鳥籠から出る事の出来ない蒼い鳥
鳥籠から出れば死んでしまう鳥
けれどその鳥は自らの意思で安全な鳥籠を出る
限りがあると解っている幸せは本当に『幸せ』?
〜籠から出た蒼い鳥[prologue]〜
「工藤君…貴方本気なの?」
「ああ」
真っ直ぐに向けられた蒼い瞳には一片の曇りもなくそれが哀にとっては何よりも痛かった。
それは彼が全てを悟っている証拠。
「悪いな灰原」
「…貴方が謝る必要はないわ」
寧ろ謝らなければならないのは私…。
俯いた哀の柔らかな髪をそっと新一は撫でる。
それは哀の涙を誘うには充分過ぎる程の優しさで、零れ落ちる雫は止まる事がない。
「ごめんなさい……ごめんなさい………」
本当に…ごめんなさい…。
まるで壊れた機械の様に繰り返される謝罪の言葉にも新一はにっこりと微笑んで。
そっと哀を抱き寄せた。
「もういいんだ。灰原は出来る限り…いや、それ以上の事をしてくれた」
そう彼女はこの2年間を自分の為だけに捧げてくれた。
そしてそれは新一が望むならきっと何十年と続いた筈。
けれど新一が選び取るのは別の未来。
「だからさ…灰原…」
「……?」
「お前も幸せになれよ」
「っ…!!」
優しく、けれど残酷な一言に哀は唇を噛み締めた。
どうして…どうして一番救いたい人を救う事が出来ないのかと。
「お前はもう充分過ぎる程苦しんだんだ。だからもう幸せになってもいい筈だろ?」
「……だったら…」
「ん?」
「だったら貴方こそもっと幸せになっていい筈じゃない!!」
泣きながらそれでも精一杯叫んだ哀に新一は少しだけ辛そうな顔をして、けれど次の瞬間には穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ。だから俺は…」
――――これから幸せになりに行くんだ。
優しく諭す様に、けれどはっきりとそう告げた新一の表情は全てを受け入れた穏やかでそれでいて余りにも儚いものだった。
to be continue….
「明けない〜」が終わってないのにまた続き物を…(爆)
バリバリ続きます…今年度中には終わらないかもしれない(オイ)
ちなみに新哀ではありません(苦笑)
次回からはもっと快新らしくなる…筈?(ぇ)
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