高校に入ったら、昔の幼なじみがいた。













はまあ、わりと目立つタイプで、いくらオレでも校内で会えば気がついた。

あの性格だから、あいつはオレを見かけると大声で名前を呼びやがる。

それはウゼェと思うけど…オレはいつだって会釈してやる。

けどそれはにじゃあねぇ。











いつもあいつの隣にいる1コ上のセンパイ…

オレが頭を下げると、センパイもちょっとだけ、うなずくみたいにして挨拶してくれるから。

なんかずげぇ…綺麗な人だ。

顔も雰囲気も、しぐさの一つ一つも全部。

ずっと見ていてぇって…そう思った…。





































「おつかれさまでした〜!!」













練習試合が終わった後、流川は、三井、そしてとともにファミレスにいた。

試合に勝ったお祝いと、と三井がめでたく恋人同士になった記念の食事会だと言われ、

最初は帰ろうと思った流川だったが、メンバーにがいたために黙ってついてきた。

正面には、いちゃつく三井と

そして隣には…がいる。

が今日の試合のことをあれこれ話しているが、流川はちっとも聞いちゃいない。

顔を見ることはできないが、視界に入るの手をじっと見ていた。

に話しかけられれば相槌を打ち、自分が注文した食事をゆっくりと口へ運ぶ

マナーなどはまったく知らない流川だが、食事をするの動作は

どことなく品があるような気がする。















「なーに??二人ともノリ悪いねぇ」

















隣同士で座っていながらも一言も口を利かない流川とに向かってが言った。

にしてみれば、「せっかくきっかけを作ってやっているのに」というところだろう。









「ま、流川に気の利いた会話ができるとは思えねぇけどな」

















かわいい恋人を手に入れたばかりの三井は、幸せをそのまま表情に出したような顔で流川に言った。

流川は一瞬ムッとして顔を上げたが、は相変わらず静かに食事を続けている。

















「ね、は彼氏作んないの?」

「ん?」













名指しで話を振られたが、ようやく顔を上げる。









「だってあんた、今年に入ってからさっぱりじゃない?」

「…さっぱりってねぇ…」

「彼氏、ほしくないの?」

「別にそういうわけじゃ…。ただ、本気で私に言い寄る男がいないだけの話で…」









ほどではないにしろ、だって恋愛に縁が薄いわけではない。

現に街を歩けば声をかけられるし、告白を受けることもある。

ただ…そのどれにもその気になれないだけなのだ。

理想が高いとは思わない。

が相手に求めているものは少しの優しさ。そして自分をひきつけてくれる何か…

案外それが難しかったりするものだ。













『本気で私に言い寄る男がいないだけの話で…』

じっとの言葉を聴いていた流川だが…一瞬その目が光る。















「…なに?」













流川の視線に気づいたがそっちを向くと、流川と目が合った。













「…言い寄れば付き合うんすか?」

「は?」









お互いを見つめたまま固まると流川。

その様子を見ていた三井がにささやく。













「おい…流川のヤツ…まさか…?」

「ふふ」













笑っただけのの返事を理解した三井は、

驚き半分面白さ半分といった表情で二人の行く末を見守る。











「どうなんすか?」 

「…あなたは…私と付き合いたいの?」

コクリ

「そう…」











思わぬところで流川からの告白(たぶん)を受けてしまったは、

いまだにまっすぐと自分を見つめる相手を観察・・・・









『あ…』











流川の目を見つめていたが一瞬息を飲む。



































「…返事…」

「…ま…いっか…」































それは返事なのだろうか?

理解しかねていた流川だが、が興奮した様子で向かいのテーブル身を乗り出し、に詰め寄る。











!あんた今、楓の告白OKしたよね?」

「そう聞こえなかった?」

「聞こえた!!!!」

「おおっ!やったな流川!」

「すっごい!今日だけでカップル成立二組だよ!」

「マジかよ〜!どうなってんだ?今日は!」

「あははっ!これでさ、四人で遊びに行ったりしたいね〜。きっと楽しいよ!」

「な?オレもそう思ってた!」















なぜか三井までもが興奮気味で、とともに盛り上がっている。

















『…だれがあんたらと遊びに行くかよ…』



















そう思いながら黙々と食事の続きを始めた流川。

も少々引き気味で、目の前の三井とを見つめている。

全員が食事を終えて店を出るまで、

三井とのテンションは上がりっぱなしだった。








後書き

告白 流川編 その1 完成。
流川って普通に告白するんだろうかと悩んだ結果がコレ…。
流川の告白成就に騒ぐ三井とサンが頭の中を駆け巡って…
なんか疲れた…(死)
2 のほうは、もうちょっとしっとりいきたいと思います。

2004・5・2



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