「重力とはなにか」(大栗博司)への手紙3

(以下{ }内は「重力とはなにか」(大栗博司)よりの引用)  著者 高田敞



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問題1

{どんなに足し算しても光の速さは変わらない}

{あらゆる物質の速度にニュートン理論の足し算のルールが当てはまるのに、電磁波だけが例外になるのは不自然です。}

 

考察

{あらゆる物質の速度にニュートン理論の足し算のルールが当てはまる}

これが、マクスウェルの理論と矛盾しているということです。

 ニュートン理論は、この本に書いてあるように{あらゆる「物質の速度」に}ついての理論です。マクスウェルの理論は電磁波の理論で、物質の理論ではありません。ニュートン理論は、もとから、電磁波を対象外にしています。{電磁波だけが例外になるのは不自然です}とありますが、そうでしょうか。

 ニュートン理論の足し算のルールは、物質が運動エネルギーを保存するという理論です。これは物質が慣性質量を持っているから起る現象です。ところが、質量のない光は慣性質量を持っていません。したがって、光源の動きによる運動エネルギーを保存できません。(アインシュタインも光は光源の速度に影響されないと言っています)

これを上記の本に沿って見てみます。

{太郎さんの車が、今度は時速九億キロメートルで走って}{懐中電灯で光を前方に発射しました}{ニュートンの法則が当てはまるなら、止まって観測している花子さんには、その光が九億+一一億=時速二〇億キロメートルで、飛んで行くように見えるはずです。}

 このとき、{ニュートンの法則が当てはまる}のは懐中電灯までです。車と同じ速度で動いている懐中電灯は質量があるのでその速度による運動エネルギーを保存します。運動エネルギー=1/2×質量×速度の2乗です。だから懐中電灯を前方に投げると車の速度(懐中電灯の速度)と投げた速度が足し算されます。

 しかし光はこうはいきません。光には質量がないので、上の式の右辺の質量が0になり、掛け算すると運動エネルギーは0になってしまいます。車の速度は光には保存されないのです。だから光は、光固有の速度だけになってしまうのです。

これがボールなら違います。時速九億キロメートルで走っている車に積まれたボールは、やはり時速九億キロメートルで走っています。慣性質量を持っているボールはこの速度による運動エネルギーを持つことになります。そして保存します。ここが電磁波と違うところです。

 ニュートン力学は、{あらゆる物質の速度}であって、あらゆる物質と現象の速度ではないのです。

 (ちなみに、物質が光速で飛んだ時の運動エネルギーはどうなるでしょう。V=1/2mc2です。E=mc2とそっくりです。偶然の一致ですかね)

(2){電磁波だけが例外になるのは不自然です。}

 例外はそれだけではありません。音も同じ現象を呈します。

音も、慣性質量を持たないから、音源の速度を保存できないので、音源の速度にかかわらず、常に媒質に対して音速になります。音速のジェット機から出た音が、二倍の音速になるかといったらそうではありません。空気に対して音速になるだけです。

  これも、ニュートン力学に反しているように見えますが、決してそうではありません。

ニュートン力学は、{物体の速度}に関する理論ですから、電磁波や、音のように慣性質量をもたない現象は、最初から理論外になっています。物質は運動エネルギーを保存するという理論だから、質量のないものはこの理論とは関係ないのです。電磁波が例外になるのは当然なのです。例外というけれど、もともと、電磁波は範疇外なのです。例外ではありません。物質ではないのですから。

そのあたりはどのようにお考えでしょうか。


 問題2

 マクスウェルの方程式による光の速度

{時速九億キロメートルで走っている太郎さんにも、止まっている花子さんにも、光は時速一一億キロメートルで飛んでいくように見えるというのです。}

 考察

1 音との比較

上に見たように、音速のジェット機から出た音も、止まって吹いているラッパから出た音も空気に対して音速(秒速340m)で進みます。

この音を、音源に対して秒速50メートルで近づく車と、反対に50メートルで遠ざかる車で聞いてみます。

音源に対して進む車に対しては、音は秒速390mで進みます。反対に、退く車に対しては、290mで進みます。もちろん止まっている車に対しては、秒速340mで進みます。

これは、音のドプラー効果として観測されています。

ところが、光は、「時速九億キロメートルで走っている太郎さんにも、止まっている花子さんにも、光は時速一一億キロメートルで飛んでいくように見えるという」ことだそうです。

音とははっきり異なった性質です。

ところが、宇宙背景放射の光は、地球の進行方向から来る光は青に、後ろからくる光は赤色に変異していることが観測されています。宇宙の温度を測るときは、この色の変異を補正して測るということです。光のドプラー効果です。音の相対速度変化によるドプラー効果と同じ現象が起こっています。ということは、光も、観測者に対して相対速度を変えているということを示唆しています。

また、星の観測では、地球から遠ざかる星は赤いほうに、近づく星は青い方に光の波長が変異しているのが観測されています。これも光のドプラー効果です。これは、光源の星とその光に、音源と音との関係と同じ速度変化があると考えられる現象です。

これは、光が、慣性質量を持たないために、光源との相対速度を変えているということの証です。アインシュタインの光速度不変の原理に反する現象です。

これついてはどのように考えればいいのでしょうか。

2 {ニュートンとマクスエルどちらが正しいのか}

これまでに述べてきたように、ニュートンの力学には、電磁波は含まれないので、電磁波のみの、マクスエルの考えとは対立するものではありません。すなわち矛盾なく両立するものです。ニュートン力学に、ニュートンはそんなことは一つも言っていないのに、勝手に、無理やり電磁波を組み込んだのが間違いといえます。まあ、言いがかりの類です。


 問題3
 {「マイケルソン=モーリーの実験」}
 
考察


 証明はこれだけです。非常に微妙な実験だそうです。検証実験も、これを支持する結果が出たのもあれば、否定する結果が出た実験もあります。これだけで、宇宙背景放射や、星の光のドップラー効果現象によって推測される光が、光源や、観測者に対して、速度を変えるということを否定できないと思います。