銀河や銀河団による、アインシュタインリングといわれているものは重力のせい?(検証の3)
著者 高田敞
銀河団や銀河による重力レンズといわれる現象がかなり発見されています。これが本当に重力による現象なのか考えて見ます。
 銀河団による重力レンズ現象へのはてな
 銀河系やアンドロメダ銀河やその他のこのあたりの30個ほどの銀河をひっくるめて局部銀河群といいます。近くの大小マゼラン銀河は銀河系の引力のために形を乱しているらしいし、230万光年も離れたアンドロメダ銀河でさえ、私たちの銀河と、互いにひきつけあって、遠い未来には衝突するだろうといわれています。星星が、緊密に結び合って銀河系を作っているのと同じように、銀河同士も引力で結び合っているわけです。
 そして、この銀河群が集まって作っているのを銀河団というそうです。差し渡し1千万光年にもなるといいます。
 タイソンという人は、重力レンズの候補を選ぶとき、「ダイナミカルにリラックスした銀河団」を選ぶといいます。この意味は銀河団の各メンバーが互いの重力で落ち込んでいく過程が終わり、お互いに安定した軌道を回っているということだそうです。なぜ、そのような銀河団を選ぶかというと、そういう銀河団の中心は密度が濃く、重力レンズには都合がよいらしいのです。
 銀河と銀河の間は一見何もないようだけど、こういう銀河団をエックス線で見るとその5倍ほどの範囲にわたってエックス線をはなっているハローが見えるそうです。大きくなると数千万光年にわたって、高温のガスが充満しているということです。
 それだけの範囲にわたって物が集まると、その重力は想像を絶するものになることでしょう。アインシュタイン氏の言うように、本当に重力で空間が曲がるなら、この重力で空間が曲がり、光が曲げられることは十分に考えられます。
 しかし、こうも考えられます。この巨大な球形のガスの固まりは、中心に行くほど濃くなっているということから、そこを通過する光は、地球上の蜃気楼現象と同じ原理でその気体のために曲げられてしまうということも可能であると。そして、焦点距離がある程度地球に合うと、ゆがんだ像が見えるはずです。前述のシャビロ所長のプラスチックレンズの像のように、角度や焦点によって像が二つになったり、弓形になったりと、いろいろに変化するはずです。
 中心に行くほど濃い、球形の、透明(可視光では見えないみたいなので)な超巨大なガスの固まりなんて、レンズそのものがぽっかりと宇宙に浮かんでいるようでしょ。
 ここでもやはり、重力レンズ説より、ガスレンズ説のほうが有力と思いませんか。少なくともガスレンズ説を否定はできないと思います。
 銀河による重力レンズ現象はほんとうか 
 単独銀河による重力レンズ現象も見つかっています。
 ヒューイットという人が、1986年にVLAでアインシュタイングリングを発見しています。このレンズになっているのは、単一の銀河だそうです。でも、その質量がそうさせているのだろうか検討の余地があります。
 この銀河は電波では見えたのだけど、可視光や赤外線ではリングは発見されなかったといいます。その理由が、レンズになっている銀河が電波を出さず、可視光や赤外線を出しており、そのために電波は混ざらないが、光は混ざって見分けがつかなくなっている、と説明されています。光が簡単に混ざるものならそうかもしれません。(大気圏上層にぶつかるγ線の出すかすかなチェレンコフ光でさえ、他の光から見分けられるという時代にです。)しかし、ガスによる電波の屈折した焦点が地球に合って、可視光の屈折は地球に焦点が合っていないということもありえるのではないでしょうか。同じ電磁波の仲間でも電波と可視光の曲がり方や仕組みが違うから、よく見える部分とそうでない部分ができるのも当然じゃないかな。それに、電波を出さない銀河があるとは信じられないことです。
 電波も曲がるのだろうか。電波もよく曲がります。山や、ビルに当たってテレビにゴーストができるのは身近な例です。飛行機に電波を当てて遠くに飛ばすなんてのは、アマチュア無線家の、秘儀?です。最初の電波中継衛星は、巨大なバルーンを打ち上げて、それに電波を当てて反射させていたみたいです。自然界でも、電離層があります。ある周波数の電波をよく跳ね返します。そのほかにも、空のなかに電波を曲げる層がよくできるそうです。そのためにテレビ映像が乱れたりするときが間々あります。
 高温の電離ガスや、磁力線が渦巻いている銀河です。電波領域の電磁波が曲がってもなんの不思議もありません。かえって曲がらないほうが不思議なくらいです。
 この例でも、レンズが重力のせいであると言い切ることはできないと思います。
 まとめ
 星の像がゆがんだらどうして重力レンズなの?

 地球上で光(含む電波)が曲がるそれこそ五万とある現象は、すべて重力以外のことが原因です。反対に、重力で光が曲がっている現象は地上ではまだ一つも観測されてはいません。 それが、はるかかなた宇宙の果てでは、ほかの原因を差し置いてどうして重力だけが躍り出てくるのでしょう。変と思いませんか。
 アインシュタイン氏が予言したからなんてのは、本当はたいして意味もないことなんですよ。かえって、検証をないがしろにし、正しい判断の目を曇らせることになるときもあるとは思いませんか。ついこの前まで、神が言ったからということで、ヨーロッパの科学が発展しなかったように。アインシュタイン氏は科学者だから大丈夫というなかれ、神は全能で、すべての科学も見通しているとみんな信じていたんだから。だからこそ余計にだったんだから。

2003年12月3日 並刻記

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