雑談目次


経済恐慌の原因についての私論

 

 去年は、経済がひどい状態に落ち込んだ。その原因を考えてみます。


1 仮説

 新自由主義経済が原因であると考えます。

 なぜなら、アメリカ主導で、世界中の資本主義国家がこの考えで経済政策を進めてきた結果が去年の世界恐慌になったと考えられるからです。

 日本もこの10年余り、構造改革と称して新自由主義を取り入れてきました。その結果がこのような状態になっていると考えます。アメリカ経済の破綻の余波ということもいわれていますが、アメリカと同じ経済体制にした日本経済そのものが持っていた矛盾も、ここに来て露呈したという面もあると思われます。


2 理由を考える

 経済のしくみについては素人なので単純に考えてみます。

(1)仮想実験

ア 条件

 1万世帯の町に、10億円の利益があった。

@ これを1人の人に渡す。

A これを1万世帯の人に分ける。(1世帯10万円である)

イ 上の条件で1ヵ月後どうなるかを考える

@ 1人が使う場合 

 9億9000万円は投資や貯蓄に回っているだろう。残りの1,000万円のほとんどは贅沢なものを買っているだろう。

A 1万世帯で使う場合

 ほとんどすべては生活のための商品を買うために使われているだろう。

 すなわち、近くのスーパーや、服屋や、床屋や、靴屋など日常必要なものを買ったであろう。あるいは学費や、家や車のローン、家族旅行も一部にあったかもしれない。

ウ このことからどのようなことが派生するか

@ 一人がもらう場合

 金のほとんどは、金融界に流れ、金融バブルが起こる可能性がある。実業にはほんの少ししか金が流れないので、実業のほうは伸び悩む。おそらく衰退する。なぜなら、作った物より、買う金のほうがはるかに少ないから、物が売れなくなる。

A 分ける場合

 ほとんどの金は、普通のものを買ったりすることで消費される。すると、買い物で品物が少なくなったスーパーや店は、品物を発注する。それを受けた工場は品物を作る。工場は原材料を発注する、というように、実業に流れた金は、実業界を次々に流れていき実業界の仕事を増やす。

 一方、金融界は金が入らないので、実業に金を貸して、その利息で仕事をする。ほどほどに成り立つ。

(2) 日本社会と比べる

 上の話は実際と違う。実際はそう単純ではない。しかし、実業で生んだ利益が、株主や経営者に配分される分が以前より増え、労働者に配分される分が減っている。

 この10年で株の配当は、3倍に増え、経営者の収入は1、5倍に増えている。一方、世帯収入は100万円超減っている(リーマンショック前)。一部の金持ちに利益が集中していっている。この世帯所得には金持ちも入っているし、派遣などの人々が増えた分、実際はもっと富の偏重は起こっていると思われる。

 この間、株の配当の税は半分になり、累進課税は緩やかになり、高額所得者の税金は、ひじょうに安くなった。その反面、保険や年金掛け金のアップや、新税などで、普通の人の税金は、上がっている。

 日本政府は、そのように法を改正している。それが、未来を見据えた構造改革である。

 実際、この10年最長の好景気だといわれているのに、物が売れなくなっているのは、庶民に金がなくなったからである。その金はどこに行ったか。アメリカや、日本の物言う株主たちにもって行かれたのである。

(3) 金融バブルを考える

 この夏原油が高騰した。そして、秋になると暴落した。このことを考える。

ア 原油が暴騰した原因

 物言う株主たちがかき集めた金が金融界に流れ込んだ。その一部が原油の先物買いに流れた。その原因は、中東の戦争に端を発している。産油国で戦争があると、原油が上がるのは今までの例である。

 原油は、先物買いの人たちの間でころがされ、高値に釣りあがった。金融界には有り余る金が流れ込んだので、これは十分成り立つ。

イ 原油が下がった原因

 転がされた原油は最終的に、原油を使う実業の世界に買われなければならない。しかし、金は金融界に流れたために実業の金は少なく、金融界の中で転がされて値上がりした高い原油を買いきることができなかった。

 高いガソリンでは採算が取れないため、日本でも、ガソリンの買い控え、漁船の採算割れからの出漁中止など、できるだけガソリンを使わないようにしたように、世界中で、石油を買い控えた、というよりやはり買えなかった。

