朝食、昼食、夕食
快斗には三食の食後に必ず摂取する物がある
〜三食+…?〜
「新一…。大丈夫だからそんな顔しないで?」
ね?と言われ、新一は自分が快斗の持っていたそれをいつの間にか見詰めてしまっていた事に気づいた。
「…解ってる」
見ないように、なるべく気にしないようにはしているのにそれでも気が付けば見詰めてしまっている。
「ごめんね」
「謝る事じゃないだろ」
それは快斗にとって必要な薬。
けれどそれは通常人体に使われる『薬』ではなく、むしろその逆の…『毒』
KIDをしていて何があるか解らないから、毎日毎日少しずつ摂取されている。
それは身体に対生をつけるために摂取される物。
KIDの為に必要だと解ってはいる。
解ってはいるがそれでもそれを見る度に心が軋むような音を立てる。
『毒』である以上少しとは言えども少なからず人体に悪影響を及ぼす。
それが解っているのに止められない事に新一は歯痒さを覚えずにはいられない。
「でも新一を傷つけてる事に変わりはないからね」
今だってそんな辛そうな顔させてるし。
申し訳なさそうに頭を垂れる快斗の隣に新一はそっと腰を下ろした。
「俺が言った事だから」
そう、快斗に自分の前でそれを摂取するように言ったのは他でもない自分。
快斗が陰でこっそりそれを飲んでいるのを知っていたから。
どうせ飲むなら俺の前で飲めと言ったのは自分。
自分の知らない所で自分に見えないように、そんな気の使い方は嫌だったから。
どんな快斗も見たいと望んだから。
「だからお前が悪いんじゃない」
それはお前に必要なものなんだろ?
お前がKIDであり続ける為に。
「…うん」
「だったら謝るな」
お前が悪い訳じゃないんだから。
きっぱりとそう言い切れば、快斗は泣き出しそうな笑顔を浮かべて抱きついてきた。
「愛してるよ、新一」
きっとこれからもそんな顔させ続けるんだろうけど、そんな俺でも愛し続けていくから。
だから誰よりも君が幸せになれるように愛し続けるから。
「………知ってる」
お前が誰より俺を愛し、大切にしてくれてる事は知ってるから。
だから、俺はお前の全てを見ていくから。
例えそれが俺をどれだけ苦しめる事になったとしても。
苦しくても俺はきっと幸せだから。
END.
僕の食後は薬漬け…(爆)
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