優しい感触

 温かい温もり


 幸せが本当にあるのなら

 天国というものが本当にあるのなら


 それは今、この瞬間の様な気がした










君が目を覚ましたら…











 ふわふわの髪を撫でて一人ほくそ笑む。
 こんな姿他の誰にも見せられないと心の中で苦笑しながら。




 誕生日の前日だというのに昨日はビックジュエルを追って。
 それでも昨日の獲物も求めていたものとはやはり違うもので。

 相変わらずのポーカーフェイスの裏に必死になって落胆をしまい込んで。

 もっと頼ってくれて良いと思うのに。
 もっと話してくれて良いと思うのに。

 何時もたった一人孤高に探し物をし続ける白い魔術師。
 その姿はその心の気高さを物語る様に見る者を魅了し、そしてだからこそきっと怪盗でありながらも世間に受け入れられている。

 けれどその『怪盗』は彼であり、同時に彼ではない。

 きっと彼は必死で父親の…いや、先代の『怪盗KID』の姿を保とうとしている。
 それは一番近くで見ている新一が一番良く知っている事。

 だからこそ思う。
 なんて…なんてコイツは自分自身を追い詰めているのだろうと。


 見ていて一番ぴったり嵌るのが『痛々しい』という言葉。
 しかも見ているこっちまで痛くなる様な気にさせる痛々しさ。

 本当はもっと全てを見せて欲しい。
 本当はその痛みを全て暴いてしまいたい。

 けれどそれは…互いのフィールドを侵害する事になるから。
 『恋人』でも唯一触れる事の出来ない『仕事』。
 それは最初に決めたルール。



『何があっても相手の仕事には一切関与しない』



 ただ唯一の例外は互いの命が危険にさらされた時だけ。

 だから触れられない。
 侵す事は許されない。

 例えそれを互いが望んでいるのだとしても…。






「んっ…」


 額に口付ければほんの少しだけ身動ぎする身体。
 起きたのかとも思ったけれど、少し動いた後更に寝心地の良い角度を見つけたのかまたすやすやという寝息が聞こえてくる。

 そんな快斗に新一はまた柔らかい笑みを浮かべる。


「ったく…折角俺が用意してやったっていうのに」


 時刻は昼過ぎ。
 けれどそれも仕方ない。

 だってコイツが帰って来たのは真夜中過ぎで、しかも昨日の獲物は相当見込みがあると思っていたモノだったのだ。
 落胆も大きかった筈。

 ゆっくり寝ていて良いとは思うが…。


 下の階に用意した料理は既に冷めてしまっているだろう。
 出しっ放しのワインはとっくに温くなってしまっている筈。
 コイツが起きたら取り合えずシャワーを浴びさせて、その間に料理を温めて、代わりのワインを用意して…。

 そんなシュミレーションをしていた新一の耳に、


「……しんいちぃ…すき……」


 何だかとっても恥ずかしい快斗の寝言が聞こえてきた。


「ばーろ…///」


 突然の言葉に耳まで真っ赤になりながら、それでも新一は快斗のふわふわの髪を撫でる事はやめない。
 だって…自分も……。


「俺も………好きだよ」


 その言葉は自分で言うには恥ずかしくて。
 彼が眠っている時にしか紡げないけれど。
 それでも…それだからこそ、新一にとって一番の『真実』。



「だからさ…早く目覚まして俺と祝おうぜ?」










 ――だって今日は君が生まれて来てくれた大切な記念日なんだから…。










END.

薫月:と言う訳で、快斗君17歳のお誕生日おめでと〜♪(ドンドンパフパフ)←自前効果音(笑)
快斗:なあ…その『17歳』に不穏な響きが見えるのは俺だけか?
薫月:え?だって『永遠の17歳』でしょ?♪
快斗:…………ι
新一:由梨香…お前それ遠まわしに俺にも喧嘩売ってることになるよな?(にっこり)
薫月:ひぃっ!め、めっそうも御座いません!
新一:ほぅ…
薫月:じゃ、じゃあ、二人でらぶらぶなお誕生日を過ごしてね〜♪(逃)
新一:ちっ…相変わらず逃げ足だけは速いな…
快斗:いいじゃん。あんなのほっといてさ。二人だけのがいいしv
新一:それはそうだけど…
快斗:だって俺の誕生日祝ってくれるんでしょ?♪
新一:……当たり前だろ///
快斗:ありがとv新一大好きvvv


かなり無駄に後書き(?)が長くなりましたが、取り合えず快斗誕生日記念です。
永遠の17歳に乾杯v(爆)
ちなみに、快斗の誕生日記念という事で今月一杯フリーとなっております。
お嫁に貰ってくれるという奇特な方は是非連れて帰ってやってくださいv


フリー期間終了致しました。
お嫁に貰って下さった方々、有り難う御座いましたv



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