Y 見て見ぬ振り

{光速度普遍を実測する}
 よくあることです。わたしも気が小さいものだから、いろんな見て見ぬ振りがあります。我ながら悲しいことです。少しは強くなってみたいものです。

 

1 問題 光の相対速度を測る


 第2章の最後に、光速度普遍は実際に観測されているのかを検討してみます。「問答無用」で書いたように、地球の速度と光の速度を比べると、現在の測定機器なら、光と地球の相対的な速度が変わっているかいないかは測定可能です。 

 

2 考察


 根本定理である光速度普遍の原理は本当に起こっているのでしょうか。
 今までも書いたように、相対性理論では、この光速度普遍の原理が起こる仕組みや、原理について、何一つ説明していません。アインシュタインは、「真空中の光の速度は、何に対してもつねに同じ速度を持ち、なぜそうなのかを問う必要はない。」と突っぱねています。反対の理由をいくらいっても、問う必要はない、と突っぱねられるんですから話し合いにはなりません。うまい仕組みです。

 理屈がだめなら、事実で検討するしかありません。そこで、根本原理である、「光速度は普遍」は現実に存在するのかを、実際の観測から検討してみます。

 

 (1) 光速度が変化している実例1(光のドップラー効果)


 光が、ドップラー現象を起こしていることが観測されています。星の爆発に伴うガスの拡散、銀河の回転、銀河の動き、星から噴出すジェット、宇宙背景放射に対する地球の速度等、宇宙科学の分野では、この光のドップラー現象を利用した観測がたくさん行われています。

ア 光のドップラー効果とは。

 観測者Aは、光の進行方向と同じ方向に動いています(光源から遠ざかる)。観測者Bは光と逆向きに動いています(光源に近づく)。すると、Aが見る光は赤方偏移して見えます。Bが見る光は、青方偏移して見えます。この現象を、光のドプラー効果といいます。これは、光が波だから起こる現象だそうです。

イ なぜ、そのような現象が起こるのか考えて見ます。

 まず観測者Aです。赤方偏移しているということは、光の周波数が元の光より低くなっているということです。周波数が低くなっているということは、次の光の波がやってくる時間が遅くなっているということです。波と波の間隔が長くなったことです。では、どうして、波の到達間隔が、元の波より長くなったのでしょう。その原因はいくつか考えられます。
 ひとつは、Aに到達する光の相対的速度が、Aが停止しているときより遅くなっているときです。そうすると、ひとつの波の頂点が来て、次の波の頂点が来るまでの時間はAが停止しているときより長くなります。
 これは、海で波より遅い速度で走っているボートを考えるとすぐ類推できます。
 波と同じ方向に走ると、ボートを追い越していく波と波の間隔は、ボートが止まっているときより長くなります。ボートが速くなればなるほど、ひとつの波がボートを追い越してから次の波がボートに追いつくまでの時間が長くなります。このとき、ボートと波の相対的な速度はだんだん遅くなっていきます。ボートと波の速度が同じになると、ボートと、ひとつの波が並んで進み、次の波はやってきません。波に乗ったサーファーと同じです。このときの波とボートの相対的な速度は0になっています。
 このことから、ボートが速くなって、ボートに対しての波の相対速度が遅くなればなるほど、波の周波数(単位時間あたりの波の数)は少なくなっていき、反対に、ボートが遅くなって、ボートに対しての波の相対速度が速くなると、波の周波数は多くなっていくのが分かります。波の速さが変わらなくても、ボートの速さが変わると、波の周波数が変わります。そして、波の周波数は、観測者と波の相対的な速度の変化が原因と考えられます。
 以上のことから考えると、観測者Aに対して光が赤方偏移しているという現象は、光の速さは変わらないけれど、Aの動きのために、Aと光の相対的な速度が遅くなってしまったからだといえます。
 では、Bではどうでしょう。
 青方偏移しているということは、光の周波数が、Bが停止しているときより高くなっていることです。こんどは、波に向かって走るボートを考えると、同じように、Bと光の相対的な速度が速くなっていることが類推できます。
 観測者が停止していて、光源が動くときのドップラー効果も同じ原理で考えられます。このときも、光の絶対速度(真空に対する速度)は変わらないけれど、光源と光の相対的な速度が変わります。そのためにドップラー現象が起こっているのです。
 このことから、光は、光の速さが変わらなくても、観測者や光源の速度によって、光との相対的な速度が変わるといえます。どのような速さで動いている観測者に対しても、光は常に30万キロメートルであるというアインシュタインの「光速度普遍の原理」は、事実と合わなくなります。アインシュタインの言うように光速度が普遍なら、光のドップラー効果は観測されないはずです。

 もうひとつは、光源が動いているときです。光源が後退しているときは、光の速さが同じでも、光源との相対速度が速くなって、赤方偏移します。光源が光と同じ向きに動いていると、光の波は縮まって周波数が高くなります。これは光との相対速度が遅くなっているからです。観測者の場合と関係がちょうど反対になります。

 あとひとつは、光の速度そのものが遅くなったときです。これは光が水やガラスの中に入ったときです。これは、相対速度ではなく、ぜったい速度の減少です。

 どの場合も、光とものの速度が変わっていることには違いがありません。


(2) 光速度が変化している実例2(ドップラーレーダー)

 先日の朝日新聞の記事に、降水確率を上げるためにドップラーレーダーを設置するという記事がでていました。レーダーで雨雲に電波を当てて跳ね返らせると、雨粒が動いていると、電波にドップラー効果が現れるそうです。この現象を利用して、雨雲がどの方向に、どのような速度で動いているかを、より正確に知ろうというのです。これも、電波と雨粒の相対的な速度が変わっているからできることです。電波も、これまで述べたように電磁波なので光と同じと考えられます。その電波も、物と相対的な速度が変わるということです。