 実際に原油を消費する実業の世界が、消費をしなくなったので、原油が最後のところでだぶついた。それが値崩れの原因になった。

 サブプライムローンも同じである。庶民の収入が減ったため、転がされ高値になった住宅債券を賄う金がなくなったためである。


3 結果

(1) 日本の現実と照らし合わせる

 会社の利益を、株主に厚く配当するのが、@である。働いている人に厚く配当するのがAである。

 日本でも、骨太の方針で、株主の配当を増やし、労働者の賃金を下げた。また、税金も、税の平等という掛け声で、金持ちの減税、一般の人の増税がなされた。

 税は富の再配分の機能を持つ。税は、公共工事や福祉などの政策により、実業のほうに多く配分される。しかし、金持ち減税により、これが少なくなった。税の分野でも、実業より、金融に多く流れる仕組みができた。

 最長の好景気といわれているのに、日本の内需が伸びなかったのはそのためであると考えられる。輸出で何とか埋め合わせをしていたが、実業が衰退していったのはそのためである。輸出が減ったとたんにそれが表面化したと考えられる。輸出が減ったのは、アメリカも新自由主義経済を取っているからである。アメリカの新自由主義を取り入れている国はことごとく実業が衰退し、国民は貧乏になっている。中国が延びているのは、アメリカの新自由主義を拒否しているからである。だから、アメリカの実業家は中国を悪者にしようとしている。 

(2) 世界を考えてみる

 アメリカは、日本より、所得格差が大きい国だ。日本より、金持ちに金が集中している。集中した金が、金融界に流れ、金融バブルを起こしたのは、@の金の流れであると思われる。したがって、アメリカの実業も落ちていったと考えられる。それが、今度の不況になった。

(3) 結論

 新自由主義という弱肉強食構造は、一部のものに金が集中するので、金融界は好景気になるが、実業が衰退する。その結果、金を本当に生んでいた実業の衰退から、金が回らなくなり、恐慌になったのである。

 これは世界で0.1パーセントにも満たない人が、金を独占したことから起きたことである。

 日本も、賃金を下げ、労働条件を厳しくし、福利厚生を下げて、株主の取り分を多くした。その結果、先進国であるはずの日本が、発展途上国と同じ構造になった。人件費や福利厚生で発展途上国と同格に並ばせて、国際競争に勝とうと宣伝していたが、本当はそうではない。実際は、アメリカの物言う株主たちは、日本人が幸福になることなど考えてもいないのである。とにかく配当を増やせ、だけであったのだろう。それに従い、法を彼らに金が集まる仕組みに変えた自民党の人たちはどのような人たちであろう。日本の国民を奴隷として彼らに売ったのである。情けない話である。そのために、日本人が、毎年三万人を超えて自殺している。野垂れ死にしている人も三万人を越えているという。ひどい話だ。

 これを解決するには、実業につく人々に金を流し、実業界の生産と消費をスムーズに流すことだと思われる。すなわち、賃金を上げ、福祉を向上させ、税を、富の再配分という構造にし、働く人たちが豊かに暮らせるようにすることができる構造に世界中を変えることである。

 

 新自由経済は、昔の、日本の地主と小作の関係と同じである。地主が、土地はおれのものだから、といって、小作からたくさんの年貢を取った。

 今物言う株主は、会社は株主のものだといって、利益を、むさぼり取っている。もっとよこせ。賃金を下げろ、保険もよこせ、年金もよこせといって生まれたのが派遣法である。

 

なぜこんなことになったか。

 それまでアメリカは、南米の国でこれを行っていた。しかし南米経済が、アメリカの物言う株主たちに食いつぶされて、経済破綻したから、投資先を、日本や、ヨーロッパの一部や、韓国に変更した。

 日本でも、一部の金持ちとグルになって、政権を動かし。法改正をし、金が、会社員から、金持ちに流れる仕組みをつくった。その結果日本の庶民の経済は下降していった。

今後の問題

 新自由主義経済をとっているかぎり、日本の庶民の経済は下降していくだろう。南米の国々が、今社会主義国になっているのは、庶民の暮らしが破綻したからである。同じことをアメリカの資本家が日本に対して行っている。かれらは、イエローモンキーから、とことん搾り取ってやろうと、にたにた笑っている。