アグリジェント遺跡
Archaeological Area of Agrigento


 明るく穏やかな地中海を背景に、輝かしい南国の光の降り注ぐ緑豊かな広野の中に、ほのかな花の香りを漂わせながら古代遺跡が広がっています。 世界遺産の「神殿の谷」です。
 そのなかで、私が訪れたユーノー神殿、コンコルディア神殿、ヘラクレス神殿、ゼウス神殿、サン・ニコラ教会などについてご紹介します。


「サン・ニコラ教会」

 神殿の谷の一角を支配する建物が「サン・ニコラ教会」です。
 神殿群を一望できる小高い丘の斜面に建っています。
 現存の建物は、13世紀に、ギリシャ・ローマ時代の遺跡を修道院として利用したときのものだそうです。
 ロマネスク・ゴシックの影響がうかがえる教会のファサードには、美しい入口扉がついています。

「エカレシア」(集会所)

 サン・ニコラ教会の隣にある、岩を削った劇場構造の遺跡「エカレシア」(集会所)です。 やや傾斜をもった半円形のものです。
 当時の法律の制定、改正などを行った場所だそうです。
 左に見える四角い建物は、「ファラリーデの小礼拝堂」です。
 ギリシャ時代の紀元前2世紀頃の建造で、長い年月を経て風化していたものがノルマン時代に改築されたものです。

「ユーノー神殿」1

 神殿の谷で、まず最初に訪れた神殿は、丘の頂上に孤高に聳える「ユーノー神殿」です。
 ユーノー神殿は、家庭と結婚の守り神に捧げられた壮大な神殿で、結婚の儀式が執り行われていた場所だそうです。

「ユーノー神殿」2  「ユーノー神殿」です。
 紀元前5世紀半ば頃に建てられたドリス式神殿です。
 アグリジェントの神殿の中では、コンコルディア神殿に次いで保存状態の良い神殿です。
「コンコルディア神殿」1  「コンコルディア神殿」です。
 どこまでも青い空と自然の陽光を受けて建つ、古代ギリシャの厳かな遺品です。
 コンコルディア神殿は、シチリアの古代遺跡を代表し、ドリス式神殿の威風を今日に伝える素晴らしい文化遺産です。
 訪れる人すべてを魅了してきたことと思います。
 紀元前430年頃の建築とされ、約たて42m、よこ20m,高さ13,5mのものです。

 
「コンコルディア神殿」2

 コンコルディア神殿の正面の写真です。

「墓地」1

 コンコルディア神殿からヘラクレス神殿へ向かう沿道には、ローマ時代の墓地やビザンチン時代の墓地などが見られます。

「墓地」2

 初期キリスト教徒の墓地です。

「ヘラクレス神殿」1

 コンコルディア神殿から10分程度歩いたところに、「ヘラクレス神殿」があります。
 ヘラクレスの名に相応しく逞しい感じがします。
 「ヘラクレス神殿」は、アグリジェント最古のドリス神殿で、独特の形態の長方形の基部が今も残っています。

「ヘラクレス神殿」2

 「ヘラクレス神殿」は、紀元前6世紀頃に建設されたものですが、1920年代から40年代にかけて再建された8本の円柱が、遠くからでもよく目立ちます。

「ゼウス神殿」1

 「ゼウス神殿」です。
 紀元前5世紀に、カルタゴとイメラへの戦勝記念に建てられた神殿ですが、その後カルタゴ人により破壊され、更に18世末にいたるまで公共建造物の資材供給所と化していたということで。保存状態が極めて悪いものとなっています。

「ゼウス神殿」2

 「ゼウス神殿」跡地内の写真です。

「ゼウス神殿の男像柱」1

 下の写真と同じものですが、ゼウス神殿を支えた巨大な男像柱が、横たわる形で復元されていました。
 なお、ここにあるのはレプリカで、実物は考古学博物館にあるそうです。

「ゼウス神殿の男像柱」2

 男像柱

「カストルとポルクス神殿」

 中央に見えるのが、ゼウス神殿から撮した「カストルとポルクス神殿」です。(デジカメのズームなので鮮明には写っていませんが。)
 時間の関係でそばまで行けず残念でした。
 写真集などでよく見かけますが、アグリジェントの市章にもなっている神殿で、4本の円柱は19世紀に再建されたものだそうです。



2001.11.25