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夢と9年周期論
 私は人生9年周期論という持論があります。30歳位の時に考えてたことなんですが、20年近く経っても「やっぱり9年周期だなぁ」と思うこともあって、それならそうやってみようかとも。結構ぴったりするので気に入っているんです。健康で長生きが最低条件になりますがね。

 (1)0〜9歳:ほとんど全てが親の依存による、自我の目覚めの期間
 (2)〜18歳:親以外のいろんな人に影響を受ける、自分の方向付けの期間
 (3)〜27歳:今までの家族からの独立と、社会で活動するための準備期間
 (4)〜36歳:自立という意味で社会デビューする期間
 (5)〜45歳:社会人として色々試行錯誤して、失敗も成功も繰り返す期間
 (6)〜54歳:過去の経験を基に、社会人として充実させる期間
 (7)〜63歳:自分に出来る最高のものを求める期間
 (8)〜72歳:実務は第一線を引いて後継者育成の期間。自分は心の完成を追求する期間
 (9)73歳〜:人生を振り返る期間
 
 私が高校の時に描いてた将来像というものは、ちょっと笑えるものなんです。机の上であれこれと計算していました。何度も何度も。
それは「お金がいくらかかるのかなぁ」ってこと。関西人だからなのか、何事も莫大なお金が必要ってことはネックに思っていたようです。
 子供なりに自分の育っている家庭環境とかで、将来の枠を小さく決めざるをえない現実を知ってたけど、「夢」っていうものもしっかり考えてたようなんです。高校も卒業の年になると、伸びない成績にもだんだん慣れてしまって、すでに医者になるって志して10年位になってたんだけど、なんとなく無理っぽく感じる時もあって漠然とした不安の中ですが、将来像っていうのはあったようです。

 余談になりますが、なんで医者になりたくなったかというと、野口英世の伝記を読んでかっこいいと思ったから。小学生低学年向けの本でしたから、いいことばっかり書いてあったんでしょうね。、今考えると読者に感動を与えるように書かれたものなので、それを読むように渡した親の策略だったのだろうとは思ってます。野口博士の現実は後で知ったけどあんまり褒められた生き方ばかりじゃなかったようですね。
 それまで私が憧れてた職業は、大工さん。家を建てちゃうことがとにかく凄いと思っていたんですね。一転して、医者野口英世をかっこいいと思ったのは逆境から立ち上がったことと、志なかばで散った黄熱病の死。何人もの歴史的人物、学者、政治家、小説家、実業家の人の伝記っていうのを小学2年生の頃に読み漁って、二番は無かったです。そしてこれを最後にというか、そういった本を読むことが無くなってしまいました。そして、はまったのが小3から始めた剣道ってことです。

 高校の時に思っていた「夢」というのは、こじんまりとした外科病院をやりながら、隣に私立高校を作りたいと思ってたんです。病院が経営する学校ていうやつです。そしてそこで自分は診療をやりながら、野球部の応援と、剣道部の師範をしたいというのが「夢」だったんですね。変な夢?。でもここから先のことは考えたことはなくて、ふと現実にもどり勉強を再開するっていう日々でした。
 計算していたのは、どのくらいの土地が必要で、建物にいくらかかるのかとか、補助金っていくらぐらいもらえるのかとか、学校の定員は何人くらい必要かっていうようなことです。これが結構楽しくてついつい妄想にふけってしまってました。
 教員には成りたくないのに学校の経営者になりたかったというのは、学校に対する不満というのがあったのでしょうかね。教員の家庭で育っていた自分は、いつも先生の子っていう眼で見られてましたが、それはそれで全く嫌ではなかったんです。

 現実は、ちっちゃな歯科医院で専門は口腔外科。そして、とってもちっちゃな道場の館長。まあ、こんなところに落ち着きました。
医院の開業は27歳の時、道場の開設は36歳。未熟なまま見切り発車でしたが、今はそれなりに過ごしています。9年周期に合わせてステップアップを目指して充実させたいものです。

 「夢」は「星野仙一」監督が好きな言葉。また「夢はみるものではなくてつかむもの」っていう言葉もありますね。私も書道を習っていた頃に「夢」という字がとっても好きだったんです。四角で囲まれた中から、「夕」の最後の流れる終わり方がいいんです。ずうっと伸ばして書きたいと思っていましたから。

 医者としても9年周期というのは当てはまるので面白い。剣医一如は人間としての完成度として一致するということになりますね。。
 28〜36歳ってある程度基本も身についた後で、医療技術もすごく伸びる時期なんですが、剣道でいうと色々な所に出稽古をしたり、試合に出たりするような修行時期ということでしょうか。五段から六段ですかね。
 37〜45歳というと七段適齢期になりますよね。医者としては自信が出てくる時期のように思います。
 46〜54歳は過去の全ての経験を基に充実させる時期、完成を求める時期ということになりますね。八段への修行の時期にあたるのでしょうかね。

 「夢」は叶えるものなのでしょうか、「夢」だからいいのでしょうか。さてどうなんでしょうね。子供に「夢を託す」っていうのも良いですが、子供と自分は別個ですから、子供に対しては「夢は押し付けないもの」とでもしておきます。