バレンタインデー

それは全国の男女にとって戦争である

その日が無事過ぎても

快斗がやらなければならない事はまだ存在していた。








チョコレート戦争
(後夜祭編)









「あーいーちゃん♪」

「その様子だとしっかり満喫したみたいね」

「うんvありがとね♪」


朝から隣家をご訪問にきた快斗。

そのお肌は…非常につやつやである(笑)


「じゃあこれ」


そう言った哀が示したのは玄関先に積まれている大量のダンボール。

当然その中身は…、


「流石新一。こんなにきたんだι」


稀代の名探偵宛のバレンタインチョコレート。


「これでも大分減ったのよ?」

直接来た子の分は私が言われた通りに断っておいたんだから。

「ありがとv感謝してます♪」



先日のバレンタインデーを新一とゆーっくり過ごす為、快斗は工藤邸の電話線を抜き、インターフォンも切っていた。

ついでに郵便受けにはチョコレートを入れられないようにとしっかりと自分でラッピングしたダミーのチョコレートをめいっぱい投入済み。

(まあ、それでも新一の携帯にかかってきた警察の電話だけは防げなかったが)

その為、幾らインターフォンを押しても誰も出ずに困った宅急便屋さんはお隣へ。

直接渡しに来たお嬢さん方も、諦めて帰るか、お隣のお家へ事情を聞きにいくかの二択。

直接来た分は哀に断って貰い、宅急便で来た分はしかたなーく預かっていて貰った。


「まったく…貴方も良くやるわよね」

普段はフェミニストなくせに工藤君が絡むとこれなんだから。

「だってぇ…新一に渡すのは俺だけでいいの!」

「………ほんとバカップルよね…」

「努力してますからv」


そう言って、快斗はそのチョコレートを受け取る。

その数…段ボール箱9個。

それが次々に快斗の用意してきた荷物運搬用のキャリーカートに乗せられていく。

どうやらこの事態は予測済みだったらしい(笑)


「それどうする気?」

「ん?ひ・み・つv」

「………」


にぱっと微笑んだ快斗の瞳が笑っていない事に気付いた哀は溜め息を吐く。


「まあ、精々頑張りなさい」

「うん。ありがとね♪じゃあこれ約束の…」


代わりに哀に渡されたのは大きな紙袋。

その中身は………ご想像にお任せします(笑)


「あら。約束より随分多いじゃない」

「それは俺のお礼も込みですから♪」

「それじゃ有り難く頂いておくわ」

「うん♪じゃあ哀ちゃんありがとね〜♪」


哀はカートを押しながら表面上はにこやかに帰っていく快斗を見送って、


「………まったく…チョコレート以上に甘いんだから……」


と嫌そうに呟いたのだった。










「ただいま」


未だ寝ている新一から返事が返ってこないのは解っていてもきちんとご挨拶をして。

玄関を上がり、とりあえずダンボールを3つ抱えて階段を上り自分の部屋まで入る。

それを下ろして、同じことをあと2回繰り返して快斗はふぅ、っと溜め息を吐いた。

けれど次の瞬間にはその存在は頭から綺麗さっぱりなくなって、


「さてと。新一を起こしにいこうかなvv」


代わりに可愛い可愛い恋人の事でいっぱいになったのだった。










「しーんいちv」

「……ん……」


ちゅvっと頬に額にキスをしながらそういえば、未だ眠そうな新一が少しだけ身動ぎする。


「もう10時だよ?」

「…………まだ…ねむぃ…」

「じゃあもう少し寝る?」

「…ん……」


快斗の声に眠そうに頷いて、新一はもぞもぞと掛け布団へ潜り込んでしまう。


「じゃあ俺も一緒にねーようv」


そんな新一のかわいらしーい様子に快斗は満面の笑みで新一の横にもぞもぞと入り込むのだった。








こうして工藤邸の2月15日は無事過ぎていった。

ちなみに快斗が新一宛のチョコレートをどうしたのか…それは快斗本人だけが知っている。






END?


バレンタイン第四弾。
本番編でバレンタインにも関わらず新一宛のバレンタインチョコが工藤邸になかったのはこんな訳で。
哀ちゃんへのお礼の品はもちろん………(怯)


おまけ(2月16日編)

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