『約束』をしました。貴方と
『約束』をしました。必ず守ると
けれどこんな未来は予想していなかったから
だから俺はあんな『約束』をしたのです
約束
『何時かどちらかが先に死んだら、残った者はその墓守をする』
何時だろうあの約束をしたのは。
何時だろう彼があんな事を言い出したのは。
その時は気付かなかった。
その時は気付けなかった。
どうして彼があんな事を言い出したのか。
どうして気が付く事が出来なかったのか。
どうして気が付く事が叶わなかったのか。
今となってはその謎が、悔やんでも悔やみきれない後悔となり、自分の中を侵食している。
けれど、どれだけ後悔をしたところで残酷な現実は変わらない。
―――彼が居なくなってしまったという現実は。
「新一。今日は新一の好きなレモンパイ焼いてきたよ」
『好きだった』と過去形にしないのは、まだ心の片隅で有り得ない夢に期待しているから。
「ここ置いてくからね」
冷たい冷たい石に上に綺麗なお皿に乗せたレモンパイを置く。
綺麗な綺麗な冷たい蒼い石。
その色にしようと思ったのは彼の事を何時までも忘れたくなかったから。
「新一。大好きだよ」
もうきっと伝わらないであろう言葉を毎日紡ぐ。
だってこれをやめてしまったら、俺の存在意義はなくなってしまうから。
「愛してる」
今この言葉を聞いてくれるのは、彼のあの蒼には遠く及ばない蒼い石だけ。
―――青い蒼い空の上で貴方は幸せに暮らしていますか?