真っ赤な真っ赤なコート
でもそれは君のための物
〜赤いコート〜
「お前何なんだよそれ?」
鏡の前で買ったばかりのコートに袖を通していたら、推理小説に夢中だった筈の新一にそんな事を言われた。
彼のお気に入りの小説に勝てた事を心の中で喜びつつ、表面上は何でもない様に返事を返す。
「ん? コートだけど?」
「いや、それは解ってんだよ」
「じゃあ何?」
「色だよ色」
さも不機嫌に言われた言葉に快斗は、ああと小さく苦笑する。
「いいでしょ? 綺麗な赤じゃない?」
「…お前そういう色着ないんじゃなかったのか?」
今まで見たことないぞ? お前の手持ちの服で赤なんて。
新一の疑問に快斗は当然の様に笑顔で返答する。
「だって目立つから」
「は?」
「目立つからいいかなぁ、と思ってさ」
人ごみで待ち合わせても俺の事見つけ易いでしょ?
「………その為に買ったのかよ」
「そう♪」
「馬鹿だろお前」
「うんv 新一馬鹿〜vvv」
そう言ったらやっぱり思いっきり呆れた顔をされて、ため息まで吐かれて。
それでも新一への愛情表現だから〜vvなんて一人で悦に入ってみたりしてたんだけど。
「無駄な努力だな」
「え?」
「だから無駄な努力だ、って言ってんだよ」
「新ちゃんが虐める〜!!」
何その無駄な努力って!! 俺これでも一番目立つ色探してきたのに!!
ぶちぶちと文句を言い続ける快斗に、新一は本に視線を戻しながら一言付け加えた。
「だってお前そんなの着なくたって目立つじゃん」
「………へ?」
「だから無駄な努力だって言ってんだよ」
そう言った新一の頬が若干赤く染まっている事を快斗が見逃す筈もなく…。
「新一〜vv 愛してるよ〜vv」
「うわっ! バ快斗急に抱きつくんじゃねえ!」
「そうだよねv 俺って目立つし〜vv」
新一にぴったりのいい男だし〜vv
「馬鹿! 俺はそんな意味で言った訳じゃ…」
ますます真っ赤になってしまった新一に快斗は確信犯の笑みを浮かべながら尋ねる。
「それじゃどういう意味?」
「そ…それは…」
「それは…?」
「………うるせえ! さっさと退け!!」
蹴り落とされそうになりながらも、何とか新一を腕の中に閉じ込めて。
そのまま真っ赤になっている頬にキスをした。
どうやら赤いコートは無駄になりそうだけど、新一が嬉しい事を言ってくれたから今日も幸せv
END.
僕のコートは赤〜v(爆)
(でも決して目立ちたいからではない)
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