


 毎回毎回わざとじゃないかと思ってしまうぐらいにダミーに引っ掛かってくれる警察の方々を見送ると、KIDは静かにその純白の羽根を開いた。
 そして高さ数百メートルのビルの屋上から飛び立つ。

 KIDを始めた頃は恐怖心は余りなかったにしろ、飛び立つ瞬間は多少の躊躇があった。
 しかし、今ではそんな感情すら湧いてこない。

 幼なじみやクラスメイト、可愛がってくれている幼なじみの父親…それらを騙すことに一欠けらの罪悪感すら感じなくなった。
 それはKIDにとって邪魔な物にしかなりえなかったから。

 人間の『感情』という物は完璧な犯行を行う為には一番邪魔な物だったから…。










 暫く飛んだ後KIDは静かに近くの廃ビルの屋上に着地した。
 と同時に純白の羽根も閉じられる。

 KIDは何処からともなく今日の獲物を取り出す。

 『月の雫』なんてありきたりな名前のそれを月に翳せば、いつもの様に自分の望んでいる物の姿は見えない。


「今夜もハズレ、か…」


 呟く言葉は今夜で何度目の物だろうか。
 カウントしていたら狂ってしまいそうで、無意識に忘れる事を覚えた。


「一体いつになったら見つかるのか…」


 もしかしたらパンドラなんて物は存在しないのかもしれない。
 誰かの空想の産物に過ぎない物かもしれない。

 そう思うと絶望の淵へ引きずられていきそうになる。

 そこまで一人考えてKIDは突然小さく笑みを零した。


「まだ渇ききってないな」


 絶望する余裕。
 パンドラでなかった事に対する落胆。

 その感情はまだ少しは残っているらしいから。


「早く渇ききればいいのに」


 心が渇いて渇いて…何も感じないぐらい渇ききってしまえばいいのに。

 吐き出された言葉は何の感情も篭められてはいなかった…。










END?


ジャンヌ…好きです…大好きです(爆)←開口一番それかよ…。
歌詞がね素敵☆……なのに自分はどうしてこう駄目なブツしか書けないんでしょ…(死)
実はこれ続き書いたんですが………出すか悩み中(爆死)
しかもこの時点ではまだ新一と絡みないし…(最近こんなんばっかだな自分…)




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