練習に戻る三井の背中を見送っていた

 ふと視線を感じて顔を下げると、そこにいたのは流川楓。

 が今の家に引っ越す前に住んでいた家が、流川の家と近かったため、この二人も幼なじみということになる。

 じっと自分を見つめる流川…







 「なに?練習始まるんでしょ?」
 
 「…なんで練習見ねぇ…」

 「ん?」








 その時、はあることに気がついた。








 流川の視線

 流川は自分を見ているのではない。

 自分の肩越しに、もっと奥を…







 『…ほー…あの楓が…ね…』







 彼の視線の先にいるのは自分の親友で。

 眼下にいる昔の幼なじみは、どうやら彼女を気にかけている模様…。


 




 
 昔から他人に興味を示さなかった幼なじみの性格を思い出し、物珍しげな視線を向ける

 その視線の意味に気づいているのだろうか、流川が口を開いた。 








 「明日…練習試合来るのか?」

 「応援?どーしよっかなー」
 







 当然、三井の応援に行く気満々なだったが、わざともったいぶってみる。

 それは流川にも伝わったようだ。

 むっとした顔つきをしているが、それでも流川は言葉を続けた。








 「見に来い」

 「見に来い〜。それが人にものを頼む態度かね?」

 「む…」








   「見に来てください」







 と、素直に言えればいいのだが…流川の性格では無理だ…

 溜息を一つついた流川。








 聡いが自分の気持ちに気づいているだろうことは百も承知だ。

 しかし、自分だっての気持ちは知っている。

 練習中、いつも静かに読書をするを見ようとすれば

 熱心に三井の姿を追うが嫌でも目に入るのだから。

 






 「…協力してやる。三井さん…」

 「…へぇ…」










   『こいつ…知ってるな?』








 無口で無表情で、寝てるかバスケしてるかの流川楓が、自分の思いに気づいていたとは驚きだ。

 しかしまあ…自分にとっても悪い話しではない。

 三井との仲をとりもってもらおうとは思わないし期待もしないが、もともと明日は応援に行くつもりである。

 もちろんも連れて。

 幼なじみの可愛い後輩を喜ばせてやるもの悪くはないだろう。
  







 「OK。わかった。応援行くよ、あたし」

 「よし」







 そう一つ頷いて練習に戻ろうとした流川だが、








   『OK。わかった。応援行くよ。あたし』







 この台詞が気にかかり、もう一度を見上げる。








 「…おめーじゃねぇ…」








 まあのことだからわかっているとは思うが、念のために確認しておくことにした。

 確認の言葉としてはちょっとアレだが、流川なので仕方がない。









 「わかってるって。…でしょ?さんに任せなさい」









 親指で自分の後ろを指す

 にばれないよう、体の正面で行っているのがの気が利くところ。

 ようやく納得した流川は練習に戻った。







 後書き

  流川を書くのは難しいですね。
  しゃべらないキャラって動かせない・・・・
  
  一真的には「…おめーじゃねぇ…」って台詞がお気に入りです。
  言われたら腹立つ言葉だけれど、
  流川になら言われたいかもw

  次はさんにもがんばってもらいますね。

次のお話