 

(3) 光速度が変化している実例3(地球の速度)

 地球の速度は、秒速約400キロメートルだそうです。これは宇宙背景放射で計ったそうです。どのように計ったかというと、人工衛星で撮った、宇宙背景放射の全天空の温度分布の写真から計算したそうです。その写真によると、宇宙は、地球の進行方向が青く、後ろが赤く写っていたそうです。これは、地球が動いているために起こった宇宙背景放射のドップラー効果の現象だそうです。この、赤くなり具合、青くなり具合から、背景放射に対する地球の速度を割り出したそうです。この速度は、背景放射に対する地球の相対速度です。

 宇宙背景放射というのはマイクロ波です。赤外線と電波の間の波長の電磁波です。光と同じです。

 これは、実際に光と地球の相対速度が計られている実例です。光速度普遍の原理からはありえないことです。 

 これで、可視光域から電波域までの電磁波が、物体に対して相対的な速度を変えていることが証明されました。

 また、背景放射は、宇宙に対する絶対速度と考えられるので、宇宙には絶対速度が存在するということの証明でもあります。

 このことから、「光速度普遍」と、「絶対静止は存在しない」という相対性理論の2本の柱が事実に反するといえます。    

 

(4) 光速度が変化している実例4(光行差)

 光行差という現象が観測されています。
 どのような現象かというと、星から来る光が、みんな地球に斜めに当たっているという現象です。これは、地球が、宇宙空間をおよそ秒速400キロメートルで動いていることからくる現象だそうです。これは、前にも書いた、走る列車に雨が斜めに当たっている現象と同じです。すなわち、可視光における光速度が、相対的に変化しているという直接的な証拠といえます。
 相対性理論の光速度普遍の原理では、動いているものにも、光はまっすぐ進むことになっています。ところが、動いている地球に対して光が斜めに当たるということは、ファイマンの光時計が間違いであるというばかりではなく、同時刻の相対性で出てきた列車やロケットの中の観測者に対しても、光は斜めに進んだり、相対的な速度を変えたりするということになります。相対性理論の根本が事実とあっていないことになります。

 これも、相対性理論で説明できるという意見もありますが、そうでしょうか。もしそうならば、走る列車に雨が斜めに当たる現象も、相対性理論の具現化であるといえます。すると、「雨は、なんに対しても同じ速度を持ち、その理由を問う必要はない」ということになってしまいます。雨が降るたびに時間が伸び縮みしたら列車の時刻表はめちゃくちゃになってしまいます。

 

(5) 光速度普遍を証明する実験

 マイケルソンとモーリーの実験で、光速度普遍が証明されたという人もいますが、アインシュタイン自身はそれを否定しています。また、この実験を彼自身が追試したとも聞きません。
 また、その他の光速度普遍を確認する実験を彼が行ったともいわれていません。

 科学は、論があったら、それを実際に実験や観測で確認しなくてはなりません。でもそれだけではありません。追試で確認する必要まであります。(実験は、実際に検査するということですから、思考実験は実験ではありません。)

 ところが物理学ではこれが甘いといわれているそうです。相対性理論はその典型です。実際に証明されていなくても、「必要なし」で済ませられるんだから。

 

(6) 光速は普遍か

 では光の速さのほうはどうでしょう。光の速さは不変だといっても、光も空気や水の中では、スピードが落ちます。これは、カミオカンデの、有名なニュートリノの観測でもはっきり観測されています。ガラスの中ではおよそ半分、ダイヤモンドの中では真空中の5分の2とめちゃ遅くなるそうです。
 04年1月7日の朝日新聞には、電磁波を閉じ込めることに成功したという記事が載っていました。電磁波を箱の中に停止させることに成功したということです。光も電磁波だから、いずれ光も閉じ込めることができるだろうとのことでした。実際、エバネッセント光というのがあって、光は停止しているといいます。光ファイバーの先端を光の波長以下に細くすると、光はそこで詰まって身動きが取れなくなりストップするそうです。これは、実験ばかりでなく、自然現象の中にもあるそうです。水中の光が、水面で全反射するとき、いったん波長分だけ空中に出て、その後水に戻るらしいです。そのとき光が停止して、エバネッセント光ができるそうです。
 光速普遍というときには、必ず「真空中では」という但し書きがついています。光の速さも不変ではないわけです。ボールや、音となんら変わりがないということです。

 

3 結論


 アインシュタインは「光が止まるなどということがあっては困る」と考えて相対性理論を考え始めたのだけれど、ここにいたって科学は光を止めてしまいました。草葉の陰で、アインシュタイン氏はさぞ困っていることでしょう。
 でも、困ることは何にもないんですよ。サアファーは波に乗ってすっとんで行きます。彼から見れば波は止まっています。だからって波がどうにかなってしまうってことはないみたいです。同じように、光の波に乗って光と同じ速さですっ飛んでいって、光の波が止まって見えても、それで光がどうにかなるって事はないはずです。見え方が変わるだけです。見えればの話ですが。そもそも、光は横からは絶対に見えないものなのです。思考実験だから見えることにしているだけなのですから。 

 光速度は普遍だというけれど、光速度が普遍であるという現象は今のところひとつも観測されていません。それに反して、光速度が変化する現象はこのようにたくさん観測されています。相対的速度まで計られています。

 どうしてこれが問題にならないのでしょう。見て見ぬ振りですか。

 「光速度普遍」は「問う必要はな」くても、事実と相容れません。事実と、理論が相反するとき、間違いは理論です。

 

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