「村山博士が語る宇宙の果てをめぐる最新宇宙論」(Newton2013年5月号)への疑問2


 



著者 高田敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)


 {質問2}(上記本p28〜29)について

1 問題

{観測可能な宇宙の大きさ}

{観測可能な宇宙の大きさは、半径約470億光年と計算されています。}

{「宇宙誕生約38万年後に直進をはじめて、約137億年かけて地球に到着した光が、もっとも過去(遠方)からやってきた観察可能な光である」}

 では、470億光年先の{観測可能な宇宙}からやってきた光は、元も過去以前の光ということになる。摩訶不思議。

 

2 考察

{観測可能}ということは、観測機器さえあれば、観測できるということである。すなわち、その位置の銀河からの光が現在の地球に届いているということである。

普通、太陽の光は8分15秒過去の光であるといわれている。光は、太陽から地球に到着するまでに、8分15秒光の距離を8分15秒かけてやってくるからである。

(注:相対性理論では、光速では時間が止まったり、距離が縮まったりするから、単純に、「距離÷速度=時間」というわけにはいかないはずだけど、それがいくのが相対論の使い勝手の良さのようだ。基本的には、観測や実測が正確にできる現象や実験では相対論は出番がなく、非常に微妙な実験(例;マイケルソン・モーリの実験)や観測結果の解釈が手前がってな現象(例;エディントンの観測等。これは、太陽大気の屈折現象とも解釈できる。ブラックホールからは光は出ない。これも観測されても、それはその回りの膠着円番から出ていると解釈される)や、机上の空論(光速ロケットでは時間が遅くなる等。しかし、実際の観測では光速で飛ぶ、電子や、ニュートリノや、光は時間が止まったりしていない)では、頭角を現すようだ。だから、この太陽の光の場合は正確な観測ができているから、相対論には出番はないということになる)

 1万光年の距離がある星の光は、1万年過去の光をみている。10億光年先の銀河は、10億年過去の光であるといわれている。

 したがって、この{「宇宙誕生約38万年後に直進をはじめて、約137億年かけて地球に到着した光」}は今から137億年前の光であることになる。この本でもそう書いてある。距離も、最初は4300万光年だったが、最終的には、光は137億光年の距離をやってきたと述べている。理由は{137億年かかった理由は、宇宙が膨張しているからだ。光が進むと同時に、地球との距離も伸びたのである}ということらしい。では470億年かかって到着した光はいつ発信されるのであろうか。

 1億年前の光は、1億年過去の光、10億年かかった光は10億年過去の光、100億年かかった光は、100億年過去の光、137億年かかった光は137億年前の光ということだから、200億年かかった光は、200億年過去の光であるといえる。470億光年先の光は、470億年かかって地球に到達するから、470億年過去の光であるといえる。

そこで考えてみよう。

{観測可能な宇宙の大きさは、半径約470億光年と計算されています。}とある。{観測可能}ということは、その銀河の光は今地球に届いているが、ただ人類がその光を観測できるだけの高度な観測機器を持っていないだけ、ということだ。観測可能とはそういうことだ。

100年前も、今ハッブルディープフィールドに写っている銀河の光は地球に届いていた。すなわち{観測可能}であったが、それを観測できる機器を持っていなかったために見えなかったのと同じ原理だ。もし人類が、今よりはるかに素晴らしい観測機器を持っていれば、470億光年先の光が見えるということだ。{観測可能}ということはそういうことのはずだ。

すると、光は、最速でも470億年かかって(注1)地球にやってきているのだから、470億年過去の光ということになる。ところが、ビッグバン宇宙論では、137億年より過去にはこの宇宙は存在しないことになっている。

 存在しない宇宙からの光が見えることになる。不思議な手品である。

 (注1;この本による宇宙膨張「4300万光年の距離が、137億年で、137億光年に伸びている」を加味すると470億光年先から出た光は、宇宙膨張の速度が大きすぎて、光速では地球に届かなくなるはずである。そればかりではなく、他の観点から考えても、不可能である。

{「宇宙誕生約38万年後に直進をはじめて、約137億年かけて地球に到着した光」}を出した物質が、その光が地球に到達する137億年の間に、宇宙膨張の為に、地球から470億光年先まで遠ざかったとしよう。するとその物質は、137億年の間に、469億5700万光年の距離を移動したということになる。光速の約3.5倍の速度である。素晴らしい速度だ。

 

 ハッブル定数で考えると

 137億年前、現在地球がある場所とその物質は4300万光年離れていたと書いてある。

これをハッブル定数で考えてみる。ハッブル定数は距離1メガパーセクト(3,259,000光年)につき70.1km/秒である。この数字は、変遷しているから、今後も変遷するとしてもこれと大差ないだろう。

約326万光年で70km/秒である。すると、4300万光年では約923km/秒になる

光速など冗談でしょう、という速度である。

 ということは、村山博士の述べている宇宙空間の膨張速度は、ハッブル定数ではないということになる。では何が基準かというと、ないのである。これは他の科学者も同じである。みんな勝手に好き放題自分の理論に都合のいい数字を決めているのである。観測や何らかの実測から生まれたものではないのである。観念の中から生まれた速度である。だから、インフレーションビッグバンなど、平気で光速の数兆倍の数兆倍、なんて、速度を言っている。それも一瞬より短い時間でそこまで加速させている。すごいものだ。口ではなんとでもいえる。欲しければ、私だって、光速の、1千兆倍の1千兆倍の1千兆倍の速度があったのだと言える。言うのはタダだ。物質が実際にその速度になるということとは違うから、簡単だ。

 たとえば、旅客機で、音速を超えるのは、コンコルドだけだ。高々秒速340mの速度が出せないのだ。それなのに、ビッグバン宇宙論者は、旅客機の、数兆倍の数兆倍の数兆倍では利かない巨大な銀河を、あっさり秒速数十万kmの速度にして平気である。観念の中では魔法だって自在に使えるのだから、それくらい朝飯前なのだろう。

私のいった速度と、科学者のいった速度に真実性の違いはひとつもない。共に、その速度になるエネルギーも、理論もない、裏付けも、もちろん観測も、実験もない。ただ、自分の宇宙論に都合がいいから言っただけの速度だ。

 

結論

 せめて、同一ページでは、宇宙膨張の速度くらい統一してほしいと思う。