──Nemesis──

 ギリシア神話、カオスの娘である夜の女神・ニュクスから生まれた復讐の女神。

 しかし、それは正義の怒りによるもの。
 また、幸運を得るべき人間が不運に陥ってると、幸を与えることがある。


                              ──正義と公正の象徴とされている。





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                           8月のBlue Sapphire -Epilogue-

                               〜怪盗KIDからの挑戦状?〜
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 コナンを抱きかかえ夜空へと舞った怪盗は、そのままある場所へと向かう。
 それはコナンが最後に言った『ある場所』であり…

「…先に博士のとこ寄ってくれ」
「畏まりました」

 中継地点に連れて来られて時と同じように、ゆっくりとその瞳を開けたコナンは、怪盗の向かっている場所を瞬時に理解し呟く。
 キッドはその言葉に逆らう事無く、そのまま目的地の方向へとハングライダーを操作した。



「……状況は解ったわ」

 阿笠邸の庭に降り立ち、博士の窓を開けて貰い中に入る。
 キッドとのことは既に知っている博士は、初めて対面した怪盗の存在にも驚く事無く招き入れ…そして、地下室にいた哀を呼びに行った。
 全員が揃った処で大まかに今日の出来事を話し、これから手を組むことにした旨を伝える。

 その説明が終わった直後の哀の言葉が…あれである。

「確かに、これまでから言っても協力するのがベストでしょう。その点に関しては、私に異存はないわ」

 そう言った哀にコナンは密かに詰めていた息を吐く。

「んじゃ博士。悪いけどあの部屋、コイツも入れるようにしといてくれるか?」
「解った。言葉は伝えてあるんじゃろう?」
「ああ」

 少々特殊に作った部屋。
 そこに入れるのは予め認識・設定してある人物だけ。
 そしてその人物たちでも、合言葉がなければ部屋への扉は開かない…

 設定を追加する為に離れていく博士の背中を見送るコナン。
 そんなコナンを、哀がちらり…と見た。

「そう言えば…蘭さんから電話があったわよ?」
「へ?」
「泊まることを聞いたみたいね。携帯に連絡が欲しいって」

 哀の言葉にコナンは思いっきりきょとんとした表情を見せ、そのあとに続いた説明に溜息を付く。

「……そういう事は早く言ってくれ;」
「あら…、伝えただけでもありがたく思いなさい」

 一応、面倒を見て貰っている身である。
 とりあえず連絡をするかと、博士に断りを入れその場を離れる。


 …残ったのは2人だけ。

 そこで、それまで黙っていた怪盗が口を開いた…

「──なにか、私にご用ですか?」
「話が早いわね」

 怪盗の言葉に大人びた笑みを返す哀。

「まどろっこしいのは嫌いだから、単刀直入に言うわ」

 彼女もまた、コナンと同じように幼児化した女性だと知っているから…キッドもそれ相応の対応をする。


「好きにすれば良いけど、私の前ではやめて頂戴」


「……お気付きでしたか」
「当たり前でしょう? 解らないのは彼くらいよ」

 苦笑を浮かべた怪盗に、哀は馬鹿馬鹿しい気持ちで溜息を付く。

「此処に来た時なんて、初めて親に紹介された彼氏みたいだったじゃない」
「…私的にはその通りなんですけどね;」
「それにあの予告状。アレだって彼に対してはラブレター。あの馬鹿な探偵にはライバル宣言のような物じゃない」

 わざわざヒヤシンスの花まで贈って…

 名探偵や迷探偵には解読されなかったその意味を的確に解いている哀に、キッドはもはや何も言えず苦笑を浮かべることしか出来ない(笑)。

「まあ、先に周囲への牽制をしたのは、賢いと思うけど?」

 くすっと笑い、向こうで電話をしているコナンを見つめる。
 なんせ彼は疎い。たとえ直接はっきりと言っても、彼には通じないのだ。←その通り(笑)

 …その癖、周囲には彼に惹かれた者達が集まってくる。

「とにかく。彼を口説こうが何しようが好きにしてくれて構わないけど、私を巻き込むのは止めて頂戴」

 言いたいことは言ったとばかりに、哀は博士が出してくれていたアイス珈琲に手を伸ばす。
 そんな哀の発言に、キッドは意外そうな表情を浮かべた。

「…よろしいのですか?」

 すると哀は、怪盗の言いたい事を正確に理解した上で、

「構わないわ。私じゃ、彼を全てから守る事は出来ないもの」

と、はっきりと言い切った…。

「その代わりじゃないけれど……全ての事柄から彼を守って頂戴。そして、貴方は何があっても生き延びる。それが、私からの協力条件よ」

 そうでなければ、たとえ組織を壊滅させても、彼は傷ついたままだから…

 全てのものに優しい探偵。
 その苦しみや痛みを、全部自分のものにしてしまう…優しくて強い、愛しい探偵。

 そんな彼を守る為には自らが傷つくことにも細心の注意がいる。

 …表面はどう見えても、彼は常に戦っているのだから──


「返事は? 怪盗さん?」

 電話を終えたコナンがこちらに戻ってくる。
 その姿を確認し、キッドはキッドとしてではない顔で微笑む。

「勿論…言われずとも。それが出来ないようであれば、彼の傍にいる資格などありませんから」
「良く解ってるじゃない」

「──何がだ?」

 キッドの返事に満足そうに頷いた哀に、帰ってきたコナンが首を傾げる。

「なんでもないわ」
「なんでもありませんよ」

 同時に出た答えは見事に重なり、益々コナンの不思議を誘う。
 それでも2人は明確な答えを避け続け、設定を変える為に必要なキッドの指紋等を採りに来た博士が戻ってくるまで、コナンはその不可思議な謎と戦っていた。


 唯一の宝石を大切の思う者同士の、秘密の約束。
 宝石自身には謎に満ちたものであっても、それを守る者達にとっては至極当然の約束で…

 …宝石が輝き続ける限り、その約束が破られる事はない──。





【桜月様後書き】

【言い訳なんて可愛いものじゃございません】

 謝罪文です(爆)
 なんか…あってもなくても良かったような気がするエピローグです;
 とりあえず、再び哀ちゃん登場──っ!!
 そしてキッド様と哀ちゃんの秘密のお約束〜♪←てか契約?(笑)
 ……バレバレだろうけど(…)、これが書きたかったんです。ええ。
 本当はコナンが連れ攫われた(?)後の当て馬2人とか書きたかったんだけど…;
 気が向いたら、また番外編でやろうかしら?(ぇ)




うきゅぁ〜vvvv(興奮の余り謎の叫び)最高に萌え〜vvvvv
「親に紹介された彼氏みたいだったじゃない」発言にノックアウト♪(そこ?・爆)
やっぱり雪花姉の哀ちゃんとKID様のやり取りは素敵なのですvv
そしてやっぱりそれを解らないコナンさん…最高よ〜!!!
当て馬も…見たいかも(笑)
ん〜vvもう受験で荒んでる(…)僕には素敵過ぎるブツでした。
雪花姉ありがと〜vvv

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