「はあ??それ本当?」



















昼休みの教室にの大声が響く。

最近、愛しの彼からのラブメールを頻繁にもらえるようになったは、その話をに聞かせていた。

自分ののろけ話をうなづきながら聞いてくれる友人、

とは同じ日に彼氏ができた仲でもあるし、たまにはののろけ話を聞いてやろうかと思ったさん。

親切に話を振ってあげました。「たちはさいきんどーよ?」って。

も楓も、にとっては大切な幼なじみ。少しは気にかけているんです。

そうしたら、の口からは信じられない言葉が…





















「どうって…部活のあとに一緒に帰るだけだし。

どうもこうもないわよ。メール?してないし」



















よって、が先ほどのような大声を上げることになったわけです。 















「ね…さん?まさかとは思うけど…楓の連絡先…」

「ああ、それは知ってる。携帯の番号もメルアドも。昨日ね、交換したんだ」

「き、昨日???」

「そう。なんかそういう話になって、そういえば〜って」

「…とりあえず会話はあるわけね…」

















自分と一緒にバスケ部が終わるの待っているのだから、

流川とが一緒に帰っていることは知っていたが、

どちらかと言えば無口な二人。

的にはちゃんと会話があるのかどうか少々心配ではあったのだ。

















「メール、してあげたら?楓も喜ぶと思うよ?」

「んー…なんかね。忙しいかなーって。家に帰れば疲れてすぐ寝ちゃうらしいし」

「そうだろうけど…」

「それにさ、私もあんまりメールとかあまり得意じゃないから」

















確かにそうだ。はメールをしたがらない。

とだって、がどうでもいい内容のメールを入れて

それにが付き合う程度。よほどのことがないかぎり、からのメールはない。

あいにく昼休みが終わってしまって、この話もそこまでになってしまった。

5時間目の授業が始まってしまう。

より後ろの席に座るからは、の様子が観察できた。

いつも通り、窓の外を眺めてぼんやりしている。

それでいてノートはちゃんととっているから驚きだ。















『あ!』















携帯が震え、の元へ三井からのメールが届く。

授業中でもこうしてつながっているという幸せを、にも味わってほしいのに…















『まあ…しかたないかな?本人同士がよければいっか』

















きっぱりと頭を切り替え、は三井からのメールを開いた。





























































一方こちらは流川くん。

一月前から憧れの先輩とお付き合いできるようになった彼は、幸せいっぱい。

今日も順調に授業をこなしていた。

…もちろん夢の中で…























『…む…』























普段なら滅多なことで起きたりしない流川が、ふいに目を開けた。

斜め前に座っている男子生徒の携帯が震えた音が耳についたのだ。

彼はちょっとにやけた顔でメールを読み、即返信。ちょっと頭を上げて周りを見渡せば

他にも携帯を片手にメールを打つ生徒が見られて…

それからはなんとなく寝付けなかった流川。そのまま5時間目の授業は終わってしまった。





















「女ってほんと、メール好きだよな〜。授業中でもガンガンメール入れてきてよ」

「まあな。でもまんざらじゃねーべ?」

「だな。いつもオレのこと考えてんだなーとか思うと、可愛いヤツって思うし」

「はは!愛されてるって実感?」





















HRも終わって放課後。運悪く掃除当番だった流川が黒板を消していると、

先ほどの男子とその友達の会話が耳に入ってきた。

























「メールって便利だよね〜。あたし、さっきずっと彼とメールしてた」

「あたしも〜。放課後デートの約束しちゃった」





























今度は女子生徒。

なんとなく…流川は自分の携帯を取り出してみた。

買って以来一度も変えたことのない馴染みの待ち受け画面。

先ほどから聞こえてくるクラスメートの会話。

それによって流川の頭の中には一つの公式が生まれていた。









































恋人からのメール=愛されている









































では流川くん。さんからメールをもらってないキミは?













































『…愛されてねぇ…』





























































流川の頭の中には、アドレスを交換したのがつい昨日のことだとか

自分だってにメールを送っていないという事実はない…



































































『…これは…ユユシキ事態だ…』



































































見た目にはわからなくても、激しく落ち込んだ流川くん。

ちょっとだけ、にメールをしてみようかとも考えたけれど…

こう見えても彼女というものをはじめて持った流川には、

メールにどんなことを書いたらいいのかすら浮かんで来ない。













暗い気持ちのままで部活の時間を迎えてしまった流川。

果たして無事に愛するさんからのメールをもらうことができるのか!












後書き

またもや意味なく二部構成(汗)
ちょっとだけメール大好きな流川くんという設定も考えたけど…
流川はやっぱり、メールとかしないだろうなーと思ってやめました。
第一、流川が書くメールの内容って言うのが思いつかなかったし…

2004・5・8


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