殺してあげるとか

 殺されたいとか

 それ以上に一緒に死ねたらきっと素敵








―― 心中願望 ――









 現実は何時だって無常で。
 この世界は何時だって無慈悲で。

 だからこの世界から一緒に消える事が出来たら、それはそれで凄くステキな事だと思わない?






「そんなに心中がしたいのか?」


 ベットの中ふと呟いたらそんな言葉を返された。


「んー…、やっぱりそれが一番理想じゃない?」


 置いて逝くでもなく。
 置いて逝かれるでもなく。

 一緒にこの世から消え去れるのだから。


「俺にはそうは思えないけど」
「どうして?」
「俺が死んだらお前の事は、お前の真実は誰が覚えてるんだ?」


 何の為に罪を犯して。
 何の為に傷を負って。
 何の為に生きていたのか。

 自惚れる訳ではないけれど、それを本当の意味で知っている人間はこの世でたった一人。

 だとすれば、その人間が死んでしまったらその真実は誰が覚えているのだろう。


「いいんだ。別に」
「え?」
「俺は新一だけが覚えていてくれればいい」


 他の誰も解ってくれなくていい。
 他の誰も知らなくていい。

 唯大切な一人だけが知っていてくれればそれでいい。








「だからさ…」



 ――死ぬ時は一緒に死んでくれない?



「しょうがねえなぁ…」



 ――安心しろよ。一人でなんて死なせてやらないから。








 それは二人だけの密約が交わされた瞬間。










END.

一人で死ぬのは辛いと思うんです。
残す方も残された方も。


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